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読書の記録 和泉悠『悪い言語哲学入門』

「あんたバカぁ?」「このタコが!」「だって女/男の子だもん」普段耳にする言葉のなかにも「悪い言葉」はたくさん潜んでいますが、果たしてその言葉は何が悪いのでしょう?悪口は何が悪いのでしょう?ときどき悪くないのはなぜなのでしょう?Japaneseを縮めただけなのにどうしてJapには差別的意味が含まれるのでしょう?言葉の善悪の問題を哲学や言語哲学の観点から考える本。

一つ一つの事例について丁寧すぎるほど丁寧に考察していて詰将棋みたいです。普段からこのくらい言葉と丁寧に付き合いたい。

長い期間かけてゆっくり読んだから印象的な箇所は自然、後半部分になっちゃうんですが、哲学者のヒラリー・パトナムさんの言葉「ことばを一種と道具とみなすとしても、それがハンマーやネジ回しのような一人で使う道具ばかりでなく、複数の人間が関わる蒸気船のようなものである可能性も考慮しなければならない」には膝を打ちました。いや打ってないけど。

このヒラリー・パトナムさんの言葉を受けて著者は「蒸気船やタンカーは、個人が所有しているわけではなく、社会の中で巨大な位置を占め、便利で有益かもしれませんが、慎重に適用しなくては、運河に挟まったり、大事故を引き起こしたりするでしょう」と書いています。

その自覚が無いがゆえに悪い言葉を発してしまっていることが多々ある。自省を促されるとともにやっぱりあいつのあの言い方って許せんよなぁと納得したりお互い様かと結局またまた自省したり。

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