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22年度大学入学共通テスト_予備校解説まとめ(1・2日目)

22年度の大学入学共通テストが終了しました。大手予備校の分析結果が出ましたので昨年に引き続きまとめてみました。

※昨年度のまとめ記事はこちら
21年度大学入学共通テスト_予備校解説まとめ(1・2日目)

2022年度の共通テストを分析している各予備校のページは以下になります。

駿台・ベネッセ / 河合塾 / 代ゼミ / 東進

1.各予備校難易度比較表(1・2日目)

各予備校HPより筆者が作成

2.各科目特記まとめ(1日目)

●英語(リーディング)

・英文、リード文、図表等の総語数は昨年から約500語増加し、約4400語。設問選択肢等の総語数は昨年と同程度の約1500語。[代ゼミ]
・出題内容は、「動物園のウェブサイト」「図書館利用に関するポスター」「家電購入に関するブログ記事」など身近な話題を扱った英文から、「ある発明家の伝記文」「プラスチックのリサイクルといった説明的文章」まで多様な題材であった。多くの大問で図表やグラフが使用されており、複数の情報源から概要・要点を把握する力が求められた。[東進]
・設問では記述内容の順序を問う問題や、プレゼンテーションの骨子を完成させる問題などが出題され、昨年同様に多面的に情報を処理することが求められた。[駿台・ベネッセ]

●英語(リスニング)

・イラスト並べ替え問題が出題されたが、その他の大きな変更なし。昨年に続き、音声情報とイラストやグラフなどの視覚情報を組み合わせて答える問題が出題された。[駿台・ベネッセ]
・出題傾向に大きな変化はない。第4問Aでは、昨年のグラフの問題ではなく、4つのイラストを時系列に並べる問題が出題され、数の聴き取りが姿を消した。[河合塾]
・特に後半では専門的な内容や、複数人の発言内容の整理が必要な問題等、1回で聞き取って解答するにはやや難しい問題も含まれた。[代ゼミ]

●国語

全体としての本文の分量は、ほぼ昨年並。設問数は変更がなく、解答数は減少。[駿台・ベネッセ]
第1問(現代文)
・「食べる」ことについて論じた二つの文章が出題された。昨年の第1日程では本文と同じ本の別の箇所が設問で補足的に取りあげられていたが、今年は、【文章I】【文章II】という形で、異なる筆者の二つの文章が取りあげられている。[河合塾]
・漢字問題で同一漢字の異なる意味を問う問題が新たに出題された。[東進]
第2問(小説)
小説は問1の語彙の問題がなくなった。問5(ⅰ)は生徒のノートに基づく空欄問題。共通テストの特徴的な問題といえる。[代ゼミ]
第3問(古文)
・同じ場面を描いた別ジャンルのテキストを比較させる出題がなされた。昨年以上に、複数の文章や資料を関連付ける力が求められ、やや難化。[駿台・ベネッセ]
第4問(漢文)
・漢詩とその序文の組合せによる出題。漢詩の出題は2020年度センター本試以来3年連続である。詩と文章の組合せという点で、共通テストの新傾向である複数テキストによる出題と言えるが、文章の内容が主に問われた。[駿台・ベネッセ]

●世界史B

・アジア・アフリカ史からの出題が多く、オセアニア史から複数問出題。すべての大問に資料(史料文・表・図版)の読み取り問題があり、会話文を活用した問題も見られ、形式の上では昨年から大きな変化はなかった。 [河合塾]
・前年は知識で解く要素と史資料を読解して解く要素を混ぜる形の問題が見られたが、今年は知識問題と読解問題がはっきりと分かれていた。[代ゼミ]
・資料(地図、絵画、写真、史料、グラフ・表)の数が13と昨年の17よりもやや減少したが、センター試験と比較すると大幅に増加している。[東進]

●日本史B

・通常のリード文形式の出題は第6問のみで、会話文形式の問題が半分を占めるほか、メモ・年表・系図を素材に史資料を多用することで、多角的な視点から問う問題が多く見られた。難易は難化。[代ゼミ]
・情報量の豊富な史資料の正確な読み取りを要求する問題が多く、情報を消化し解答するためにやや時間を要する。[代ゼミ]
・姓と苗字の違いなど、多様な資料を活用し考察する力が求められた。難易は昨年並。 [駿台・ベネッセ]
・全体としては標準レベルの問題である。昨年度に比べて多様な資料を用いた出題が増加し、受験生に「思考力・判断力」を求める姿勢がより強く打ち出された。また、受験生が苦手とする形式である年代配列問題が4問から6問に増加した。難易はやや難化。[河合塾]

