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共通テストの感想 ~影響は、形式変更よりもコロナの方が大きい?~

2021年2月13日、14日の特例追試験を最後の日程に、初めての大学共通テストの全日程が終了しようとしています。すでに、1月16・17日日程、30・31日日程の国立大学への出願は締め切られ、大まかな傾向が見えてきました。
今回は、東大合格者を毎年数十名ほど輩出する関東の学校の先生方から初めての共通テストの感想を伺うことができたので、ご紹介したいと思います。

1.出願に影響を与えた情報の特記

まずは、共通テストの結果と出願者数に影響を与える大学入試制度の特記を簡単にまとめてみたいと思います。

●センター試験から共通テストによる出題傾向の大きな変化があった
●理科②(物理・化学・生物)と公民(現代社会・倫理・政治経済)で最大8点ほどの得点調整発生した
●共通テスト受験者のうち、浪人生が昨年から約2万人減
●横浜国立大学・宇都宮大学・信州大学一部の学部などで2次試験の中止
●事前の予備校の志望校調査から、地元国立大志向=関東私立大学を敬遠、海外大学学部系の不人気が予想されていた

今年は、国立大学出願前に上記のような情報が出願に大きな影響を与える特記として考えられていました。これらの情報を元に各校の進学指導の先生や担任の先生は、生徒の出願相談をおこなっていたようです。

2.共通テストは難しかった?やさしかった?

今年の共通テストに関する感想を伺うと、伺う人によって感想が大きく異なります。

Aの意見:形式が変わって難度が高くなった
Bの意見:形式が変わっても学習の本質的な要素は変わらず、問われている内容は少し易しかったくらいである

これは、各予備校の問題分析を比較しても現れている傾向で、科目によっては「難化した」という評価と「易化した」という評価が割れるものが複数ありました。<21年度大学入学共通テスト_予備校解説まとめ

どうも共通テストの平均点にも、Aの意見のような傾向がでた学校や、Bの意見のような傾向がでた学校があったようです。

センター試験時代からの傾向として、国立最難関大学を輩出する高等学校において、センター試験の合計点が800点を越える生徒が何名ほどいるのかというのが一つの目安になっています。
どうも共通テストでは、全国的に800点を越える生徒の人数が減ったようではありますが、個別の学校で見てみると例年と変わらない傾向だった学校と例年より大幅に人数が減った学校があったようです。
これがAのような意見とBのような意見に別れる要因になったのかもしれません。とはいえ、全国的な平均点をみると標準偏差は例年と変わらず、二極化が進んだという傾向ではなかったようです。

3.東大合格者数、数十名の輩出する学校のお話

筆者が今回お話を伺ってきた、毎年東大合格者を数十名輩出する学校では、Bのような意見を持つ学校が多かったように思います。
形式に得点が左右されたという生徒は少なかったとのことです。

しかし一方で、「2020年3〜4月に発令された緊急事態宣言により一斉休校の影響が出たように感じた」とのお話を共通して伺うことが多かったように思います。
その影響というのが、「自宅学習を独自で進めることができた生徒」と、「自宅学習を進めることができなかった生徒」の二極化が進んだとのことでした。

例年、センター試験800点を越えるような生徒の中には、学校があまり関与せずとも学習を進めていける生徒が多くいるようです。
このような生徒は、「自宅学習を独自で進めることができる生徒」で、一斉休校になっても自ら学習を進め、もしかしたら学校に来ない方が成績が伸びるのではないかと思う生徒もいたようです。
毎年、このような生徒は一定数いるため、共通テストになっても800点を越える生徒の数が大幅に変化したという状況にはならなかったようです。

一方で、800点までもう少しという層の生徒たちについてのサポートについては苦労したというのが共通見解でした。
例年であれば、学習状況を見てアドバイスや、モチベーションアップのための声かけ、何らかの学習サポートなどを行っていたそうですが、3〜5月の大事な時期にそのような取り組みを行えなかったことが大きな痛手だったようです。

ある学校では、2021年1月に2度目の緊急事態宣言が発出されて、今一度オンラインの授業にすべきかどうかということが議論されたそうですが、上記のような傾向から、学校に来てもらい、生徒の様子を見ながら授業を行う方が望ましいだろうという結論に至ったそうです。

この学校は、全国的にも早くから生徒全員にデジタル機器を購入させるといった取り組みをしていた学校でもあり、1度目の緊急事態宣言でもオンラインの対応が早かった学校だっただけに、そのお話を伺ったときには、大変驚きました。

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