「シン・トセイ2」へ
都政の構造改革がはじまって約1年半。
「シン・トセイ」は本日、「シン・トセイ2」へバージョンアップします。
これまでの構造改革の実践と成果を振り返りつつ、昨年3月に策定した「シン・トセイ」戦略をさらに推し進め、2025年度「デジタルガバメント・都庁」の基盤構築に向けてさらなる取組の加速化を図るため、戦略をバージョンアップしました。
スマートフォンが毎年、最新の技術を取り入れて1、2、3とどんどんアップグレードしていくように、私たちの改革もアップグレードさせていくため、今回、バージョンアップした戦略を「シン・トセイ2」と名付けました。
今回のnoteでは、このバージョンアップについて解説します。
5つの改革実践のスタンス
これまで私たちがさまざまなプロジェクトを実践していく中で、これがカギだと感じたものをみんなで議論し、それらを「5つの改革実践のスタンス」としてまとめ、戦略に盛り込みました。
実践01:ユーザーとの対話を徹底する
都政の構造改革が目指すのは、QOS(Quality of Service)の向上です。そして、その答えは都民や事業者などユーザーが知っています。
これまでも、世論調査やパブリック・コメントなどを行ってきましたが、各種手続のユーザーレビュー機能の実装や、サービス開発の際のユーザーテストの実施など、新しい取組が始まっています。
ユーザーとの対話が「非日常」から「日常」へと変化しつつあります。
実践02:QOSを徹底して数値化しデジタルで爆上げする
オンラインのサービス提供、テレワーク、テレビ会議の急速な拡大など、将来目指す姿としていたものが瞬く間に現実のものとなりました。
ユーザーの多くはインターネットに常時接続され、スマートフォンなどのデバイス、コンテンツ、求めるニーズやライフスタイルも目まぐるしく変化しています。
今、デジタルの力を梃子に、「不便・面倒・複雑」な行政から脱却し、より良いサービスを、より速く、より多くの人へお届けしていきます。
実践03:働く環境を変えることで、人を、仕事を、組織を変える
なぜ都庁がオフィス改革?
職員の働く環境や仕事の進め方を変え、内部事務のムダを徹底的に排除し、イノベーティブで都民サービスに直結した業務へとシフトを進めます。
あなたの仕事はこれ、働く場所はここ、と決められた場所で決められた仕事をする時代から、職員が自らの仕事や働き方を主体的に捉え、より効率的で付加価値の高い仕事を進める組織へと、転換を進めています。
実践04:制度や仕組みなどの構造的な課題に切り込む
短期集中で様々なプロジェクトを実践していく中で、これまでの制度や仕組みなどの構造的な課題が顕在化しつつあります。
民間や国、区市町村など多様なプレイヤーと連携しながら、柔軟な発想とアプローチで、これらの構造的な課題へと向き合っています。
実践05:変革をスピードアップし、サービスをいち早く実現する
デジタルが主流となっている昨今、スピードこそ最大の武器です。
先進的な民間企業、諸外国では、短期間で様々なイノベーションとより多くの革新的なサービスを生み出し、大きな成長を遂げています。
社会環境の劇的な変化にアジャイルに対応するために、都においても、様々なデジタルツールの活用や、仕事の進め方の見直しや創意工夫を行い、計画立案や事業執行の「年度単位を慣例」とする思考から脱却を図ることで、事業の検討から実施、検証のサイクルを早め、“爆速”経営を実現していきます。
* * *
「シン・トセイ2」に盛り込んだこれら「5つのスタンス」を改革の実践の中で都庁の中に着実に浸透させ、都庁を「デジタルガバメント」に変えるための改革の突破口である「7つのコア・プロジェクト」、各局事業のサービスの提供のあり方や仕事の進め方そのものを改革する「各局リーディング・プロジェクト」を推進していきます。
CoreProject01:未来型オフィス実現プロジェクト
「未来型オフィス実現プロジェクト」では、全庁展開を見据え、未来型オフィスを都庁本庁舎15部門へ拡大していきます。
未来型オフィスに対しては、1on1ブースや会議用高機能大型ディスプレイを導入するとともに、民間シェアオフィスの活用、仮想オフィスツールの導入など、新しい職場を支えるオフィスのバージョンアップも図ります。
