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「東京都のオープンデータをもっと活用してもらいたい!」行政データ活用促進のポイントとは?

2月16日、官民が一堂に会してオープンデータの推進に関するディスカッションを行う「東京都オープンデータ・ラウンドテーブル」(以下「ラウンドテーブル」)を初めて開催しました!

この取組は、行政が保有するデータ(※)の活用を希望する民間企業等からのニーズを直接聴取することで、行政のオープンデータ化の取組を促進していくとともに、行政データと民間データの組み合わせによる民間サービスの創出・深化につなげていくことを目的としています。

(※)都は、「東京都オープンデータカタログサイト」(以下「カタログサイト」)にて、約4万件のデータ、2000件以上のデータセットを整備している。一方、アクセス数は1日あたり200ページビュー程度と、利用数は低調に推移。

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今回は、データの利活用に日々取り組まれている3名の方々から、「こんなデータが欲しい」といったニーズや、データを公開する際に行政側が留意すべき点などをお伺いしました!

また、各局で構造改革を担当する職員に加え、区市町村の職員や内閣官房の方々にもオブザーバーとして参加いただきました。

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都営地下鉄のこんなデータが欲しい

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始めに、都市データ研究家の奈良和紘氏から、まず都営交通が公開しているデータの活用事例をご紹介いただきました。

「2月1日からGoogleマップが首都圏の列車のリアルタイムな位置情報の配信を始めています。これには、東京都交通局が公開しているオープンデータが活用されています。」

東京都交通局では、電車やバスの運行情報に加えて、運賃・時刻表、駅のバリアフリー情報などを、公共交通オープンデータセンター等を通じて公開しています。

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一方で、ご自身の体験から、駅のエレベーターの点検情報をより判読しやすい形で公開してほしい旨の要望がありました。

「私は3歳の子供がいるのですが、ある日都営地下鉄を利用した際、駅にエレベーターがあることを事前に調べたうえで、子どもをベビーカーに乗せて向かったところ、駅のエレベーターが点検中で、結局ベビーカーを抱えて階段を登った経験がありました。」

点検情報はPDFでは公開されていますが、「機械で判読しやすい形式とすることで、地図アプリに組み込んだり、SNSで注意喚起することなどもできる」と奈良氏は指摘します。

これに対して交通局は、エレベーターの点検日程について、機械判読が可能な形での公開を検討する、と答えました。

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さらに、米国のニューヨーク州都市交通局(MTA)の取組を例に、「データ規格の共通化」について提言いただきました。

MTAでは、各種情報がオープンデータ化されているだけでなく、共通のデータ規格(データ項目、ID体系など)を採用。これが土台としてあることで、バリアフリー対応ルートを検索することが出来るなど、便利なサイトが作りやすくなっています。

「データの規格が統一されると、よりシームレスに交通データが使いやすくなります。東京都にもぜひそれを実現してほしいです」と奈良氏は期待を込めました。

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市場のデータを活用すればフードロス削減につながる

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続いて、株式会社べスプラ 代表取締役の遠山陽介氏から、認知症や生活習慣病の予防に向けた健康サービスにおけるデータの活用事例をご紹介いただきました。

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遠山代表は、自治体が保有するデータ公開とその周知を推し進め、自分達のようなサービス事業者へデータの活用を広げて欲しいと話します。

「健康のために大事な要素である、外に出て体を動かす行動を促すためには、”きっかけ”や”気づき”を提供することが大事です。例えば、東京都が運営している『だれでも東京』というサイトの公園等のオープンデータをアプリに組み込むことで、『今日この公園に行って脳トレするとポイントを貰える!』といったイベントを実施することもできます。」

また、中央卸売市場のサイトで提供している卸売予定数量と販売結果のデータは、飲食店の需要予測に役に立ち、フードロス削減につながるのでは、と遠山代表は考えます。

「例えば、市場のデータを分析して、サバが安くなりそうなことがわかったとします。その情報を飲食店に展開し、もしサバを使いたいという店があれば、その店のサバのメニューを専用のアプリを通じてユーザ―に配信することも可能です。」

