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こうさぎの読書日記マガジン

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こうさぎが書いた、本の紹介記事を集めました。
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記事一覧

もふもふ恋しい季節のおともに/鈴森丹子「おかえりの神様」シリーズ

「ただいま」に「おかえり」が返ってくる。それって、すごく安心する。 「おかえりの神様」シリーズは、鈴森丹子さんの、神様と人間の交流を描いた物語です。 人生の中で出会う、悩みごと、憂いごと、迷いごと。 そんな葛藤を抱える彼らが出会ったのは、可愛い小動物の姿をした、個性的な神様でした。 特別なことは何もしてくれないけれど、今日の出来事や悩みごとに耳を傾けてくれる神様たち。もふもふが癒しをお届けする、ほっこり連作短編集です。 この本はこんな人におすすめ ①癒しが欲しい ②あ

命を紡ぐ者の葛藤/知念実希人「ひとつむぎの手」

命を紡ぐ、ひとりの心臓外科医の葛藤と成長を描く傑作医療小説。 「ひとつむぎの手」は、知念実希人さんの本屋大賞ノミネート作です。 日々の激務に耐える、心臓外科医の平良。キャリアへの不安が膨らむ中、教授から三人の研修医の指導を任され、そのうち二人を入局させれば憧れの出向先に行くことができる、と言われる。 医局を騒がせる怪文書、心臓外科が抱える多くの問題、研修医たち、そして患者の事情……。ひとりの外科医の成長を描く、感動の医療小説です。 この本はこんな人におすすめ ①医療小

現代版「罪と罰」/東野圭吾「白鳥とコウモリ」

このまま二人でどこかへ消え去れたなら、どんなにいいだろう、と思った。 「白鳥とコウモリ」は、大人気作家・東野圭吾さんの作家40周年を記念して幻冬舎から出版された長編小説です。 とある弁護士が殺害された事件から、物語は幕を開けます。捜査が進む中、ひとりの男が犯行を自供。殺害の動機は、かつて自身が犯し、既に時効を迎えた過去の殺人を、隠蔽するためでした。しかも、その事件は被疑者が自殺をしたことで幕を下ろした、警察の汚点とも言える案件。世間に衝撃が走る中、弁護士殺害の事件は解決し

むかし、男ありけり/俵万智「恋する伊勢物語」

「恋する伊勢物語」は、俵万智さんの「伊勢物語」について綴ったエッセイです。「伊勢物語」は、有名な「歌物語」であり、伝説のプレイボーイ・在原業平の様々な恋が描かれています。本書では、「サラダ記念日」などで有名な俵万智さんが、ご自分の恋愛論、体験談などを交えながら「伊勢物語」の魅力について語ってくださいます。 この本はこんな人におすすめ ①日本の古典文学が好き ②古典は堅苦しくて苦手……。 ③恋愛のヒントを得たい それでは、本作の魅力を紹介していきたいと思います、ぴょん!

薬屋は謎解きが得意/日向夏「薬屋のひとりごと」シリーズ

毒と薬が大好きな薬屋の少女は、どんな難事件も解決してしまう。 「薬屋のひとりごと」は、日向夏さんのシリーズ小説です。コミカライズもされており非常に人気なシリーズとなっています。 舞台は、大陸中央に位置する架空の国。花街で薬屋を営む猫猫は、毒と薬が大好き。しかし、彼女はひょんなことから後宮で働くことになりました。 適当に仕事をやり過ごしながらも、猫猫は、後宮で起こる数々の事件を、毒と薬、そして薬屋の養父から教わった知識を使って解いていきます。そのうち、傾国の美人の宦官・壬氏

戦乱の世に咲く恋物語/雨咲はな「鳴かぬ緋鳥の恋唄」

声も記憶も失った少女と、海賊として生計を立てる島の頭領の、戦国恋物語 「鳴かぬ緋鳥の恋唄」は、雨咲はなさんの戦国時代を舞台にした恋物語です。 海賊が群雄割拠する瀬戸内の、とある島に流れ着いた少女は、声が出せず、自分についての記憶も失くしていました。島の頭領である千早は、彼女に「ひな」という名を与えます。しかし、千早のひなに対する警戒心は消えません。ひなは周囲に迷惑をかけまいと奔走しますが、失敗ばかり。しかし、何事にも直向きで健気な彼女に、徐々に島の人々は心をゆるし、千早の

会いたいな、好きだから。/NATSUMI「大正浪漫 YOASOBI『大正浪漫』原作小説」

「大正浪漫」は、小説を音楽にするユニットYOASOBIの楽曲‘’大正浪漫‘’の原作小説です。本書は、小説投稿サイトmonogatary.comでのYOASOBIコンテストvol.2で大賞を受賞した作品を大幅に改稿したものになります。 2023年の東京を生きる時翔のもとに不思議な手紙が届いたことから、この物語は始まります。 その手紙を書いたのは、100年前の東京に生きる千代子という少女でした。 時空を越えた文通を続ける中で、徐々に惹かれていくふたり。 しかし、その繋がりを、無