リアルのオフィス空間だけでなく、日常業務でのクラウドの活用や、デジタル共通基盤の拡充など、全庁のデジタル基盤の強化にも取り組んでいきます。
さらに、オフィス改革は本庁だけでなく事業所でも進めていきます。
全事業所を対象としてディスプレイなどの基礎的なデジタルツールの導入を一気呵成に進めるとともに、クラウドサービスなどの実践的なデジタルツールの導入拡大を進め、実践により事業所の業務・働き方を変革していきます。
CoreProject02:5つのレス徹底推進プロジェクト
「5つのレス徹底推進プロジェクト」では、ペーパーレス、FAXレス、はんこレス、キャッシュレス、タッチレスの取組を進めています。
2021年度末には、ペーパーレス50%削減、FAXレス98%削減、キャッシュレス都民利用施設全78施設での完了が見込まれるなど、着実に成果をあげています。
2022年度はさらに取組を進め、ペーパーレス70%削減の達成に向けて、PDF編集ソフトなどのデジタルツールの導入や、「上司は部下に紙で資料を求めない」「上司自ら、紙を出力しない」など、意識啓発に取り組んでいきます。
また、電子署名の導入など、デジタル化によるはんこレスの更なる推進や、事業所におけるペーパーレス、FAXレスにも取り組んでいきます。
CoreProject03:ワンストップ・オンライン手続プロジェクト
「ワンストップ・オンライン手続プロジェクト」では、主要な169の行政手続のデジタル化に取り組んでまいりましたが、昨年7月に策定した「東京デジタルファースト推進計画」に基づき、全ての手続のデジタル化に取り組んでまいります。
行政手続のデジタル化推進のため、SaaSによるクラウド型電子申請基盤を整備し、約400のプロセスで活用を予定しています。また、補助金申請システム「jGrants」によるデジタル化を本格実施します。
サービス改善のため、それぞれの申請基盤にユーザーレビュー機能を実装し、より使いやすいシステムへと継続的に改善を実施します。
CoreProject04:オープンデータ徹底活用プロジェクト
「オープンデータ徹底活用プロジェクト」では、先日初代都知事杯が決定した「都知事杯オープンデータ・ハッカソン」を引き続き開催し、2022年度は5件の新サービス創出を目指し、取り組んでいきます。
また、東京都オープンデータ・カタログサイトの改善を行い、アクセス数1,000PV/日を目指すほか、オープンデータ・ラウンドテーブルも引き続き開催し、データの民間ニーズを聴取し、さらなるオープンデータの充実につなげていきます。
CoreProject05:スタートアップ・シビックテックとの協働推進プロジェクト
「スタートアップ・シビックテックとの協働推進プロジェクト」では、スタートアップとの協働を深化させていくため、「シン・トセイ2」とあわせて「スタートアップ協働戦略ver.1.0」をとりまとめました。
協働戦略では、次の3つの戦略に基づき取組を進めていきます。
戦略の策定にあたっては、ヒアリングを通じて課題を抽出するなど、スタートアップ企業のみなさまにもご協力いただきました。こちらの戦略は別の機会にnoteで改めてご紹介する予定です。
その他、引き続きユーザーテストガイドラインに基づきテストを推進していくとともに、都内区市町村の地域課題とシビックテックをつなぐ新たなプラットフォームの構築などにより、シビックテックとの協働機運を醸成していきます。
CoreProject06:都政スピードアッププロジェクト
さて、「シン・トセイ」戦略で取り組んできた「内部管理事務抜本見直しプロジェクト」は、改革実践のスタンス「変革のスピードアップ」を踏まえ、「シン・トセイ2」では「都政スピードアッププロジェクト」にバージョンアップし、取組を更に高度化、加速化させることになりました。
事業執行の迅速化、弾力化のため、各種デジタルツールの導入によるシステム開発の迅速化、債務負担行為の活用による各種工事等の平準化などにより事業執行をスピードアップします。
また、構造改革推進チームに事業局を加えたチームにより、事業の実情を踏まえた技術面、制度面の課題整理を進め、各局事業スケジュールの更なる前倒しを実践していきます。
