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ユーザーの声に耳をすませて。東京都水道局アプリは改善を続けています

東京都水道局では、東京都のほぼ全域(島しょや一部の市・村を除く)を給水区域とし、給水人口は約1,367万人、一日最大配水量は約443万㎥で、ロンドン、ニューヨーク、パリなどの各国主要都市の水道事業を上回る規模で、安全でおいしい高品質な水道水を24時間365日、休むことなく供給し続けています。

2022年10月、そんな水道事業の約1,367万人のお客さまサービスを向上させるため、水道に関する各種手続きがスマートフォンで簡単スピーディに完結する新たなアプリ、「東京都水道局アプリ」をリリースしました。

水道局アプリのチラシ

リリースから4か月余りで利用登録者数もどんどん増加し、1月末時点で50万ユーザー以上の方にご利用いただいております。

水道局アプリの登録者数は伸びています

今回のnoteでは、アプリ開発に携わった水道局サービス推進部の木村さん、石田さんにインタビューし、アプリの使い方とリリース後、現在まで続く改善について伺いました。

担当者の写真

アプリでできること

―――今回リリースされた水道局アプリの機能について教えてください。

【木村さん】
東京都水道局アプリでは、4つの機能が搭載されています。

(その1)
お引越しの際の水道の使用開始など、スマートフォンから24時間いつでもお手続きできます

アプリでは、お引越しの際の水道の使用開始/使用中止、水道・下水道料金の口座振替クレジットカード払い等のお申込みなど、様々な手続きが簡単スピーディにできます。

アプリのお手続き画面(サンプル)
アプリのお手続き画面(サンプル)

水道局のお客さまセンターの電話対応時間は平日と土曜日の8:30-20:00で、日曜日と祝日は対応していないのですが、アプリでは24時間いつでもお手続きをしていただくことができます。

(その2)
キャッシュレスで様々な支払い方法に対応しています

アプリではスマートフォン決済クレジットカードによる都度払いなど、様々な支払い方法に対応しており、PayPay・FamiPay・au PAY・LINE Payの4種類でお支払いができるようになりました。

アプリのお支払い画面(サンプル)
アプリのお支払い画面(サンプル)

(その3)
過去2年分の使用水量や料金がいつでもアプリ上で確認できます

これまで、水道の使用量などは、お客さまのもとへ送付する「紙」の検針票でご確認いただいていましたが、このたび、アプリ内で検針票や使用水量・料金の確認が可能になりました(一部地域を除く)。

すでに水道をご契約の方は水道局の基幹システムと連動し、アプリ登録以前も含め、お客さまの過去2年間の使用水量や料金アプリ上で分かりやすいグラフで確認することができるようになりました。(アプリへの反映はデータの連携後になります)「節水」などにもご活用いただくことが可能です。

アプリ上で使用水量・金額を確認できます(サンプル)
アプリ上で使用水量・金額を確認できます(サンプル)

(その4)
断水・濁水や災害時給水ステーションなど、様々なお知らせや情報が確認できます

これまで、水道局からのお知らせはホームページ等に掲載し、お客さまにアクセスしていただくことが必要でしたが、アプリ内で断水・濁水等の情報など、様々なお知らせを「プッシュ型」で確認することができます。

また、スマートフォンの位置情報を活用し、お客さまから一番近い「災害時給水ステーション(給水拠点)」を確認することもできるようになりました。災害時には開設状況もご確認いただくことができます。

お知らせや災害時給水ステーションの情報(サンプル)
お知らせや災害時給水ステーションの情報(サンプル)


アプリの開発からリリースまで

さて、今回の新しいアプリですが、どのような経緯で作られることになったのか、聞いてみました。

―――今回リリースされたアプリ開発の経緯を教えてください。

【木村さん】
水道局のウェブサービスは、これまで水道の使用開始や中止のお手続きができる「インターネット受付」と、お客さまがご自身の水道使用量を把握することのできる「東京水道マイネット」の2つが並立している状況でした。

