みすみす負ける側に近づく国はない
1.原理
a国とb国が、あるいは、A連合諸国とB同盟諸国が交戦中で、戦争の推移によって、戦況がa国やA陣営が優勢になり、b国やB陣営が劣勢になった場合、第三国は両者に対して、どのような態度をとるでしょうか。彼らは両者に対して、変わらずに等距離の立場をとるでしょうか。
そんなことはないでしょう。
第三国は前者に接近することはあっても、後者に対しては距離をおくようになるでしょう。なぜならば、<ほとんどの国は風見鶏である>だからです。
勝利する側に近づくのは、当然でしょう。
これは、たとえば、アメリカの大統領選挙前に、各国の有力者が勝ちそうな候補に接近しようとするのと同じです。
ウクライナ戦争の場合は、どうでしょうか。
2.習近平氏訪露
一昨年2月24日、ロシアがウクライナへ侵攻してから、各国の首脳がロシアを訪問するようなことは、殆んどなかったと思います。
皆模様眺めをしていたのでしょう。
そして、戦況はロシアが優勢でした。
昨年3月20日、中共の習近平国家主席はロシアを訪問しました。みすみす負けるようなら、前者が後者に接近するはずがありません。
侵攻から1年以上が経過して、ロシアが勝つことはあっても、負けることはないと踏んだから、習氏は訪露したのだと思いました。
私は習氏の訪露を見て、ウクライナ戦争において、ロシアの負けはないとほぼ確信しました。
因みに、昨年5月20日のバフムート陥落で、私はウクライナの勝利はないと判断しました。
というのは、バフムートさえ死守できないウクライナが、一昨年2月24日以降にロシアによって奪われた広大な領土を、取り戻すことができる訳がないからです。
それにも拘らず、ウクライナはバフムートの陥落から約2週間後の!6月4日から反転攻勢を開始しました。しかも、当時のザルジニー軍総司令官は、反転攻勢が成功すると信じていたという!!
3.最近のロシア接近
侵攻開始以来、どこの国もロシアに近づかなかったのが、最近は中共以外のいくつかの国も同国に接近しています。
第一。北朝鮮は、いわゆる普通の国ではないので、あまり参考にならないかもしれませんが、今年6月19日プーチン大統領は24年ぶりに北朝鮮を訪れました。
第二。その後、プーチン氏は6月19日~20日、ベトナムを公式訪問しました。
第三。7月8~9日、インドのモディ首相はモスクワを訪問し、プーチン氏と会談しました。
第四。7月31日、インドネシアの次期大統領プラボウォ国防相はロシアを訪問し、プーチン氏と会談しました。
第五。先月4日マレーシアのアンワル首相は、ロシアのウラジオストクで、プーチン氏と会談しました。
どうして各国の首脳はロシアに接近するのでしょうか。
ウクライナ戦争で、ロシアは勝つことはあっても、負けることはないと判断しているからでしょう。
【追記】
一方のウクライナは、ずっと西側の首脳が同国を訪れたり、ゼレンスキー大統領が西側諸国を訪問したりしていますが、それは西側諸国が戦況を見て、ウクライナの勝利を確信したためではありません。侵攻の当初からウクライナ支持の立場だからです。
【参考記事です】
「BRICS首脳会議22日からロシアで開催 加盟国が拡大して初」
「ロシアと初の軍事演習 ジャワ海で5日間一インドネシア」
(2024・11・4)
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