さらに、契約・会計の仕組みの見直しにも取り組むため、「シン・トセイ2」とあわせ、現場の声や時代のニーズを踏まえた調達に関する「改革の実施方針」を策定しました。
具体的な取組の4つの方針として
を掲げ、契約・支出事務のデジタル化と併せ、契約・会計の仕組みの見直しを進めていきます。
CoreProject07:組織・人材マネジメント変革プロジェクト
「組織・人材マネジメント変革プロジェクト」では、様々な主体との交流や協働を推進し、人材に徹底的に投資します。
デジタル人材の確保・育成のため、このたび「東京都デジタル人材確保・育成基本方針」を策定しました。スキルを詳細に可視化するデジタルスキルマップの導入などを盛り込んでいます。こちらの方針については、別の機会にnoteで改めてご紹介する予定です。
DX推進体制を強化するための土台づくりも加速します。
質の高いデジタルサービスを提供し、都民等の"QOL"を向上させるため、「行動指針」を策定するほか、東京都職員の育成、海外や民間の先進事例調査及び区市町村との連携を一体的に進めていくため、「東京デジタルアカデミー」を新設します。
また、都政が新たなステージを迎える今、課題を解決し、未来を切り拓く組織に転換していく必要があります。チルドレンファーストの社会を実現する体制の構築のため、「子供政策連携室」を新設するほか、「スポーツレガシー」を都民の豊かな生活へつなげる「生活文化スポーツ局」の設置、「世界から選ばれる都市」の実現に向けた東京の発信力の強化のため、政策企画局に「戦略広報部」を設置します。政策連携団体との協働も引き続き進めていくことで、「未来の東京」を創り上げていく体制を着実に整えます。
各局リーディング・プロジェクト
全庁共通で進めていく7つのコア・プロジェクトとあわせて、各局事業のサービス提供のあり方や仕事の進め方そのものを改革する「各局リーディング・プロジェクト」は、これまでの31プロジェクトから47プロジェクトに拡充し、これまでの成果を他の行政サービスへと波及させ、新たなプロジェクトへと横展開します。
テーマ1「先端技術の社会実装」では、オンラインやVR等による芸術文化の鑑賞、体験などの7プロジェクトを追加し、テーマ2「防災対策のDX」では、帰宅困難者対策オペレーションシステムの構築など2プロジェクトを追加しました。
テーマ3「「伝える広報」から「伝わる広報」への転換」では、統計データのオープンデータ化など2プロジェクト、テーマ4「行政手続、行政相談など都民サービスの利便性向上」では、電子契約サービスの導入など3プロジェクト、テーマ5「業務の高度化・内部事務等の効率化」は、従来の「内部事務等の効率化・省力化」という名称を改称し、3Dデータ等を活用したインフラ建設・維持管理の高度化など3プロジェクトを追加しました。
現場レベルでの構造改革を都庁全体で推進することで、都政のサービスの質(QOS)を向上させていきます。
双方向コミュニケーションで改革を推進
シン・トセイを進めるにあたって最も大事にしているのが、都民や職員との「双方向コミュニケーション」です。
ポータルサイトや今ご覧いただいているnote、TwitterといったSNSを通じて、改革の進捗状況などを皆様へ「見える化」するとともに、いただいたご意見・ご感想を取組に反映する「デザイン思考」を徹底します。
また、2021年8月から、職員からの提案を募る「デジタル提案箱」にコミュニケーション機能を付加しバージョンアップしました。提案や議論を活性化することで、ユーザー目線での改革を推進し、職員のオーナーシップを向上させていきます。
「シン・トセイポータルサイト」では、本日、2021年度第3四半期の進捗状況を公開しましたので、あわせてご覧ください。
「双方向コミュニケーション」の実践を通じて、都庁の内外に「仲間」を増やしていくことが、都政の構造改革を推進するなによりの力となります。
これからも情報発信を続けてまいりますので、ご意見・ご感想をいただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。