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読書の記録 池田晶子『言葉を生きる』

専門用語による「哲学」ではなく、考えるとはどういうことかを日常の言葉で語る「哲学エッセイ」を確立した文筆家、池田晶子さんが、2007年にお亡くなりになるまでに書かれた文章が第1章「心はどこに」第2章「私とは何か」第3章「目に見えないもの」第4章「言葉の力」に分けて紹介されています。

日常の言葉で書かれているといっても、哲学ですから、何やら難しい問題ですから、何が書かれているかわからなかったり、めちゃくちゃ当たり前のことをこねくり回して書いてあったりしますけど、この「当たり前」を見直す作業というものが、近頃、とても大事なのではないか?と思っているところなので、自分にとっては、そのこねくり回し方が実にタイムリーで面白かった。

「当たり前のことより不思議なことは、この世の中には存在しない。当たり前の不思議に気がついて、それを考えながら生きる人生と、当たり前を当たり前と思って、それを考えることをせずに生きる人生とでは、人の人生はまったく違ったものになる。」←書籍より引用

自分の当たり前が他人の当たり前であり、自分の当たり前を他人に押し付けようとする人が、コロナ禍で目立ちます。権力をもつ人であるほど、そのことについて省みすぎるくらい省みて、自分の当たり前が歪んでいないかを常、確認し、問題あれば軌道修正すべきなのですが、当たり前を当たり前と思っているうちは、そんなことができるはずもなく、そういうリーダーが舵を取る船には、なるべくなら乗りたくないものです。

第3章「目に見えないもの」の「夏休みは輝く」というエッセイは必読。言葉の力を思い知る名エッセイです。

10代の身近なQuestionに答え、探求(Quest)することの大切さを伝える「ちくまQブックス」シリーズ第2弾2作め。

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