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23年度大学入学共通テスト_予備校解説まとめ(1・2日目)

23年度大学入学共通テストについて昨年、一昨年に続き、まとめてみました。

22年度大学入学共通テスト_予備校解説まとめ(1・2日目)
21年度大学入学共通テスト_予備校解説まとめ(1・2日目)

今年の特記は、以下のようになるかと思います。
・「英語[リーディング]」は予備校によって評価が分かれる
・昨年度まで平均点が高かった「世界史B」の難化
・昨年度、大きく平均点を落とした「数学I/IA/Ⅱ/ⅡB」の易化
・昨年度、大きく平均点を落とした「生物」は、予備校によって評価が分かれる。
・「地学」は予備校によって評価が分かれる

2023年度の共通テストを分析している書く予備校のページは以下になります。

駿台・ベネッセ / 河合塾 / 代ゼミ / 東進

1.各予備校難易度比較表(1・2日目)

各予備校HPより筆者が作成
各予備校HPより筆者が作成

2.各科目特記まとめ(1日目)

●英語(リーディング)

・設問では記述内容の順序を問う問題や、プレゼンテーションのスライドを完成させる問題などが出題され、昨年同様に多面的に情報を処理することが求められた。比較的読みやすい文章が多く、昨年よりやや易化。[駿台・ベネッセ-やや易化]
・本文のタイプが、第1問Aが料理本から劇の鑑賞の案内に、第2問Aが図書館の案内から靴の広告に、第5問が伝記から物語文にそれぞれ変わった。[河合塾-昨年並み]
・昨年に引き続き、本文と設問等を合わせた総語数は約6000語におよび、依然として問題分量は多い。表やリード文を含む英文の様々な箇所を参照し、必要な情報を素早く読み取る力が求められる。第6問Bなどでやや解答根拠の特定に手間取る設問があり、全体として昨年よりやや難化した。[代ゼミ--やや難化]
・ほぼすべての大問で図表が使用されており、複数の情報源から概要・要点を把握する力が求められた。[東進-昨年並み]

●英語(リスニング)

・イラスト並べ替え問題がなくなり、図表完成問題が出題された。講義全体を理解する必要がある問題や、放送文からの言い換えに注意が必要な問題もみられたが、全体的に取り組みやすく、昨年よりやや易化。[駿台・ベネッセ-やや易化]
・第4問Aで、昨年の4つのイラストを時系列に並べる問題ではなく、グラフの問題が出題され、比較表現を聴き取る必要があった。ただ、全体として出題傾向に大きな変化はない。[河合塾-昨年並み]
・昨年同様、第3問から第6問は1回読みの出題であり、またイギリス英語などの読み上げも含まれた。[代ゼミ-やや易化]

●国語

・全大問で複数テキストを比較・関連付ける思考力を問う出題。昨年よりやや難化。[駿台・ベネッセ-やや難化]
・<現代文>
第1問では、ル・コルビュジエの建築物における窓について考察した二つの文章が出題された。第2問は小説からの出題で、語句の意味を問う知識問題が見られなかった点は、昨年と同じ。ただし設問数は増えて問7までになっている。
<古文>
歌論からの出題は2018年度センター試験『石上私淑言』以来である。しかし、本文の内容にはまったく歌論的なところはなく、和歌に関連した説話といった趣である。本文や設問の形式は2022年度の本試験・追試験を踏襲したもので、共通テストとしての形式がある程度決まってきたように思われる。
<漢文>
2年続いていた漢詩の出題はなかった。[河合塾-昨年並み]

●世界史B

・昨年と比べて、会話文や資料の分量が増加した。加えて、これまで以上に学習した知識をもとに資料を読解し、吟味・検討する力が求められた。難易は昨年より難化。[駿台・ベネッセ-難化]
・大量の史資料を掲載して読解させるという点では例年の共通テストの傾向と変わらなかった。今回はとりわけ文字史料が多く、史料以外のリード文も読解しなければならない文章が長かった。それぞれの難易度は高くないが、読み進めるのに苦労した受験生が多かったのではないかと思われる。[代ゼミ-昨年並み]

