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決して見られることのない恋文
お久しぶりです。お元気ですか。
私のことを覚えていますか。
突然の連絡、驚かれたことでしょう。
この間、実家に帰った時、学生時代にあなたとやり取りした手紙が出てきました。
それで、懐かしくなったんです。それだけです。
と、言い切れれば良かったのですが、本当は違います。
会いたくなったんです。
もう、最後に会ってから、かなりの月日が流れました。その時の私達では、もちろんないでしょう。会ったとして、何を話すのかと、あなたは思われるでしょう。
私は知っていました。一緒にグループ活動をしている時、あなたは私の友達のことを見ていたことを。私は友達の付属物でしかありませんでした。優しい言葉をかけてくれたことは感謝してます。
手紙のやり取りをしている時、あなたはよく私が叱咤激励をすることを望みましたよね?私はそれ程しっかりした人間ではなかった。でも、それで必要とされるならと、私はあなたを何度も励ましました。
でも、あなたは本当の私を見てくれてはいないのだなと思ってました。実際、あなたとのやり取りは共通の目的がなくなったら、途絶えてしまいました。本当はやり取りできることがとても嬉しかったのに。
それでも、私は一人でいて、寂しいと思う時、あなたのことを思い、会いたいと願ってしまう。
たぶん、私は、あなたのことが好きでした。そして今も好きなんだと思います。
この思いがあなたに伝わることがないとしても、この恋が叶うことは万が一にもないと分かっていても。
あなたに会ったとして、私は何食わぬ顔で、「久しぶり。元気だった?」と笑いかける、悲しい自信があります。
あなたは、私に応えてくれるでしょうか?
ここまで書いた手紙は、あなたに出すことなく、破いて捨てるつもりです。あなたに自分の思いを伝えることはないでしょう。
あなたは、自分の知らないところで、誰かに思われているのです。そして、それに一生気がつかない。少しは寂しくなくなりましたか?あなたは一人ではありませんよ。
これが本当にあなたに伝えたかったことですが、代わりに当たり障りのない手紙を送ります。
お返事はいりません。私の本当の気持ちなんて、何一つ書かれていませんから。
では、いつまでもお元気で。
いつかあなたの前で笑えることを、あなたの笑顔が見られることを、祈っています。
明日は早出です。頑張ってきます。
私の創作物を読んでくださったり、スキやコメントをくだされば嬉しいです。