「東京水道マイネット」では、本人確認のため、お申込みいただいた後に初期パスワードが記載された「はがき」を受け取ってからでないと利用できないなど、お客さまサービスという観点で課題がありました。

当時のはがき
当時のはがき(サンプル)

また、お客さまからはウェブ上でできる手続きの種類を増やしてほしいなど改善の声が寄せられていたこともあり、2つのウェブサービスを統合する形で2021年3月に水道局の経営プランでアプリ開発の方針を決定し、2022年10月、プラン公表から1年半でのリリースというスピードで事業を進めていきました。

―――アプリ開発で工夫した点はありますか。

【石田さん】
開発までにユーザーテストを繰り返して改善してきたところです。仕様の確定までにプロトタイプを使って職員や都民の方を対象に計3回のユーザーテストを実施し、リリース直前にも水道局のサポーター向けに先行体験会を実施しました。テストでのご意見を踏まえ、メニューの配置や文言などの表示内容、水道局のキャラクターである水滴くんの登場など、使いやすく親しみやすいアプリになるようUI等を改良しました。とにかくまずは形を作って改善していくというアジャイルの精神で開発に取り組んでいました。

担当者の写真

【木村さん】
サービスのリリース前には、都内各地で業務を行っている水道局の営業所やサービスステーションへアプリのことを周知するとともに、政策連携団体である東京水道株式会社や検針業務を行っていただいている業務委託先の方などにもくまなく周知し、水道に関わるステークホルダー全員で意識をあわせ、アプリのリリースを迎えることになりました。

* * *

ユーザーテストを繰り返し、ついにリリースというところまでこぎつけた水道局アプリ。リリース時にはどんな反響があったのでしょうか。

―――水道局アプリのリリース時、どんな反響がありましたか。

【木村さん】
リリースした2022年10月1日は土曜日で、朝から職場で待機していたのですが、リリースの8:30になった直後から、アプリの使い方に関するご質問やアプリのエラーメッセージの詳細など、お客さまからのお問い合わせで電話が鳴りやまない状態になり、一日中職員全員でお客さまの声に向き合いました。

その後も、はじめてのアプリで使い方に迷われているお客さまなどからのお問い合わせで10月いっぱいは朝から晩まで職場の電話が鳴り続け、スムーズにアプリをご利用いただけるよう丁寧にお答えし続けました。メールでのお問い合わせも多くいただき、1か月で1,500件ほどお答えしました。

担当者の写真


リリース直後から水道局アプリは改善を続けています

お客さまから多くの声をいただく中、初動段階から職員全員でご意見を受け止め、アプリの改善に着手しました。どのように対応してきたのでしょうか。

■初動段階からすぐに対応

―――リリース後、お客さまからのご意見にどのようにお答えしてきたのでしょうか

【石田さん】
リリース時にはベンダーさんも一緒に待機しており、不具合と思われるものについてはすぐに原因を究明し、順次改善対応をしていくことにしました。

いくつかお問い合わせいただく内容をお伺いしていると、セッションのタイムアウトの設定時間が短いことがお客さまのエラーメッセージ表示につながっていることが判明し、初動のタイミングでタイムアウトまでの時間を延ばす対応をすぐに行いました。

次にSNSでもお寄せいただいた声として、数字の入力が「全角入力」でないとエラーが出てしまうという問題があり、「半角入力」でもエラーが出ないよう修正を行いました。さらにご登録時に設定するパスワードについて、「記号」を使用されたいというご要望があったので、一部記号をパスワードに設定できるように変更を行いました。

■操作方法を解説する動画を手作りし、アプリ上の文言も細かく修正

―――使いやすいサービスにするために取り組んでいることはありますか

【木村さん】
アプリの操作方法に関する「動画」を職員の手作りで作成し、アプリからリンクをつけることで具体的な手順が伝わるよう工夫しています。初めてアプリをご利用される方向けの登録方法や水道料金のお支払い、口座振替の申し込みの操作方法など、現時点で10種類の動画をYouTubeで公開しています。

