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重解のヒ・ミ・ツ─2次関数を考察する 【Kowの探究日誌4】

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2次方程式: $${ax^2+bx+c=0  (a≠0)}$$が重解をもつとき、その重解は  $${x=-\dfrac{b}{2a}}$$となります。


【理由】
2次方程式: $${ax^2+bx+c=0}$$の一般解は

$$
x=\dfrac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}
$$

であって、重解をもつときは$${D=b^2-4ac=0}$$なので、これを代入することで、重解:$${x=-\dfrac{b}{2a}}$$が求まるからです。
(解の公式の$${√}$$を無視しただけ。)


つまり、重解の値は$${c}$$の値によらないのですね。

この事実を以下のように考察してみました。




2次方程式の解は「放物線と$${x}$$軸の交点の$${x}$$座標」と言い換えられることを念頭に置いて、なぜ重解の値が$${c}$$の値によらないかを考えてみます。

まず、

$$
x=-\dfrac{b}{2a}
$$

といえば、

$$
放物線:y=ax^2+bx+c   の軸
$$

を思い出す方もいらっしゃるかも知れません。


【軸になる理由】

$$
\begin{align*}
y&=ax^2+bx+c\\
&=a\Bigl(x+\frac{b}{2a}\Bigr)^2-\frac{b^2-4ac}{4a}\\[10pt]
&と平方完成できるため。\\[4pt]
&頂点は  \Bigl(-\frac{b}{2a} , -\frac{b^2-4ac}{4a}\Bigr)  である。
\end{align*}
$$


$${a}$$と$${b}$$が決まった時点で放物線の軸、つまり放物線の左右の位置が決まりますが…
$${c}$$の値が決まらないと、頂点の高さは決まりません。

逆に言えば、$${c}$$の値を自由に動かすと、それに従って放物線もエレベーターのように上下に平行移動します。

$${a}$$と$${b}$$が決まった時点で放物線の軸 ($${x=}$$■ ) が決まるということは、
「もしその放物線が$${x}$$軸と接する場合、その交点の$${x}$$座標は ■ になる」ということを意味しています。

あとは、放物線が$${x}$$軸と接するためのただ1つの$${c}$$の値、つまり放物線の適切な高さを設定してあげれば、放物線は点 (■,$${0}$$) で接することになります。

これはすなわち、2次方程式: $${ax^2+bx+c=0}$$が $${x=}$$■ という重解をもつことを意味します。


【全体的な考察のまとめ…】
上の太字で示した文のように、$${c}$$を決める前から ($${a}$$と$${b}$$が決まった時点で) 重解の値は確定していて、$${c}$$は「その重解を実現するために、放物線を上下に平行移動させて$${x}$$軸にひっつける役割がある」と言うこともできそうです。




【応用編】
次の問題を考えてみます。

【問題】
$${x}$$についての2次方程式:
$${-3x^2+2x+(t^2-1)=0}$$
が重解をもつとき、その重解を求めよ.
($${t}$$は実数定数)

【解答】
上記より、求める重解は、

$$
x=-\dfrac{b}{2a}=-\dfrac{2}{2×(-3)}=\dfrac{1}{3}
$$

と簡単に求められます。


【解答(丁寧に)】
この2次方程式の判別式を$${D}$$とすると、重解をもつための条件は、

$$
\begin{align*}
\frac{D}{4}&=1^2-(-3)×(t^2-1)\\[10pt]
&=3t^2-2\\[10pt]
&=0
\end{align*}
$$

であり、これを解いて$${t=\pm\sqrt\dfrac{2}{3}}$$である。
これをもとの2次方程式に代入して、

$$
\begin{align*}
-3x^2+2x-\frac{1}{3}&=0\\
-9x^2+6x-1&=0\\
9x^2-6x+1&=0\\
(3x-1)^2&=0\\
x&=\frac{1}{3}
\end{align*}
$$

よって、求める重解は$${x=\dfrac{1}{3}}$$である。

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