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変革を起こすリーダーになるために

皆さん、リーダーシップというと、まず頭に浮かぶのは、仕事と報酬、つまり合理的な交換関係で成り立つ関係ではないでしょうか。実際、これが組織運営の基本であり、多くの場面で非常に有効です。ですが、ある時、ハーバード大学のバーナード・バス教授たちは、そんな合理的な交換関係だけでは説明がつかない現象に気づきました。

彼らが調査を進める中で、ある特定のリーダーのもとで働く人々が、報酬や罰といった外的な動機付けを超えて、チームの目標のために自主的に動き、時には自己犠牲まで伴うような行動を取っていることを発見したのです。

例えば、『上司のためにここまでやりたい』『このプロジェクトを成功させることが自分の誇りだ』といった気持ちが引き出されていた。これを見たバス教授たちは、これまでの『交換型リーダーシップ』とは異なる、まったく新しいリーダーシップスタイルを発見しました。それが、変革型リーダーシップです。

変革型リーダーシップでは、リーダーがメンバーにただ仕事を指示するのではなく、共通のビジョンを提示し、そのビジョンに対する『共感』や『情熱』を引き出すことで、報酬や罰では決して引き出せない行動を生み出すのです。このリーダーシップが、優れた組織や変革を成し遂げる上で重要な鍵であると、彼らは明らかにしました。

さて、この『変革型リーダーシップ』がなぜ重要なのか、少し深掘りしてみましょう。皆さん、部下をリードする場面を思い浮かべてみてください。そのとき、部下をどのように見ているでしょうか?もしかすると、日々のタスクを効率よく遂行する人材、つまり『業務遂行者』として見てしまうことはないでしょうか?

実際、交換型リーダーシップでは、それで十分に成果を上げることができます。目標を設定し、報酬や罰を明確に提示することで、部下を効率よく動かすことが可能です。しかし、それだけでは、組織の中で起こる大きな変革や、想像を超えた成果を生み出すことは難しいのです。

ここで変革型リーダーシップが登場します。このリーダーシップでは、リーダーが部下を単なる業務遂行者としてではなく、組織の目標達成や変革に貢献する『主体』として捉えます。部下が自分の仕事をただの義務ではなく、自分自身の使命や成長につながるものだと感じたとき、部下の行動は大きく変わります。

例えば、皆さんのチームの中で、『この仕事は自分にとって意味がある』と感じたメンバーが、驚くような結果を出した経験はないでしょうか?そのような瞬間こそが、変革型リーダーシップが発揮された瞬間なのです。つまり、リーダーが共通のビジョンや目的を示し、それに対する共感や情熱を引き出すことで、報酬や罰を超えた自発的な行動を促すのです。

では、どうすればこのようなリーダーシップを実践できるのでしょうか?重要なのは、単に目標を設定するだけではなく、その目標の『意義』や『必要性』をメンバーに伝えることです。たとえば、『このプロジェクトが組織や社会にどのような影響を与えるのか』『あなた自身の成長にどうつながるのか』といった点を、具体的に示すことが求められます。

さらに、抽象的なビジョンだけではなく、実際に目に見える形でのビジョンの提示も効果的です。たとえば、成功のイメージを描いたプロトタイプや具体的な成果の例を示すことで、メンバーは目標をより現実的に感じ、行動に移しやすくなります。

変革型リーダーシップは、単にメンバーを管理するのではなく、メンバー一人ひとりの内面的な成長ややる気を引き出し、組織全体の可能性を広げるアプローチです。皆さんが部下と接する中で、どのようにして彼らを『業務遂行者』ではなく、『変革の主体』として見ていけるかがポイントになるのです。

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