●日本史B

・昨年に引き続き、歴史事象を多面的・多角的に考察させる問題が多く出題された。第3問では中世の経済活動に関する模式図を用いた新傾向の出題が、第6問では近現代の世界の動向と日本とを関連づけることを意識した出題がみられた。[河合塾-昨年並み]
・高校生による「探究」を想定した場面が6大問中5大問で設定され、生徒のメモや先生の説明、劇の台本を作成する会話などが素材として出題された。図・地図などの資料は減少したものの、史料を引用した問題が増加した。大問数6問・小問数32問は昨年度と同じで、全体的には、読解を必要としない設問も目立った。[東進-やや易化]

●地理B

・多様な資料が扱われ、基本的な知識をもとに深い理解が求められた。難易は昨年並[駿台・ベネッセ-昨年並み]
・読み取りと判断に時間が必要となる複数の資料を参照させる組合せ形式の問題が定着し、短時間に多くの情報を処理する能力が求められている。[河合塾-昨年並み]
・図表の分析等は、正確な知識があれば正解できる。とはいえ、前年よりも工夫されたグラフや地図が多いので、注意して取り組み、失点を防ぎたい。[代ゼミ-昨年並み]
・第4問の地誌で、インド・中国2カ国を広域的に取り上げる問題が復活した。[東進-昨年並み]

●現代社会

・すべての大問で生徒の活動場面が題材となり、学習した事項を具体的な事象に関連づけて考察することが求められた。基本的な知識を中心とした出題であったが、文献や統計、模式図など様々な資料が扱われ、多くの情報を効率よく読み解く必要があった。国際経済分野からの出題が増加した。難易は昨年並。[駿台-昨年並み]
・文字数は従来ほど多くなく、会話文も見られるなど、読み易い設問が多い。身近な具体的例示も多く、普段からの問題意識が大切である。[東進-昨年並み]

●倫理

・問われる知識の内容は昨年同様に標準的なものであったが、原典資料の数、選択肢の行数がともに若干増加したため、より迅速で正確な読み取りが必要となり、やや難化したと考えられる。[河合塾-やや難化]
・過剰に読解要素のある問題が散見される上、2ページの問題を解く際にページをめくる必要があるなど、時間を要するつくりとなっている。また、単純な2行の4択問題も、内容が細かく、受験生には最終的な正誤を確定させられないものが目立つ。よって全体の難易度はやや難化。[代ゼミ-やや難化]

●政治・経済

・「倫理、政治・経済」との共通の設問が4大問中3大問で出題された。ほとんどの設問に統計や模式図などの資料が用いられており、基本知識を土台とした考察力、読解力などの総合的な学力が求められた。[駿台-昨年並み]
・文章読解や計算など、解答に必要な作業が減少したため、昨年よりやや易しくなった。[河合塾-やや易化]
・政治分野では、少年法などの知識問題が目立つほか、前年に一旦なくなった最高裁判決文の出題が復活するなど、やや難化した。経済分野でも、設問文などに説明があるとはいえ、リサイクル率や国内総生産など細かな数量的把握が必要な設問が目立つが、難易度としては前年並み。トータルで、やや難化している。[代ゼミ-やや難化]

●倫理、政治・経済

・すべての設問が単独科目「倫理」および「政治・経済」と共通であった。正確な知識と資料読解を組み合わせて考察力を問う問題が増加。[駿台-やや難化]
・倫理分野では、比較的取り組みやすい設問が多く出題されたが、なかには受験生が見落としがちな知識事項を扱うものもあった。政治・経済分野においても、判断に迷うやや難しい設問が出題されているが、多くは教科書の知識で対応は可能である。[河合塾-昨年並み]

3.各科目特記まとめ(2日目)

