「七人の侍」野武士考⑳番外編 五郎兵衛・七郎次・勝四郎・平八

(七人の侍を読んだ前提で書いてます)

本論であまり触れることのなかった侍について書きます。

五郎兵衛

初登場「御冗談を」のシーン。このエピソードからも危機察知能力の高さが伝わっていきます。守備の要の侍。「守るのは攻むるより難しい」といった勘兵衛ですが、彼の死は大誤算だったことがうかがえます。

野武士「7騎」と引き換えで高くつくと言ったのは、決して過大評価ではなく、残り13騎をすべて村に入れて最終決戦に持ち込むしかなかったのは、彼の頓死によるものが原因だったのではと考えられます。

彼が生きていれば、接近戦、局地戦、集中攻撃を定跡通り続け、より楽に勝てたのではないでしょうか。

七郎次

槍、刀どちらも自在に使い、乱戦、接近戦も、攻防すべてにおいて強い。火縄のにおいを一瞬でかぎつけるのも超人的だが、その場の全員即座に避難させるなど対応力もすごい。

「今度こそ死ぬかもしれんぞ」と官兵衛に言われ、不敵な笑みを浮かべる豪胆さ。味方を鼓舞し、士気を高める統率力。そして最後まで生き残るサバイバル能力。七郎次最強説を標榜したい、と個人的には思っています。

勝四郎

万蔵の娘、しのと最後は結ばれることなく終わる。百姓とさむらいは全く違う生き物である、ということをはっきりさせている。「荒野の七人」のラストとはここが決定的に違う。個人的には彼の成長ストーリーをもっと描いて欲しかった。

平八

「おぬし野武士を40人ほど斬ってみんか」と五郎兵衛に言われたところで勧誘シーンが終わっているが、なぜ参戦するに至ったかが、あまり明確になっていない。そういう意味では一番謎の男。

何度か見るうちに気づきましたが、久蔵との関係が微妙なのが面白い。初対面から、視線を逸らしています。野武士の隠れ家に強襲するとき、久蔵に張り合うようについていく。剣の腕から来るコンプレックスだったのか。

一方「話すってのはいいことでな、話すだけでもいくらか人間楽になる」と利吉に語りかけるなど、カウンセリング能力もある。あのシーンはあそこで利吉がだんまりを決めて終わっているが、その後利吉と過去をポツリポツリと語り合ったのではないかと、思っている。(そう思うとその後の利吉の悲しみも又、違って見えて面白い)

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