●地理B

・全体としては、資料の読み取りに時間を要する問題がみられたものの、求められた知識は標準的な内容で、昨年よりやや易化。[駿台・ベネッセ]
・複数の資料を参照させる問題が多く、読み取りと判断に時間が必要であった。昨年よりやや難化。[河合塾]
・大問の問題文、小問の図、表、写真、選択肢表などの文字を除いた、設問文および選択肢の文字数は1万字程度で、昨年度より2,000字ほど少なかった。とはいえ、問題文を迅速に読み、判断することが求められる。[代ゼミ]
・第2問はSDGsを意識した資源利用と環境に関する出題となっている。 第4問では共通テスト移行によって姿を消していた「比較地誌」が部分的に復活した。[東進]

●現代社会

・全体としては取り組みやすい出題が多く、学習した内容が確実に身に付いていれば解答できた。[駿台・ベネッセ]
課題探究学習の比重が高まった。第5問の課題探究学習の設問数が昨年の3から5に増加している。[河合塾]
・問題文・資料の微増や、単純な4択正誤問題が減り、「組合せとして最も適当なもの」を選ばせる設問がさらに増えたことで、受験生の負担は少し増加したと思われる。[代ゼミ]
・基礎知識に加え、文字数の多い問題文を速読し、内容を把握する必要のある問題が多い。設問方式が多様であり、慣れておく必要がある。[東進]

●倫理

・形式は従来のリード文がなくなり、おもに生徒の会話文などで構成された。思想家の考え方の理解をもとに、具体的場面を提示し、現代の倫理的諸課題について考察する問題がみられた。易しかった昨年と比べて難易はやや難化。[駿台・ベネッセ]
・選択肢の行数の合計が全体でおよそ1.5倍に増加したため、より正確な読解力が求められた。[河合塾]
・読解量が増えただけでなく、出題の意図をつかみにくい設問もあり、受験生の負担は増加。[代ゼミ]
・従来のセンター倫理では、各大問の冒頭に1ページ分のリード文があり、その趣旨を読解させる設問があったが、昨年はリード文が大問1題だけに配置され(趣旨読解問題はなし)、今回はついにリード文を配置した大問は一切なくなった。[東進]

●政治・経済

・論理的に判断する力が求められる一方で、基本事項の理解を問う問題もみられたため、難易は昨年よりやや易化。[駿台・ベネッセ]
・単純な4択問題が減少し、8択の組合せ問題が増加した。個々の設問を解くために必要な作業量が多く、解答に時間がかかる問題が多かった。[河合塾]
・各国通貨の購買力についての「ビッグマック指数」の設問など、特に経済分野で意欲的な出題が目立った。[代ゼミ]
・論理的思考力を問う姿勢が顕著。[東進]

●倫理・政経

・すべての設問が単独科目「倫理」および「政治・経済」と共通であった。[駿台・ベネッセ]
・第1~4問が「倫理」からの抜粋、第5~7問が「政治・経済」からの抜粋という構成は前年通り。[代ゼミ]
・「倫理」では、未来世代に対する現代世代の責任などがテーマとして扱われ、「政治・経済」では、地方自治や民泊などを切り口に、資料や文章から考察する問題が出題された。[駿台・ベネッセ]

3.各科目特記まとめ(2日目)

●物理基礎

・大問3:スプーンを題材に、金属の比熱、密度、抵抗率の3つの物理的な性質について、会話の中で仮説を立てながら、実験を通して検証・考察する問題が目新しかった。[駿台・ベネッセ]
・大問3:1つの大問で3つの分野が含まれる問題は初めての出題であった。[河合塾]

●化学基礎

・問題文の長い設問が目立ち、読解力と思考力を要した。第2問では、エタノール水溶液の蒸留に伴う質量パーセント濃度の変化について問われ、実験操作の内容を理解し、見慣れないグラフを読み取る力が要求された。[駿台・ベネッセ]
・第2問は、エタノールが題材であった。実験操作の内容やグラフから必要な情報を抽出して解答を導く、難易度が高い問題も含まれていた。[河合塾]

●生物基礎

・平易な知識問題がほとんどなく、与えられた図表に基づいて正解を導き出す問題が多く出題された。多くの受験生が苦手とする酸素解離曲線に関する問題が出題された。[河合塾]
昨年度では出題されなかった会話文形式の問題が出題された。昨年度と同様、知識を直接的に問う問題の数は非常に少ない。「写真を用いた実験考察問題」など、真新しい問題も出題されている。他に、計算問題も昨年に引き続いて出題された。なお、昨年度の特筆点として、「合理的な推論」を選ぶ問題や分野を跨ぐ問題が出題されたことがあげられるが、今年は出題されなかった。[東進]

●地学基礎

・第2問では、グラフから津波の到達に要する時間を読み取る問題が出された。第4問では、災害の予測およびハザードマップの作成方法や、環境変動・自然災害の原因に関する理解が問われた。[駿台・ベネッセ]
平易な問題が多く、解答しやすかった。[河合塾]
・図表を読み取らせる問題が増加した一方で、知識自体を問う問題も増加していた。[代ゼミ]