最後に、市場の販売実績などのデータを機械で判読できる形で提供していただきたいとの要望があり、中央卸売市場は、要望について検討を進めていくと答えました。

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機械判読性の高いファイルの提供を

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次に、東京都立大学の清水教授から、観光産業におけるデータ活用の重要性についてお話がありました。

「これまで観光産業は経験と勘に頼ってサービスを提供していました。しかし、これからはもっとデータも活用して取り組むことが必要です。」

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一方で、データの利用環境が課題になっていると述べます。

「自治体が公開する統計データは相変わらずPDF形式が多いです。分析するには、自治体のサイトからダウンロードして、そこに書かれているデータを改めて打ち込まないといけません。最低限、CSVファイルで公開してほしいです。」

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また、観光に関するあらゆるデータの充実が必要とも指摘します。

「例えば、年間の観光消費額がどのくらい増減したのかという結果のデータは存在しますが、その過程で何に取り組んだのかといったデータは整備されていません。東京都や国にはこういったデータ整備に加えて、観光情報サイトのアクセスログ、民間が取得する観光客の位置情報データ、アンケート調査の個票など、観光マーケティング技術の進化のために研究機関に提供してもらいたいです。」

「東京都の観光に対する取組が、日本全体の観光イメージにつながっていきます。世界から信頼される東京になるうえで、観光に関するいろんな情報・指標も積極的に公開すべきと考えます。」と清水教授は力を込めます。

これに対し、産業労働局は、観光施策において、データを基軸により良い施策検討を進めていく、と答えました。

データの利用価値を周知するべき

3人の提案発表を受けて、様々な意見交換がありました。

東京都が一刻も早く解決したいのが、オープンデータの利活用の促進です。これに対しては、提案者から厳しい意見が飛びました。

奈良氏は、「東京都オープンデータカタログサイト」の検索性が悪いと指摘します。

「目当てのデータが、どういう名称で、どういうキーワードかわかっていればいいですが、フワっと知りたいだけでは、データにたどり着けません。今は東京都の部局単位でデータのカテゴリー分けをしていますが、利用シーンに合わせた検索の仕組みを提供してほしいです」(奈良氏)

清水教授からも「問題意識を持ついろいろな分野の人が使いやすい仕様にすることが必要。また、ダッシュボードを用意し、データをどう加工すれば、何がわかるのかの分析事例なども示してもらえるといいです。また、アイディアソンやコンペなどデータを使ってチャレンジするような機会があるといい。」とアドバイスがありました。

遠山代表は、「データだけだと興味は少し薄れてしまいますが、このデータからアイディアが生まれ誰かの役に立つということがわかるといい。ハッカソン(※)なども今風で良い」と強調します。

※ 東京都では、2021年度に「都知事杯」というハッカソン(仮称)のイベントを開催する予定です。

また、オブザーバーとして参加した内閣官房 政府CIO上席補佐官の平本健二氏からは、データ活用事例を周知することの重要性について提言がありました。

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「せっかくいいデータなのに、使われていないことは多いです。利用者にわかりやすい検索機能はもちろんのこと、活用事例も合わせて周知するのが大切だと思います」(平本氏)

こうしたご意見などについて、早急に対応を検討していくことを確認し、ラウンドテーブルは終了となりました。

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今回のラウンドテーブルを通じて、都が保有するデータが持つ可能性と、更なる活用に向けた課題の一端が明らかになりました。

ユーザーである都民等の意見を聞き、オープンデータの充実を図ることは、「シン・トセイ」戦略に掲げる改革実践のキーワードの一つ「デザイン思考」そのものです。

ラウンドテーブルはまさにその実践の場であり、今後も、継続的に実施し、新たな発想や民間企業等が有する技術を活かした利便性の高いサービス提供につなげていきます。

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