ニヤニヤさん。(2012年の出来事)
そういえば先日ちょっとした取材を受けましてね。
で、職人さん的な扱われ方をするっていうんで
いえいえめっそうもございませんって思っていたのだけど、
まあせっかくだからアンビルを出してアイアンワークやっている
ところでも撮影してもらおうと思いまして。
で、社内のスタッフのやっているところでお茶を濁そうと思ったのだけど、
「オーノさんのやってるところを」といわれちゃいまして。
たまたまアイアンのカブトムシ本体を切り出したやつが余っていたもんだから、
上手くやれるのかしら?と内心不安に思いながら仕方なくやったのでした。
実はアイアンのカブトムシは型紙展開からの折り曲げ整形がかなり高難度なのですが、そりゃあ元々考えたの僕だから出来ない訳にはいきません。
「やるフリだけでもいいですよ」とあなどられながら
やってみたら案外ひょいって出来ちゃって、
内心ものすごく安堵しながら
「ぼくもなかなかでしょ?」てなもんでした。
ところで、この製作中、カメラマンの方に
「オーノさんもっと真剣な表情をしてもらっていいですか?」
なんてリクエストをもらってしまいました。
まあ実はどんな表情で自分がつくっているかなんて
これまで考えたこともなかったんだけど、
どうもニヤニヤと楽しそうにしていたみたい。
まあ、職人っぽくはないですよね。
でもさ、「オレ職人」的な、
なんか「なんとか道」とか言い出しちゃいそうな、
ああゆうのダメなんですよ、僕。
芸術家でも工芸家でも寿司屋でもコーヒー屋でも
世の中がそういう「不機嫌さ」に価値をつけてるところもある。
でも、でもさ、だってつくっているのはカブトムシですよ。
墓石つくってる訳じゃない。
そりゃあね、僕だって真剣な表情の時もある。
きっとある。たぶんある。
でもそれは「必要」だからではなくて
自然にそうなってるだけのこと。
難しくふてくされた顔をしてりゃあ良いものが出来るんなら
僕だっていつもそうしていますよ。
でも語るのは眉間のシワじゃなくて、モノ自身だから。
いいものつくって提供するんだもの
そりゃあ、真剣だけど、僕の中では楽しいんです。
それに多分それは、
出来たモノにも伝わるはずなんです。
記事になったときに、やっぱりニヤニヤしてました。
でも、そりゃあきつかったけれども笑い続けたまま、この翌年に誰にも真似できない「ななつ星」はできたのでした。
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