【ショートストーリー】ハンドメイド作家の憂鬱っぽいもの

「……アクセス数伸びないなー」

 今回のは自信作だった。てか、今までで一番凝ったデザインだったのに。

 ハンドメイドマーケットプレイスのアクセス数は、言い訳できないほどに一桁、というかほぼ0だ。

「はー……作りたいものだけ作っててもダメってことなのかなー」

 商品名や説明文、写真の撮り方、作っているときの作業の流れをちょっと見せてみたり、SNSでの宣伝とか……出来ることは一通り試した。

 けど、結果は芳しくない。

 SNSを開くとフォローしている作家達の「売れました!」や「完売しました! ありがとうございます!」の文字列で埋め尽くされていて、正直嫌になる。

 ハンドメイドは純粋に好きで、作るのも実際に身につけるのも楽しい。けど、いざそれに値段を付け、世界に発信してもまあ残酷な結果になるのがオチである。

「私と仲良くしてくれる人達はじゃんじゃん売れて、私だけ売れないのは何でなんだろう」

 あーやめたやめたとスマホの画面を閉じ、作業机に伏せる。目を閉じて、少し現実から目を背けてみようと頭を空っぽにする。が、頭の中はぐるぐると悩みが駆け巡った。

 思えば、販売してみようなんて思うのがマズかったのかもしれない。

 SNSですごい作家さん達が販売して、日々楽しそうにしているのを眺めていると「ああ、私もやってみたい」と思ったのが、そもそもの間違いだったのかも。

「はー……ため息しか出ないわ」

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