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読書の記録 松田青子『おばちゃんたちのいるところ』

松田青子さんの短編集、全17作。1作ずつ個別の物語としても読めるし、連作としても読める。私は、詳しくないので、ほんの少し匂いを感じる程度だったのですが、どうやら全17作それぞれに歌舞伎や落語、民話や戯曲などのモチーフがあるらしい。『菊枝の青春』で菊枝がお皿の数を数える場面くらいは、さすがに元ネタがわかりましたが、あとは、なんとなくわかるようなわからんような。わかったうえで読んだらまた違う感想になったかもしれないですが、知らずに読んでよかった気もする。全ての作品に幽霊が出てきて、その幽霊たちが、現世で当たり前とされていることの「おかしさ」を炙り出してくれます。例えば、女性が女性であるというだけで、当然のように被る不利益が、現世には蔓延っている、ということが浮き彫りにされるのです。しかも、どこかコミカルでリズミカルだから、深刻になりすぎない。幽霊が出てきてるのに!でも、その深刻にならない感じが押し付けがましくない分、迫ってくるんですよね。モチーフになってる作品を知ったうえでもう一回読んでみたいです。

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