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馬越晶は空気を読まない

初日。とはいえ、ゲネプロまではまだ時間があるので、受付のスペースを間借りしてキーボードを叩いております。もしかして劇場内ってWi-Fiつながらない??

馬越晶は、本日初日の公演で山岸綾佑さん(空チーム)と竹田紫月さん(海チーム)のお二人が演じている役です。

今回、チームによって性別が異なるのは最初からのプランです。間違いとかではありません。

馬越という名字は私が働いている会社(私はお客様のオフィスに常駐しています)の営業部隊で、いつも歩きながら、そして大きな声で営業電話をしていて、とてもスマートじゃない営業マンです。今はもういません。どこに行ってしまったのか。その声が聞こえてくる度に私の作業はストップするぐらいには迷惑な人でしたが、印象強い人でした。まあ、そんな人からお名前を借りたわけです。馬越。

晶というのは男性がやっても女性がやっても通じるような中性的な名前で決めました。きっとこの役ってやりようによってはどうにでもなる、というのは悪ではないけれど悪としても生きられるし、善人としても見せられると思っています。彼、彼女の信念はあくまで善良な心で、行動もそれに伴うものなので。

医者を目指して医学部に通い、卒業してインターン、病院勤務の後に厚生労働省に新設された部署に勤めるという、若干、不思議なキャリアを歩んでいる人。型破りな人生と思われがちですが、そうでもない。馬越はそのキャラクターが飄々としているためか、行きあたりばったりな人生とか思われてしまうこともあるけれど、人の何倍も考えて、考えて、考えて、感じて行動をする人です。意味もないことは決してやらない。

敵も作るし、味方も少ないかもしれない、でも誰に対しても同じように接する。上も下もない。左も右もない。中立であり公平。だから私はこのキャラクター、結構好きです。

馬越は真実を追及するためにこの施設にやってきた。視察が目的です。医師として救えなかった命、目の前で失っていく命を前に、時に傷つき、無力さに苛まれたことも在るなか、不老不死という研究が馬越の目にはどう映っているのか。もしもそのような研究にお金が費やされるのであればもっと別の、人の命に関わるような病気などの研究費にお金を出すべきではないかとも思っている。

ただ、この施設で過ごしている人々を知っていく中で、馬越もまた、研究に対してもそうだが、被験者の瑛美たちに対しても理解を深めていく。共感とは異なるものだが。

彼、彼女の視察の結果は、その判断は、どのようなことをもたらすのか。

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