●数学Ⅰ

会話文で考察やヒントを与える中問が昨年の1題から3題に増えた。全体で4ページ増加。[東進]
・第1問〔2〕で背理法が扱われた[駿台・ベネッセ]
・日常の事象(測量)を題材とした問題が出題された。また、「図形と計量」と「2次関数」、「2次関数」と「集合と命題」の融合問題が出題された。[河合塾]
日常の事象を題材とする問題は、昨年は、第1日程と第2日程ともに2次関数から出題されたが、今年は図形と計量から出題された。また、単元をまたいだ融合問題の出題は目新しい。[河合塾]

●数学Ⅰ・A

・会話文で考察やヒントを与える中問が昨年の1題から2題に増えた。全体で4ページ減った[東進]
・第1問〔2〕では現実事象を扱い、三角比の表を利用する問題が出題された。第2問〔1〕ではグラフ表示ソフトを用いた対話形式の問題が出題された。[駿台・ベネッセ]
・第1問〔2〕は、三角比と測量を絡めた出題であるが、縮尺が関係するところが珍しい。選択問題である第3問以降は、どれも誘導が少なめ 。[代ゼミ]

●数学Ⅱ

・第1問で分野融合問題が出題され、第2問が中問形式で出題された。[駿台・ベネッセ]
・第1問では太郎さんと花子さんが登場し、解答者は、2人が問題を解決する過程を追体験することになる。問題の分量が多いので、思考する時間が足りない受験生が少なくないと思われる。[河合塾]
・1つの問いを複数の方法で考察する問題などが目新しく、ページ数は21年度の12ページから17ページと大幅に増加。また、第3問に三角関数が配置されたことも目新しい。[東進]

●数学Ⅱ・B

・全体を通して幅広い知識の活用が求められ、平均点が高かった昨年と比べてやや難化。[東進]
・従来のセンター試験と比較して計算量は若干減少したが、問題文をしっかりと読んで丁寧に考察しなければならない問題が多かった。[代ゼミ]
・第1問〔1〕において、2019年度センター追試験以来みられなかった「図形と方程式」の出題があった。第4問「数列」では、現実事象を扱った対話文を含む問題が出題された。第5問「ベクトル」では、対話文をもとに考察を進めていく平面ベクトルの問題が出題された。[駿台・ベネッセ]
・頻繁に太郎さんと花子さんが登場し、解答者は、2人が問題を解決する過程を追体験することになる。[河合塾]

●物理

・物理法則についての数式処理よりも、「ある物理量が何と何で決まるか」というような言葉での理解が重視されている印象である。[代ゼミ]
仮説の誤りを実験で検証する見慣れぬ設問や、時間と思考力を要する設問が大幅に増えた。その一方、知識で即答できる設問もあったため、全体として難易度は昨年並みと思われる。[河合塾]
物体の運動に関する仮説を検証するために、記録タイマーを用いた力学台車の運動の実験を行う問題が出題された。[駿台・ベネッセ]
・概ね出題傾向としてはセンター試験に近く、昨年の第一回共通テストよりも新たな傾向を含む設問は減少している。しかし、第2問の前半では「物理的に誤った仮定」を実験的に反証することをテーマとしたあまり類を見ない出題が見られた。[東進]

●化学

・昨年同様5大問構成で、実験を題材にした問題が多く、特にアルケンのオゾン分解を題材にした問題が目新しい。[駿台・ベネッセ]
・第1問の気体の溶解度や第3問のアンモニア・ソーダ法の量的関係、第5問の反応熱のように、手間を要する計算問題も多く試験時間内で解ききるのに苦労した受験生も多かったと思われる。[代ゼミ]
・昨年や試行調査で見られた方眼紙を用いて解答を導く問題は姿を消した。[東進]

●生物

・昨年以上に処理する情報が増え、統合して判断する必要があり、昨年より難化。大問間での配点のばらつきは昨年ほど大きくはなかった。[駿台・ベネッセ]
・身近な題材や生物学的に重要なテーマが扱われており、分子生物学的な内容を絡めた出題もみられた。実験・観察や資料解析を通じて読解力や考察力・解析力など総合的な理解度を試す内容となっている。[代ゼミ]

●地学

・試行調査で扱われた、1つのテーマに沿って各分野の内容を問う総合問題が昨年(第1・2日程)に引き続き出題されたが、レポート形式の問題は出題されなかった。[河合塾]
・基本知識を問う空欄補充問題は増加し、計算問題や考察問題が減少したため、難易度はやや易しくなった。[河合塾]
・単純な知識問題が減少して読図や文章読解のウエイトが大きくなった分、解答に時間を要すると思われる。[代ゼミ]
・「20世紀初頭における地学的な発見」に関する問題が出題された。[東進]

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