【短編小説】マフラーが繋ぐ奇跡/有森・古内シリーズその16
クリスマスや年末を前にして、飾り付けられたイルミネーションが、まばゆい光を放っている。
さすが、土曜日。さすが、クリスマスイブ。
この駅前の人の多さは、普段の土日に比べたら、断然多いと思う。
彼女が人混みに酔ったり、誰か怪しげな人に声をかけられなきゃいいけど。駅前で待ち合わせじゃなく、僕が彼女の家まで迎えに行けばよかった。
僕は首元のマフラーに顎を埋めると、大きく息を吐いた。
息はマフラーから漏れて、視界に白く映る。
僕の座っている円形の石のベンチから、冷たさが登ってくる。