●数学Ⅰ

・第3問と第4問の分野の順序が変更。第2問では、空間図形の出題もあった。第4問では、バスケットボールに関する現実事象に対し、与えられた【仮定】をもとにボールの軌道を2次関数として考察する出題であり、対話文もあった。昨年と比較して、各問題の導入部分で取り組みやすいものが多く、昨年より易化。[駿台・ベネッセ-易化]
・昨年は典型的な問題が少なかったが、今年は典型的な問題が適度にあり、取り組みやすい構成であった。また、初めてみるような問題でも誘導が丁寧であり、解きやすかったと思われる。[河合塾-易化]

●数学Ⅰ・A

・第2問〔2〕では、バスケットボールの2つの軌道を比較する「2次関数」の問題が出題された。第3問では、大学入学共通テストで初となる「場合の数」のみからの出題であった。第3問、第5問では、【構想】をもとにして解く問題が出題された。昨年と比較して、各問題の導入部分で取り組みやすいものが多く、昨年より易化。[駿台・ベネッセ-易化]
・初めてみるような問題でも誘導が丁寧であり、解きやすかったと思われる。[河合塾-易化]
・昨年よりはやや解きやすくはなっているが、分量は少ないとはいえず、煩雑な設定もあるので、時間内に解答するにはやや厳しい内容であった。昨年よりはやや丁寧な誘導ではあるが、完答にはかなりの力が必要である。[代ゼミ-やや易化]
・問題の分量は昨年度と同程度であるものの、計算量、考察する量は昨年度と比べやや減少。正誤を判定する問題は出題されなかった。[東進-易化]

●数学Ⅱ

・第1問〔2〕では対数に関する背理法の問題が出題された。第2問では、ソメイヨシノの開花日時に関する現実事象を扱った問題が出題された。昨年出題されていたグラフを選択する出題はなかった。また、第3問で図形の性質を踏まえて考える出題があった。計算量が減り、昨年よりやや易化。[駿台・ベネッセ-やや易化]
・第2問[2]は、日常生活の話題を数学の問題として解き、得られた結果を考察する問題(数学的な問題発見・解決の過程を問う問題)であった。昨年に比べて問題の意図がくみ取りやすかった。[河合塾-やや易化]

●数学Ⅱ・B

・第2問〔2〕は、ソメイヨシノの開花日時を「積分法」を用いて予想する現実事象の問題。第4問「数列」は、預金に関する複利計算を2通りの【方針】で考察する問題。昨年出題された「図形と方程式」からの出題はなかった。各問題の導入部分は取り組みやすいものが多く、昨年より易化。[駿台・ベネッセ-易化]
・読むべき文章量は増加したが、問題の意味が明確であり、昨年に比べて出題者の意図がくみ取りやすかった。さらに計算量が少なくなり、出題者の意図が理解できれば、短時間で解くことができた。[河合塾-易化]
・昨年と比べれば易しくなり、分量も時間に対して少なめである半面、問題設定を読み取るのに苦戦する箇所が多かった。第1問、第2問は比較的取り組みやすい。例年は第3問~第5問は手間がかかるのだが、昨年よりは難易度が控えめである。全体として大問・小問ごとの難易の差が大きかったため、取れる設問を見抜き、確実に取る力が例年以上に要求された。[代ゼミ-易化]
・昨年度に比べ、問題文の分量が増加した。必答問題はやや取り組みやすいものの、選択問題の随所に取り組みにくい設問がある。[東進-やや易化]

●物理基礎

・会話文や分野融合問題の出題はなくなり、共通テストにおける特徴的な設問が大幅に減った。昨年よりマーク数は1減少。[河合塾-昨年並み]
・出題形式は、第1問は小問集合、第2問は例年A、Bに分割されての出題であったが、今年は第3問同様A、Bの分割のない問題となった。また、昨年出題された会話文を交えた問題、数値を直接マークする問題が見られなかった。典型的な設問がやや増加したが、思考力・文章読解力・注意力を要する設問、定性的に考察をさせる設問も多く見られた。[代ゼミ-昨年並み]