江戸のオシャレ入門書/いずみ朔庵「ウチの江戸美人」

いつの時代も、「おしゃれ」にかける想いは変わらない。 「ウチの江戸美人」は、ポーラ文化研究所サイトで連載中の、いずみ朔庵さんの「ウチの江戸美人」を書籍化した作品です。 独身会社員の現代女子ちゃんが暮らす家に、時空を超えてやってきた江戸美人ちゃん。お互いが持つ常識や「おしゃれ」や「美」への価値観の違いに戸惑いつつも、ふたりは仲良くルームシェアをしています。江戸時代の女性たちについて、おしゃれについて、楽しく知ることができる一冊です。 この本はこんな人におすすめ ①おしゃ

泣いてもいいんだ。/中山有香里「泣きたい夜の甘味処」

「泣きたい夜の甘味処」は、中山有香里さんのマンガです。 真夜中にだけ営業している、鮭と熊が店員の甘味処。 一日に一品だけのメニューに救われ、「泣きたい」気持ちに素直になれた人たちの、温かい涙がこぼれる物語です。 また、マンガ本編の登場人物たちは知らない描き下ろしの物語や、レシピも収録されています。 この本はこんな人におすすめ ①甘いものが好き ②つらいこと、悲しいことがあった ③泣きたい それでは、本作品の魅力をご紹介していきます、ぴょん! *「やさしい」世界観

苦しみの先の幸せへ/町田そのこ「星を掬う」

私の人生は、私のもの。 「星を掬う」は、町田そのこさんの、本屋大賞受賞後第一作目です。 「ある夏の思い出」を募集するラジオ番組。千鶴は、小学一年生の夏休みに母親と共に旅をし、「母親に捨てられた」思い出を投稿して、賞金をもらいます。 そのラジオを聞いて連絡をしてきたのが、千鶴を捨てた母親の「娘」と名乗る女性・恵真。 千鶴は母と再会を果たしますが、現在の母親の姿は、想像とは全く違うものでした。 苦しみの中で、きらめく希望を見出だす物語です。 この本はこんな人におすすめ ①

ちょっと立ち止まって、今を見つめて/ほしおさなえ「言葉の園のお菓子番 見えない花」

「言葉の園のお菓子番 見えない花」は、ほしおさなえさんの新シリーズ第1作目です。ほしおさなえさんと言えば、「活版印刷三日月堂」を、以前こうさぎも紹介させていただきました。優しく丁寧な文章が印象的な作家さんです。 主人公の一葉は、勤めていた書店が閉店してしまい、現在失業中。そんな時に出会ったのは、亡き祖母が生前やっていた「連句」でした。 祖母に倣って、毎月季節のお菓子を持って連句の会に行くうちに、徐々にその奥深い世界に魅了されていきます。 連句を通して出会った人たちから、書店

本への愛を謳う読書遍歴コミックエッセイ/はるな檸檬「れもん、よむもん!」

「れもん、よむもん!」は、著者のはるな檸檬さんがご自身の読書遍歴を紹介するコミックエッセイです。 はるな檸檬さんは、幼い頃から生粋の活字中毒。父親の書斎で本を漁り、学級文庫を片端から制覇、国語の教科書は配られた当日に一気読み。 本書では、そんな著者が影響を受けた本の数々が、その時の瑞々しい感動と共に語られています。 山田詠美の「ラビット病」、吉本ばななの「キッチン」、村上龍の「69」など……心の拠り所になり、原点になった本の数々。 そして、ミステリアスでカッコいい級友のはる

目が見えない彼女と、未来が見えない僕/大林利江子「副音声」

「副音声」は、大林利江子さんの、純度100%の恋愛小説です。 主人公の「僕」は、最後のチャンスの司法試験に向けて勉強をしている、引きこもりの男性。彼は、アルバイトとして、視覚障害者を音声でサポートする「副音声制度」のモニターになります。彼が副音声としてサポートする視覚障害者の女性は、来る日も来る日も、画面の向こうで淡々とした毎日を過ごしていました。彼は、次第に彼女のことが気になり始めていきます。 この本はこんな人におすすめ ①視覚障害者について興味がある ②感動の恋愛小

心ほぐれるショート小説集/原田マハ「ギフト」

いろんな味の飴玉がつまった瓶のような、ほっと心が緩み、元気が湧いてくる短編集。 「ギフト」は、原田マハさんのショート小説集です。忙しい毎日の中にひそむ、ちょっとした幸せを描いた20編の物語が収録されています。テレビを点ければ暗いニュースばかりが流れる、今こそ読んでいただきたい本です。 この本はこんな人におすすめ①明日への元気を充電したい ②あたたかい気持ちになる小説が好き ③肩肘張らずに小説を読みたい それでは、この作品の魅力をご紹介していきたいと思います、ぴょん!