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TIB Kickoff!「Startup Ecosystem Summit 2023」開催 ~スタートアップ支援の関係者が集まったらすごいことになった~

11月27日、東京都の新たなスタートアップ支援拠点、Tokyo Innovation Baseのキックオフイベントとして、「 Startup Ecosystem Summit 2023 」を開催しました。今回は、熱気に包まれたイベントの様子をご紹介します。


第2回目となるサミットはTokyo Innovation Baseで開催

東京都は、2022年11月、スタートアップ戦略「Global Innovation with STARTUPS」を策定し、ユニコーン数10倍、起業数10倍、行政とスタートアップの協働プロジェクト10倍を目指す「未来を切り拓く10×10×10のイノベーションビジョン」を掲げました。

このビジョンの実現に向けて官民一体で取組を実践していくため、スタートアップ支援に関わる様々なプレイヤーが交流し、東京のスタートアップ・エコシステムの発展につなげていくイベント「スタートアップ・エコシステム・サミット」を昨年初めて開催しました。2回目となる今年のサミットは、スタートアップの一大支援拠点「Tokyo Innovation Base(TIB)」のKickoffイベントとして開催。この日の参加者はなんと、800名以上!本当にたくさんの方々がスタートアップ支援に関わっていること、そして何より、ともにスタートアップを盛り上げていこう!という、皆さんの熱い思いを実感できる1日となりました。

【イベント概要】
〇日時:令和5年11月27日(月)15時00分~18時30分
※13時30分からのTIB プレオープンイベントに引き続き開催
〇場所:TIB
〇主催:スタートアップ等交流イベント推進会議
※構成員:東京都、(一社)スタートアップエコシステム協会、(一社)スタートアップスタジオ協会、(一社)スタートアップ協会、(一社)インパクトスタートアップ協会

※前回までの記事はこちらをご覧ください。

~スタートアップ・エコシステムってなに?~

「スタートアップ・エコシステム」という言葉を初めて聞く方もいらっしゃるのではないでしょうか?これは、「スタートアップや大企業、投資家、研究機関など、産学官の様々なプレイヤーが集積または連携することで共存・共栄し、先端産業の育成や経済成長の好循環を生み出すビジネス環境」のことを指し、自然界における生態系(Ecosystem)になぞらえたものです。「スタートアップ・エコシステム・サミット」は、スタートアップ支援に関わるあらゆる関係者が集まり、連携を強化することで、この「エコシステム」をさらに発展させるものです。言いかえれば、生き物を育む大地を豊かにするためのイベントですね。

イベントの様子を写真で一挙紹介

ここからは、「Startup Ecosystem Summit 2023」の模様を写真でお伝えしていきます。
まずは、イベント開始までの様子。

最初のセッションは、宮坂副知事によるオープニングトークです。
東京都のスタートアップ戦略を策定してから今日までの歩みと今後の展開を紹介。

続いては、Startup Genome Founder&PresidentのMarc Penzel氏Dealroom COOのMatthieu Demolin氏をお迎えしたトークセッション。モデレーターは株式会社Kind Capital代表取締役の鈴木 絵里子氏に務めていただきました。

Startup Genome Founder&President Marc Penzel氏
Dealroom COO Matthieu Demolin氏
株式会社Kind Capital代表取締役 鈴木 絵里子氏

このお二人、実は、世界中のスタートアップ・エコシステムを知り尽くした、すごい人たちなんです!
Startup Genomeは、世界のスタートアップ・エコシステムのパフォーマンスの向上を目指すシンクタンク。世界各都市の300万社の企業情報を用いて55か国以上でコンサルティング等の活動を行っています。「グローバルスタートアップ・エコシステムランキング」という、世界各都市の順位付けを毎年発表することでも有名です。
Dealroomは、アムステルダムに本社を構え、世界最大規模のスタートアップのデータベースを運営している事業者。世界中から170万社以上にのぼるスタートアップの情報を収集し、投資家などに提供しています。

世界で活躍するお二人に、グローバルスタートアップ・エコシステムの現状と展望について語っていただきました。
TIBについても「日本と世界との結節点となり、海外のマーケットを熟知した経験豊富な支援者とつながり、知識を吸収することが大事」など、グローバル展開に向けた期待の声をいただきました。

続いて行われたのは、ライトニングトーク。ここでは、サミットに参加する様々なエコシステムプレイヤー(支援企業)が、1社2分で次々に事業を紹介。こうしたプレゼンテーション(ピッチ)は、スタートアップのイベントで一般的に行われていますが、短時間に事業のポイントをまとめ、相手に分かりやすく伝えるのは想像以上に大変!(私たち東京都職員もやることがあるんです。)でもこのプロセスを経ることで、重要なポイントを整理し、自分の考えを研ぎ澄ますことができます。

今回は、アクセラレーター、コミュニティ・コワーキングオフィス、人事・採用、会計・資金調達など幅広い分野から56社もの企業が登壇。一口に「スタートアップ支援」といっても色々な関わり方があり、様々なプレイヤーがいるからこそ、生態系=エコシステムが出来上がっているのだということを実感しました。

