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東急7200系の転属で、余剰車が無駄なく7600系に改造された理由

昨日は2000系の一部早期廃車について考えましたが、時代を30年以上前に巻き戻して、意地でも(?)ステンレスカーを有効活用していた時代のお話です。
主に大井町線で活躍していた7200系を目蒲線や池上線に転属するにあたり、電動車比率を上げる必要があり、編成替えをした結果制御車が余剰となりました。
2000系の場合と違い、転用にあたっては余剰となった制御車を、VVVF制御で電装し7600系に改造することで全車を無駄なく転用しています。
その理由を考えてみました。

①他に優先度の高い置き換え対象・転用先があった
改造された1986年当時の状況を考えると、5000系・5200系が消滅したものの、3000系列もまだまだ健在でこれを置き換える必要があったほか、7000系もまだまだ全車現役だった時代です。18m新車(後の1000系)をすぐに目蒲線や池上線に新製配備することが現実的に期待できない状況では、制御車であっても7200系を廃車する余裕はなかったのでしょう。

②先頭車改造が必要なかった
中間車(デハ・サハ)だけが余剰となった2000系の場合と異なり、余剰となっていたのは先頭車(クハ)です。7915Fという例外はありますが、思えば他社譲渡を除き、先頭車改造という手間のかかる転用は避けている傾向が見受けられます。

③車歴が若い
種車の車歴を調べると1967-68年製造ですから改造時点で車歴18年です。今で言えば3000系や5000系のポジション。3000系が続々と乗入対応工事に入っていますから、今後の余命と投資効果を考えた場合には現実的な時期です。

④VVVF車の実用検討
電装にあたり、20年近く前の電装品を新規調達することは現実的ではないかと思いますが、そうした転用にあたっての課題を一発で解決してくれるのが、VVVFインバータ制御装置でした。
1986年と言えば、9001Fがデビューした年です。一方で8500系が編成単位で製造されていたりと、一貫性が無いようにも見受けられます。
ただこの時代はVVVFインバータ制御装置の実用性をより深く検証していく必要があったでしょう。系列の東急車輛製造の存在を考えた場合、「新造車・本線系統・20m車」という9000系に対して、「改造車・支線系統・18m車」という位置付けの車両も必要であったことは十分に考えられ、まさにそれが7600系だったのではないでしょうか。

改造された7600系は2010年〜2015年に順次引退しましたが、VVVFインバータ化されていたこともあり7200系よりも長寿を誇りました。長い車両では改造後30年近く使われた訳ですから、7200系として活躍した期間よりも、7600系として改造後の姿で活躍した期間が長かった点もポイントですね。

模型では?
7600系は人気のある形式だとは思いますが、残念ながら量産完成品としては販売されていません。黄色い箱のキットが販売されていましたが、今となっては入手困難。ですが、7200系とその譲渡車が鉄コレで販売されていますので、模型で製作する際はこちらから改造するのがベストだと思います。
製作の際は、3D屋根をぜひどうぞ!

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http://koushincarfirm.work/shopbrand/ct21/

(7600系への改造前は非冷房車として活躍していましたので、非冷房屋根もあわせてどうぞ!)

6000系や9000系の3Dパーツなどを作られている作者さんやモデラーさんの作例を拝見しますので、この夏は、黎明期のVVVF車を揃えていくというのも良いですね!
実車のVVVF制御装置と、鉄道模型の3Dパーツ。
課題を一発で解決できるというのは、どことなく同じような位置付けな気がします。

更新綜合車両事務所の中の人でした!
ぜひ公式ホームページにもいらしてください!
http://koushincarfirm.work

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