都庁の当たり前を変える!東京都契約請求システムが稼働します
東京都では、これまで「当たり前」となっていた業務や仕組みを根本から見直し、デジタルを活用して都政のQOS(サービスの質)を向上させる取組を進めています。
その取組のひとつが、「東京都契約請求システム」の構築です。
紙の契約書・請求書を前提とした従来の契約事務では、押印や対面での対応が必要であり、事業者・職員双方にとって負担となっていました。新しく稼働する「東京都契約請求システム」は、契約から支払いまでの一連のプロセスをオンラインで完結させることで、事業者の負担軽減や利便性向上を実現します。
今回は、この東京都契約請求システムの構築に携わっている職員の声をお届けします。どのような想いでこのプロジェクトに携わっているのか、また普段の業務についてもお話いただきました!
「当たり前」を抜本から見直す。担当者インタビュー!
■「東京都契約請求システム」ってなに?
【飯野さん】
事業者の方が東京都から受注・受託した案件に対して、契約締結の内容の調整から請求までの東京都の担当部署との手続をパソコンで実施できるようになるシステムです。このシステムを利用することで、これまで、紙の書類の作成・押印・対面による提出が必要であった手続がオンラインで実施できるようになります。また、現在紙での業務が前提となっている職員の内部事務についてもシステムで処理できるようになります。
【飯野さん】
元々は、2021年3月に策定したシン・トセイ戦略で「内部管理事務抜本見直しプロジェクト」が立ち上がったのが始まりです。都の契約・支出に関連する事務は、手続が煩雑で紙ベースの処理が多い、一部デジタル化されている事務についてもシステム間連携が十分にできていないなどの理由から、改善を求める声が多く上がっている状況でした。
【飯野さん】
そのような状況を改善するため、契約や支出など、それぞれの制度を所管する各局が連携して業務の最適化(BPR)を行い、デジタル化により起案から支払まで一連の業務プロセスをデータ連携することで、手続に要する事業者の方の負担軽減や職員の事務の効率化を行うことを目指してこの取組が始まりました。
■ どんなメリットがあるの?
【飯野さん】
東京都契約請求システムを利用することによって、契約・請求手続をパソコンからオンラインで実施できます。これによって、時間や場所にとらわれずに自宅やオフィスから手続ができるようになります。また、納品書や請求書などを作成するとき、法人名や住所などの一部の情報は自動的に入力されるようになるため、入力の手間や記入ミスが少なくなるといったメリットがあります。
【飯野さん】
2024年4月から、デジタルサービス局が発注する物品購入や委託契約から運用を開始し、順次対象局や契約の範囲を拡大する予定です。
また、公営企業局への対象拡大など、システムの対象拡充に向けた調査・検討も始めます。
■ 準備は必要?
【飯野さん】
東京都契約請求システムのログインには、デジタル庁が発行する「gBizIDプライム」(ジービズアイディープライム)を使用します。取得には審査が必要になりますので、システムの利用を希望する事業者の方は事前にご準備いただければと思います。
【番外編】都庁職員として働いてみて・・・
ここからは少し「東京都契約請求システム」から離れますが、民間企業と都庁、両方を経験をしている飯野さんが、都庁の仕事についても教えてくれました!
【飯野さん】
もともと学生の時にIT関連の学部・院で学んでいたのですが、一方で公共分野の仕事にも興味がありました。就活の際、公共分野でデジタル関連の仕事ができる場所を探していたのですが、その時は巡り合えず、民間企業にSEとして就職しました。
その後も情報収集を続けていたのですが、都庁に「ICT職」が創設されたというのを目にして、思い切って転職を決意しました。
東京都契約請求システムの設計・開発に関する業務をしています。といってもプログラム自体を作っているわけではなく、専門知識を活かしてベンダーの方や庁内の関係部署と調整を行うのが主な仕事です。具体的には、要件通りにシステム開発が行われているかのチェックや、プロジェクトの進捗管理などですね。
都庁の契約事務のデジタル化ということで、転職した身からすると既存業務の理解がまず大変でした。契約・支出に関係する規則などのルールも多いので、日々勉強しながら進めています。
また、横断的な取組のため、システム構築に関連するステークホルダーがとても多いのも大変なポイントです。契約や支出などの制度所管の方、東京都契約請求システムと連携する各業務システム所管の方など、このシステムに携わることで知り合いがとても増えました(笑)
先ほどの答えと表裏一体になるのですが、システム規模・影響力の大きさがやりがいにつながっています。東京都契約請求システムを利用するユーザーは将来的には数万人規模になると思いますので、よりよいシステムを作らないといけないなという責任感とやりがいを感じています。
また、契約事務のデジタル化は自治体の中でも新しい取組です。私たちの取組がモデルとなって、他の自治体にも広がっていく可能性があるということも、やりがいを感じる部分ですね。
今後も抜本的な見直しを進めます!
今回は、東京都契約請求システムの構築に携わる職員の声をお届けしました。
東京都では、今後も都政のQOS向上に向けて、社会情勢の変化に合わせた制度・仕組みの抜本的な見直しを続けていきます!