2つ目のトークセッションでは、50年以上にわたりグローバルでの投資経験を有するベンチャーキャピタル(VC)ファンド代表のDavid Milstein氏、富山市内のインキュベーション施設HATCHの運営に携わっている德田 琴絵氏、大学の医学部に在籍しながら、イノベーション人材の育成に取り組む学生起業家の黒岩 駿氏が登壇。モデレーターは一般社団法人スタートアップエコシステム協会代表理事の藤本あゆみ氏に務めていただきました。現代の急速なテクノロジーの進化と社会変化の中でスタートアップ企業はどのように展望を切り拓いていくべきか、未来のスタートアップ・エコシステムについてディスカッションいただきました。

お三方は、グローバルな投資家、地方で活動する支援者、学生の起業家と、立場はまったく違いながらも、投資家や支援者、共に活動する仲間たちなど、人とつながっていくことの大切さ、そしてそのために、TIBをはじめとした各地の拠点やコミュニティ同士をつなぎ、大きな出会いの場をつくっていくことが重要であることについて、お話が一致していたことが印象的でした。

Eight Roads Ventures Japan Managing Partner, Head of Japan  David Milstein氏
HATCH コミュニケーター 德田 琴絵氏
一般社団法人ZEROGATE 代表理事 黒岩 駿氏
一般社団法人スタートアップエコシステム協会代表理事 藤本あゆみ氏

さらに、今回新たなコンテンツとして、投資家と起業家の交流を生み出す壁打ちイベントを開催しました。
34名の投資家と、60社のスタートアップが集まり、1対1の面談を組合せを変えながら次々と実施。15分という限られた時間で、自分の事業プランを端的に説明し、課題に対するフィードバックをもらわなければならないため、スタートアップの皆さんは真剣そのもの!1社あたり3人の投資家と壁打ちをすることで、異なる角度から意見をもらえる貴重な機会となりました。

~壁打ちってなに?~

「壁打ち」というと、テニスの壁打ち練習を思い浮かべる方も多いと思いますが、ここではまさに人に「壁」の役割になってもらい、自分の話を聞いてもらうことを指します。新規事業を始める際によく行われるものですが、この「壁打ち」を通じ、先輩起業家や投資家等に漠然としたアイデアや悩みを聞いてもらうことで、考えを整理しビジネスプランをブラッシュアップすることができます。

また、会場内には実際にスタートアップの製品を見て、触れることのできるブース展示も行い、多くの方で賑わいました。
次の写真は、「HARTi Photo®」。なんと、会場内に、オリジナルのフレームで記念撮影ができるフォトブースが設けられました。もちろん、ただの自動撮影機にあらず。撮影したデジタルデータをNFT (Non-Fungible Token:非代替性トークン)として保存できるのが特長です。

東京のスタートアップ・エコシステムの歩みとこれから

ここからは、イベント当日に宮坂副知事が行ったプレゼンテーションをもとに、東京都のスタートアップ戦略の、これまでの歩みと、今後の展開について紹介します。
2022年8月、都庁内の各局がそれぞれで動いていたスタートアップ施策の窓口を一元化し、ワンチームで動いていくため「Team Tokyo Innovation」を発足。そして11月にスタートアップ戦略を発表してから約1年。ここに至るまで様々な取組を行ってきました。

ポイントは、東京都だけでなくワンチームで色々な人と一緒に取り組むこと。例えば、「Tokyo Innovation Base」では、イノベーションを起こす“場”を民間企業の方と一緒にアイデアを出しながらつくっていったり、また、スタートアップと対話を行いながら一緒に都政現場の課題を解決したり。そのほか、スタートアップ支援団体や大学と連携し、学生や若者とスタートアップとの交流を生み出す取組や大学発スタートアップを支援する取組を行うなど、様々なプレイヤーと連携しながら、スタートアップを盛り上げる取組を展開してきました。

また、海外のスタートアップイベントで東京都の取組を広くPRする等、世界を視野に戦略的に発信し、海外のプレイヤーとつながる取組にも力を入れてきました。

今年2月に開催した国内最大級のスタートアップイベントCity-Tech.Tokyoでは、60以上の国、290以上の都市から2万6千人が来場しました。来年はこれをバージョンアップさせ、「SusHi Tech Tokyo 2024」を開催します。同時期に、「グローバルスタートアッププログラム」など3つのプログラムを展開し、世界中のスタートアップやその支援者、都市のリーダーなどが集まり交流することにより、サステナブルな社会の実現に向けたイノベーションを起こしていきます。

※グローバルスタートアッププログラムの詳細はこちらのサイトをご覧ください。

重要なのは、関係する皆さんとつながり、一緒に取り組むこと。この「Team Tokyo Innovation」を構成するプレイヤーの結節点となるのが、今回会場となったTIBです。前回の記事でご紹介したとおり、TIBも2024年5月のグランドオープンに向けて、機能を拡充していきます。

この1年間で色々な人とつながった結果、今回のイベントでこれだけ多くの方に集まっていただくことができました。また1年後、次回のサミットではこれを上回る盛り上がりを見せられるよう、東京都はこれからもみなさんとつながり、一丸となって取り組んでいきます。

挑戦者が生まれ、世界から集まり、挑戦者を応援する東京へ。東京都と一緒に、スタートアップを盛り上げていきましょう!

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