●化学基礎

・第1問では、教科書に沿った基本的な問題が数多く出題された。第2問では、しょうゆに含まれるNaClの量を測定する実験が出題され、長い問題文を読み、操作や反応のしくみを理解して考察する力が求められた。グラフを選択する設問や、数値そのものをマークする形式の設問もみられた。[駿台-昨年並み]
・第2問は昨年より難しいが、第1問は解答しやすい問題が昨年より多く、全体としての難易度は昨年並みである。[河合塾-昨年並み]

●生物基礎

・実験結果を論理的に考える力、グラフを読む力、計算力など、多様な科学的思考が問われ、分野融合形式もみられた。知識が必要な問題も、そのまま問うのではなく、知識を活用して判断する必要があった。[駿台-昨年並み]
・平易な知識問題がほとんどなく、設問文や与えられた図表に基づいて正解を導き出す問題が多く出題された。[河合塾-昨年並み]
「思考力」を問う出題が多い。大問ごとの配点が変化![東進-やや易化]

●地学基礎

・図を用いて思考力や判断力を問う出題が多い傾向は昨年と変わらず、難易は昨年並。[駿台・ベネッセ-昨年並み]
・高度な考察を要する問題もあったが、問題文中の手掛かりを見逃さなければ基本的な知識で解ける問題もあったので、注意深さが得点率を分けたと思われる。[代ゼミ-例年並み]

●物理

・空気中での落下運動やコンデンサーの充電と放電に関する探究活動の問題が出された。グラフの縦軸・横軸の選び方を工夫して関係を見出す手法や加速度の大きさを求めるための手順を問う点、実験データからより正確な電気容量を推定するための解析方法の工夫を問う点は目新しい。[駿台-昨年並み]
・問題文の内容と誘導を十分に理解しないと、物理法則の運用にたどり着けない問題が増え、さらにデータの分析力を必要とする数値計算の問題も増加したが、計算により確実に正解が選択できる問題が増加した。[河合塾-やや易化]

●化学

・平均点が低かった昨年に引き続き、問題文やグラフから必要な情報を読み取ったり、正しいグラフを判断したりする思考力を要する問題が多く出題された。[河合塾-昨年並み]
・実験を題材にした読解力と考察力を要する問題や、目新しい題材を扱った問題が出題されている。全体としての難易度は、昨年並み。[代ゼミ-昨年並み]
・大問数、設問数は変化なし。マーク数が昨年より2つ増加。第5問の総合問題では、方眼紙を用いて解答を導く問題が出題。[東進-昨年並み]

●生物

・さまざまな切り口の出題がみられ、高い思考力が求められた。[駿台-難化]
・生物の知識を活用した上で、読解力と高度な思考力を要する考察問題が多く、生物の知識のみで解答できる問題や、生物の知識を必要としない考察問題は少なかった。[河合塾-難化]
・昨年通り、実験・観察や資料解析を通じて読解力や考察力・解析力など総合的な理解度を試す内容であった。選択肢が絞りやすく取り組みやすい問題があった一方で、読み取る文章が長く解答に時間を要する問題もみられた。[代ゼミ-昨年並み]
・リード文が長く図表の数が多くなったが、選択肢の数が減り、解きやすい問題が増え、難易度は昨年度並み。[東進-昨年並み]

●地学

・図表の読み取りを求められる問題が多かったが、地学基礎の知識で解答できる問題も多く、昨年よりやや易化した。[駿台-やや易化]
・第1問では、地学の様々な分野における二次元と三次元の図を相互に置き換える、やや難しい考察問題が出題された。しかし、第2問以降は取り組みやすい問題が多く、全体として難易度は昨年と同程度と思われる。[河合塾-昨年並み]
・設問数と解答数は減少した一方で図表問題が増加し、考察を要する問題も多く、単純な知識問題が減少した。全体の難易度はやや難化したと思われる。[代ゼミ-やや難化]


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