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社内講師が知っておくべきLMXとは

社内講師が講師をする上で、以下の上司と部下との関係性について理解しておくのは大変有効です。

■上司と部下との間で起きている課題
ある調査で以下のようなことが言われています。
「部下の個性や状況を理解できている」と感じている上司(61.7%)に対し
「上司に個性を理解してもらっている」と感じる部下は(42.2%)である。

皆さんは、どのように感じますか?

■上記課題に関する研究知見
上司部下の関係の質を表す重要な概念に「LMX(Leader-member exchange)」という考え方があります。伝統的なリーダーシップ研究は「リーダーが全ての部下に対して同じように接する」ことを前提にされているものが意外と多いのです。

しかし、現実には3人の部下がいれば、3人それぞれに異なる接し方、関心の向けたがあるわけです。こうした個別具体的な上司と部下の関係に関心を向けるのがLMXです。

■LMXが高い状態における部下の感覚
・上司は私のニーズや思いを理解してくれている
・上司は自分のことを犠牲にしてでも、私を助けてくれる
・私は上司がいなくても、上司の決めたことを擁護する

このようにLMXは、部下が評価する視点を大切にしている点が重要です。
部下にとって良い関係が築けていないと、良質な上司部下の関係とは言えません。

■LMXが高い状態におけるマネジャーへの効果
・部下が離職が軽減される
・部下が複数の役割で板挟みになりにくい
・部下の仕事上の役割が明確になる
・部下の仕事のパフォーマンスが上がる
・部下が会社や仕事の満足度が上がる
・部下が会社に対する腹を括るたかい公正感を覚える

ある意味、当然ですが、このような効果がもたらされることをしっかりと認識した上でLMX向上へ向けてアプローチしていく必要があります。

■上司と部下がそれぞれの立場から意識できるLMXの高め方
・上司は部下にできることは多くありますが、最も大切にすることは、部下に対して成功を期待しつつ、部下に合わせた適切な働きかけを行うこと。
・一方で部下は、熱心さや楽観性を示すなどポジティブな感情で接するように意識することが大切。行動の原因を自分に求めることも重要。

■LMXのもう一つの重要な視点である相対的LMXとは
今まで述べてきたLMXは、自分と上司との関係性について、どのような関係にあるかという視点で述べてきました。一方で、もう1つの観点の相対的LMXというとても大切な考え方があります。

部下は、自分と上司との関係性を「絶対的」なものとしてのみ捉えるのではなく、「他の部下と比べて」より良い関係にあるかという相対的な視点でも見ています。「自分は他の人より上司に可愛がられている/いない」という感覚がそれを表しています。

■相対的LMXも部下のパフォーマンスに影響を与える
・相対的LMXが高い部下は、職場に対する帰属意識が高まると同時に仕事の
 パフォーマンスも向上する
・逆に「自分は他の人よりも上司との関係が良くない」と感じると、逆の効
 果になる

■では、上司はどうアプローチしたら良いのか
上司自身の思いよりも部下のニーズを優先しようとするリーダーシップ行動=サーバント・リーダーシップを発揮していくアプローチが有効です。各々の部下が直面している状況を観察を通じて認識し、部下のニーズに沿った関わりをしていくことで、ネガティブな相対的LMXが認識されづらいことがわかっています。自分のことをしっかりとわかってくれる上司であれば、部下は相対的なLMXを多少でも気にするのを減少することができます。

■さて、社内講師視点とLMXとは
社内講師は、今後、参加者との関係性をより意識していく必要があります。ある意味、上司的な立ち位置となりますので、参加者が抱く相対的LMXを意識してアプローチしていくことが重要です。

具体的には、参加者に発表を促す際には、平等に指名するとか、指名できていない人には、休み時間に少し立ち話をしたり、声かけたりするなどできることは色々とあります。

このような相対的LMXの観点を持って講師業をするのとしないのとでは大違いです。そのためには、日頃の職場でもLMXを意識しておくと、講師としての実践度がも高まるでしょう!

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