真夜中に向かって

いつもの道。真夜中に向かって走る。
夜の街を徘徊するように。健康のためなんかじゃない。体の中に溜まったものを外気に放出するため。
真昼間に放出するには気恥ずかしい。形が定まらないドロリとした得体のしれないものか。自分からは自分の外見が見えないように、放出されたそれは見えない。
俺から出たそいつは夜の外気を徘徊する。
俺の中に溜まっていたそいつは外に外に。距離を踏み汗をかくごとに俺は中に中に入り込んでいく。体の芯に向かって俺は入り込んでいく。
そして真夜中の芯に向かって入り込んでいく。
境界が薄れていく。どこから中で外なのか。入っているのか出ているのか。
俺なのかそれ以外か。
真夜中を通り過ぎたらそいつはまた俺に戻ってくる。
お帰り。

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