見出し画像

さわやかのハンバーグ:願う心が人を癒す

「これから」を考える人たちが集う町、加美原町。
ここの住人たちは、深い「思考と対話」が好きだ。
お互いの発想を広げ合おうと、今日も町は賑わう。

加美原町の住人には、「モデル」が存在する

この町は、実在する人物の経験と学習からつくられています。
人生の物語が、まちの物語として語り継がれていきます。
それが小説『思考と対話』の世界です。
(※ネタバレはありませんので、安心してお読みください)

小説『思考と対話』は、第一章をこちらから無料でお読みいただけます。

画像1

ちょっと最近、京都に「みーちゃん」と呼ばれる人がいました

竜さんからの紹介で、雫は仕事をがんばる大人に会いに行った。
帰省先の静岡を訪ねると、みーちゃんは笑顔で歓迎してくれた。
そして雫をハンバーグの聖地「さわやか」に案内してくれた……

画像2

【勝手にキャラ設定】
静岡が育んだ元気印。愛想が良く、笑いの瞬発力も高い。
本人いわく、人見知り。でも見た目は何事も楽しんでそうな陽キャラ。
心の闇は仲良くなるまで見えにず、ヘコんだ時は猫のように姿をくらます。
じゅくちょうも「早く良い人をやめなさい」と諭すが、
自分もやめられないことに気付いて一緒にヘコむ。

「さわやかのハンバーグと、私の人生って、真逆なんだよね」

行列に並んでいる間に、みーちゃんが急に変なことを話し始めた。
雫は思った。ある意味、博希のお母さん以来の衝撃かもしれない。
「さわやかは、見た目はフツーのファミレスだけど、味はサイコー。
 私は、第一印象は良いけど、考えが浅くて自信がない。」
 レストランもみーちゃんの話も、はっきりしていることがあった。

全然、さわやかじゃない。

画像3

「みーちゃんは本当にいろんな経験をされてきたんですね」

 席に案内されるまで、一時間半ほどかかった。その時間を利用して、雫はみーちゃんの経歴を聞いておいた。マッサージ、リラクゼーション、エステ……聞いた印象としては、経験豊富で頼もしそうだった。
 でも、みーちゃんの意見は違った。

「ほら、さわやかには、げんこつハンバーグっていう看板メニューがあるでしょ? でも私には、コレっていえるものがなくて……てか、技術さえ磨けばお客さんは来る、って思ってたんだよね」
「僕もまだ自分の取り柄がわかってなくて焦ってます」
 注文して待つ間、二人は自信のなさで無駄に意気投合した。

「表面的な技術だけ磨いてもダメ」

ってエステのお師匠からも……

「お待たせしましたー!」
 話が核心に入りかけたところでやっとハンバーグが届いた。熱々の鉄板からいい匂いが漂ってくる。

「私には長原さんって師匠がいて、よく心の話をしてくれたんだ。体を扱う仕事なのに、お客様を想う心がないと、技術だけじゃ人は癒せないって。あの時はわかったつもりになってたなー」

 みーちゃんが話している間に、店員さんがハンバーグを二つに切り分けてくれた。中はまだ赤々としたミンチ肉で、ソースと鉄板の熱が調理の仕上げに一役買っていた。ジュー……

画像4

「ハンバーグはスパイスと焼き加減で味が決まるでしょ。人の体も想いと技術が絡み合って初めて、芯から癒されるのかもって、最近ようやく思えるようになったんだ。」

 ハンバーグに特製ソースをかけると、鉄板はジュワーッと音を立てて蒸気をあげた。お腹はペコペコ、ようやく食事にありつけ……

「ところで雫くん、さっきから話聞いてる?」
「え……ハンバーグもマッサージも”熱”が大事ってことですね」
「そうだけど、なんかちがーう! もっかいやり直しっ!」

 入り口に目をやると、ちょうど列に並び始めた人と目が合った。食事までまだ少し時間がかかりそうだ。
(To be continued…)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


思考と対話で発想を広げる


勉強を教えない塾 福幸塾


www.fukojuku.com

小説『思考と対話』


https://amzn.to/2PWzUPi
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

↓こちらから一章をお読みいただくことができます↓

画像5


サポートがあると、自信と意欲にますます火がつきます。物語も人生も、一緒に楽しんでくださって、ありがとうございます。