騒音公害企業に融資する「銀行のコンプライアンス方針」はどうなっているか

ガスヒートポンプ設置企業・団体は、自己資金が潤沢にある場合を除き、「銀行からの融資により建築設備を含む建築物の建設費用を調達」している前提で述べさせていただく。


まず最初に、北海道を代表する二つの銀行のコンプライアンス方針について分析を行う。

北海道銀行は、コンプライアンスの基本方針として、
・地域金融機関としての公共的使命と社会的責任を認識
・法令やルールを厳格に遵守し、企業倫理・社会通念に逸脱しない
・社会の秩序や安全を脅かす反社会的勢力を許さない
としている。

https://www.hokkaidobank.co.jp/compliance/

コンプライアンスの基本方針
当行では、コーポレート・ガバナンスの強化・充実、コンプライアンスを経営の最重要課題の一つとして位置づけ、その実践に係る基本方針を次のとおり定めています。

コンプライアンスの基本方針
基本的使命・社会的責任の認識(信頼確保)
地域金融機関としての公共的使命と社会的責任を認識し、健全な業務運営により内外の信頼確立に努める。
質の高い金融サービスの提供
質の高い総合金融サービスの提供により、地域経済・社会の安定的発展やお客さまの生活の充実・向上に貢献する。
法令やルールの厳格な遵守
法令やルールを厳格に遵守し、企業倫理・社会通念に逸脱することのないよう公正かつ堅実に行動する。
反社会的勢力の排除
社会の秩序や安全を脅かす反社会的勢力を許さず、毅然とした対応で臨むことで健全な地域社会づくりに寄与する。
経営の透明性確保
的確で円滑な情報開示と意思決定に努め、透明性の高い経営・組織風土をめざす。

次に、北洋銀行は、

・反社会的勢力との取引は一切排除、資金提供しない
・当行およびグループ会社の業務の遂行において生じうるお客さまの利益を害する可能性のある利益相反状況を特定し、お客さまの利益が不当に害されることを防止する
としている。

https://www.hokuyobank.co.jp/about/company/antisocial.html

反社会的勢力への対応に係る基本方針
北洋銀行グループは、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力に対しては、毅然とした態度で臨み、安全で暮らしやすい社会の実現のため決して妥協しないことを基本姿勢とし、次の「反社会的勢力への対応に係る基本方針」を定めます。

反社会的勢力との取引は一切排除する。
反社会的勢力からの不当な要求には決して応じない。
反社会的勢力に対しては、資金提供および不適切な便宜供与は行わない。
反社会的勢力に対しては、組織一体となって対応する。
反社会的勢力への対応に際しては、外部専門機関と連携強化を図り、適切な助言、協力を得る。

https://www.hokuyobank.co.jp/info/rieki.html

利益相反管理基本ポリシー
2009年6月1日制定
株式会社 北洋銀行

 当行は、以下の基本方針に基づき、当行およびグループ会社の業務に係るお客さまの利益が利益相反行為によって不当に害されることのないように適切に業務を行うものといたします。

法令等の遵守
当行は、利益相反に関し適用のある法律その他の法令、ガイドライン、行内規程等を遵守いたします。
利益相反の管理
当行は、当行およびグループ会社の業務の遂行において生じうるお客さまの利益を害する可能性のある利益相反状況を特定し、お客さまの利益が不当に害されることを防止するとともに、お客さまの信頼を向上させるため、利益相反管理規程をはじめとするその他の行内規程の策定等必要な措置を講じ、利益相反を適切に管理いたします。
行内体制の整備
当行は、利益相反について定められた法律その他の法令、ガイドライン、行内規程等を遵守するため、役職員等を対象に教育・研修およびマニュアルの配布等を継続的に行い、利益相反の防止に努めます。
また、当行は、利益相反に関する管理部署および管理責任者等を設置し、定期的に利益相反に係る情報の収集を行うことにより利益相反を一元的に管理し、その記録を保存いたします。
内部監査部門による監査
当行においては、利益相反の管理に係る行内体制について監査部が監査を行い、その適切性および有効性を定期的に検証するものといたします。

これらコンプアイアンス方針をガスヒートポンプ被害者、かつ銀行顧客の視点で組み合わせるとこうなる。

・地域の金融機関として公共的使命と社会的責任を認識
・法令やルールを厳格に遵守、企業倫理・社会通念を逸脱しない
・社会の秩序や安全を脅かす反社会的勢力を許さない
・反社会的勢力との取引は一切排除、資金提供しない
・当行およびグループ会社の業務の遂行において生じうるお客さまの利益を害する可能性のある利益相反状況を特定し、お客さまの利益が不当に害されることを防止する


上記方針等のひな形文書は全国銀行協会が情報提供しているとみられることから、道内のほとんどの銀行の場合、上記二行と似たようなコンプライアンス基本方針となっているとみて差し支えなさそうだ。


建築物の工事資金に含める形でガスヒートポンプ設置資金を融資した場合を想定したい。

少なくとも融資の実行により、結果としてガスヒートポンプの騒音公害が発生した場合、北海道を代表する二行の場合、

①ガスヒートポンプ設置工事資金を融資した結果として、銀行としての社会的責任を認識
②(銀行にとってお客さまである)「被害者住民からの要望を無視するような融資先企業・団体」に対し、銀行として、コンプライアンス上「企業倫理、社会通念を逸脱した企業・団体」として取扱う
③(銀行にとってお客さまである)被害者住民に対し、「暴力、威圧的手段、各種迷惑行為等により、社会の秩序や安全を脅かすような反社的対応するような企業・団体」への融資は一切行わない
④融資先の企業・団体による、(銀行にとってお客さまである)地域住民の生活環境および生活権を脅かすような「騒音公害発生が予見されるような(運用最大の騒音値が)環境基準値を超える機種選定、低周波音被害が発生するような(防音壁設置や制振材・消音器等取付を設計上想定しない、手抜き工事設計状態での)のガスヒートポンプ等建築設備設置工事」に係わる融資は原則認めない
と解釈することになる。

ネット上では、暴力団と取引関係にあった企業に対する取引銀行の対応が話題となっている。


長期間、騒音公害が放置され未解決事案となっているケースについては、加害企業・団体の取引銀行を特定し、コンプライアン案件として銀行頭取に対し、被害発生状況等説明しつつ、上記①~④のシナリオ等に沿った要望書提出が考えられる。

ガスヒートポンプが騒音規制法の規制対象外となっている関係で、(行政上の権限がない)札幌市環境局に対応を求めるよりは、「取引銀行に要望した方が、問題解決できる可能性が高い」と考える次第。

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