アプリのリリース後、利用者登録に関するお問い合わせを特に多くいただいたため、利用者登録画面に「ご登録に関する操作動画はこちら」というリンクを追加し、操作動画に誘導することにしました。

操作動画へ誘導

【石田さん】
アプリ上の文言・表現・言い回しも操作がわかりやすくなるよう細かく調整を行っています。

一例をあげると、引っ越しに伴う水道中止のお手続きの際、中止までに使用された水道料金の請求先に、アプリの導入後、なぜか「引越し前の住所」を誤って記入されているお客さまが大幅に増加してしまいました。当時、アプリの該当の入力画面には「郵送先情報」とだけしか記載されておらず、この表現では請求書の郵送先と伝わらなかったのではないかと想定されたため、表記を「請求書等の郵送先住所」と丁寧に説明するよう変更しました。

表現の変更

【木村さん】
その他、ご利用開始時のお客さま番号の記入欄やエラーメッセージの文言、直近でも、「支払う」メニューから支払いに遷移する際の「支払詳細」という表記がわかりづらいというご指摘を踏まえ、「明細を確認して決済する」という表現へ修正するなど、様々な場面で改善を行っています。

初めてお手続きをされるお客さまも迷うことなくスムーズに利用できるよう、こうした細かい改善を一つ一つ積み上げていきます。

■アプリストアのレビューには一つ一つ返信

―――アプリの改善のための心がけていることはありますか

【木村さん】
アプリストアでお客さまからいただくレビューはすべてチェックして改善に生かしています。厳しいご意見もいただきますが、もらったご意見こそが改善の重要なヒントだと考えています。

チームで目を通して改善できるものは改善し、いただいた500件以上のすべてのレビューに対して一つ一つ私たち職員からお客さまに向けてコメントを残しています。お客さまからいただくご意見の中にはアプリに対するお褒めの言葉もあり、チームみんなで喜んでおります。

アプリ単体で一から新しいものを作るということは私たちにとっては大きな挑戦で、今もお客さまの声をいただきながらより良いサービスを提供できるよう改善を続けています

アプリストアのレビュー


最後に

―――このnoteをご覧の方にメッセージをお願いします。

【木村さん】
アプリは今後、外国語対応支払方法の拡充などを行い、より多くの都民のニーズに応えていきたいと考えています。また水道局では、各戸の水道メータを順次「スマートメータ」へと切り替えていますが(2024年度までに約13万個、2030年代までに全戸導入)、そのご家庭ではメータとの連動により日単位での使用水量の把握なども可能となっており、メータの設置拡大に応じて、漏水の疑いをお知らせするなどアプリの活用も増えていきます。

新生活が始まるこの年度替わりの時期、お引越しなどで水道の使用・中止など、お手続きをされる方は多くなるかと思います。その際にはぜひ、このアプリをご活用ください。

東京都水道局アプリは2025年度に「100万ユーザー」を目指しています。これからも改善に取り組んでまいりますので、ぜひ、ダウンロードして使っていただき、ご意見やご感想を聞かせていただけますと幸いです。

登録者数の目標

【石田さん】
私たちの仕事は「蛇口をひねれば水が出る」というお客さまにとっては「あたりまえ」の仕事ですが、そんな「あたりまえ」をどのようにアプリで24時間いつでもどこでもスムーズにお届けすることができるかということを考えて開発しました。

断水・濁水など、プッシュ型で情報をお届けすることができるので、アプリの可能性は広がっています。ぜひ、多くの方にダウンロードして使っていただき、便利さを実感していただければうれしいです。

担当者の写真

―――木村さん、石田さん、ありがとうございました。

東京都水道局アプリ、この機会にぜひダウンロードして各種お手続きや使用水量・金額のご確認、最寄りの災害時給水ステーションのご確認などにご活用していただき、ご意見・ご感想をお寄せいただけますと幸いです。

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