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LIFE SHIFT 2 を読んで

僕は、LIFE SHIFT で描かれている ポートフォリオワーカー を目指しています。

特定の企業に依存せずに、個人として複数の取引先やプロジェクトに関わっていきたい。そしてその先に、時間と場所に縛られない自由な働き方を確立するのが目標です。

そんな、前作に多大なる影響を受けた身として、続編を読まないわけにはいかない。ということでフィンランド行きの飛行機の中で、LIFE SHIFT 2 を一気読みしました。

結論、今作も人生の指針になるような一冊 でした!

以下、特に印象に残った点を紹介していきます。

社会的開拓者たるべし

筆者は、技術的発明 ≠ 社会的発明 だといいます。

革新的な技術がもたらされたからといって、社会や個人がすぐに適応できるわけではない、ということです。例えば産業革命の際も、それによって一般大衆が恩恵を受けるまでにはタイムラグがあり、その間はむしろ痛みの方が大きかったことそうです。

現在もまさにそうで、革新的な技術によって世の中が激変していますが、国や企業はそうしたイノベーションを効果的に使いこなす術を知らず、個人はそれがもたらす変化に期待しつつも、同時に大きな不安を感じています。

特に、社会全体の仕組みが変わるのには時間がかかるため、まずは僕たち個人が 開拓者として新しい社会のあり方を切り開く覚悟を持つ ことが大切だと。これが本書を貫く大きなテーマです。

年齢に対する考え方を変える

「年齢」や「老い」についても大きく扱われていて、年齢に対する固定観念を持つと、他人の能力や性格をそれに画一的に判断するようになってしまうと述べられています。

そしてさらに深刻なのは、自分自身にも年齢による偏見というレンズを当てはめてしまうことであると筆者は言います。「未来の自分」を年齢によって規定してしまうことで、「ありうる自己像」の範囲が狭まってしまうというのです。

それを避けるための方法として、高齢になった自分を想像して対話してみたり、年齢にとらわれずに様々な世代の人と付き合ってみることを勧めています。

これはまさに最近意識していて、Twitterやオンラインサロンで若い人たちから刺激をもらうことのメリットを実感しています。年齢を重ねると、体と同じく心の柔軟性も失われていきます。ただ、若い世代との交流によって、そのスピードを遅らせることができそうです。

人生100年時代。自分で自分の可能性に蓋をしてしまい、「早く老いすぎる」ことがないように意識したいものです。

企業への提言

これからの時代に企業に求められるのは、「入社年齢の多様化」と「引退と生産性に関する考え方の変更」だと書かれています。まさに日本に当てはまる指摘ですね。

20代は自らのスキルや価値観を探索する時期。そうした活動を積極的にしてきた人たちが、「新卒ではない」という理由だけではじかれてしまうのは大きな損失だと述べられています。本当にその通り。

ほとんどの日本人は、何となく偏差値の高い大学を選び、何となく興味のある分野を専攻し、そしてほぼ勉強せずに卒業します。僕もまさにそんな学生の代表格でした。

そんな環境で新卒で一生の職を選ぶなんて無理ですし、確率的にも同じ会社で一生勤めあげる人の方が少ないはずです。初めてつき合った人と結婚しなければならず、離婚が許されない世界。想像するだけでも恐ろしい笑。

また、「年のとり方」が人によって全く違い、その差が一層拡大する社会において、年齢で線を引いて一斉に引退に移行するシステムが機能しなくなっていることにも触れられています。これもまさに日本で顕在化していますね。

個人的には、新卒一括採用、年次管理、頻繁な人事異動に立脚した日本企業の人事制度は、言葉の問題と並んで、グローバル化を阻む最大の要因だと思っています。

これらは言わば企業文化そのものであり、変えるのは簡単ではないでしょう。それでも、時代に合わせた形にしていかないと、企業は優秀な若者を惹きつけられなくなるでしょう。

教育機関の変革

筆者曰く、20世紀に入って社会の工業化が進んだことにより、工場のマネジメント手法として、「プロセスの標準化」「業務効率化」「大量生産」が重視されるようになったとのこと。

そして、それに合わせて学校教育が標準化され、決められたことを効率的に学ぶ生徒を大量生産する仕組み ができあがったと主張しています。まさに工場そのものです。

ただ時代は変わり、学生時代に得た知識で一生食べていくには人生が長くなりすぎました。それに知識だけであれば、いくらでも「検索」できるようになりました。

そんな世界では、learning と unlearning を繰り返し、生涯学び続けなければなりません。大学までの教育の目的は、特定のスキルや知識の習得ではなく、「学び続けるための土台をつくること」であるべきだと筆者は述べています。

社会哲学者のエリック・ホッファーの言葉が刺さりました。

激しい変化の時代に未来を継ぐのは、学び続ける者である。学び終えた者は往々にして、もはや存在しない世界で生きる術を身につけているにすぎない

また、「知識の獲得」から「人間的スキル」の習得に移行する必要性も書かれています。人間的スキルとは、批判的思考、仮説設定能力、コミュニケーション能力、チームワーク、対人関係構築力、アートなど。

まさに機械に代替されにくいスキルであり、日本の教育現場や受験制度において何よりも求められる変革だと感じます。

政府の課題

今作では、国に求められる対応についても書かれています。

政府はテクノロジーによって雇用が破壊されることを阻止するよりも、雇用の創出を促進するために手を尽くすべき、だと。

目からうろこだったのが、「職」ではなく「人」を守る という雇用への考え方。

これはデンマークなどで取り入れられていて、企業が社員を解雇するハードルが非常に低いかわりに、失職者には手厚い手当と教育の機会が与えられ、再就職が後押しされているそうです。

環境の変化によって、それぞれの「職」の必要性は変わります。大事なのは職自体を守ることではなく、人を守ることだと言うわけです。それによって、革新的な技術を積極的に取り込んで社会をダイナミックに変えていくことができると。納得感しかありません。

日本は欧米と比べても特に「新しい思想や技術」の導入に対して慎重です。社会的に既得権益を守ることが優先されますし、イノベーションによる恩恵の大きさよりも副作用の少なさが重視されます。

欧米ではUberや電動スクーターなしの生活は考えられませんが、日本ではなかなか普及しません。ワクチン導入開始に時間を要したことも、副作用を極端に気にする典型例でしょう。完璧主義の国民性や、政府や企業が責任を取りたがらない風潮が見事にでています。

そうした特性もあいまって、破壊的なイノベーションから「職」や「雇用」を守ることが至上命題となりがちです。結果として、国全体がイノベーションの恩恵を受けらていないと感じます。

人生100年時代の行動指針

本書の最後に、変化する時代に適応していくための5つの指針が記載されています。詳細は実際に読んでいただくとして、ここでは項目のみご紹介します。

1.先手を打つ
2.将来を見据える
3.「ありうる自己像」を意識する
4.可変性と再帰性を意識する
5.移行を受け入れる

激動の時代を個人としてどうサバイブして楽しんでいくか。最近の自分のテーマである、自由な生き方、教育変革、中年の危機の乗り越え方、企業の人事制度改革など、まさにストライクゾーンど真ん中のテーマばかりでした。

前作とともに、折に触れて読み返したい一冊です。

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