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署名運動が危険なわけ

Zepp金沢の話…というわけじゃなく、一般論的な話で。

「●●に反対する署名を!」っていうの、いっぱいありますよね。あれ、わりとダメなんですよ。無益どころか有害な面が多くって。

0.署名って…

本名と住所が必須じゃないですか。最近はネット署名形式も増えましたけど、やっぱり本名と住所がいるわけで。
それで、実在性の担保をしていることはあるんですが。

1.勝手に他人の名前で署名できちゃう問題

あかんだろそれって言われるんですけど、意外に多いです。

一番多いのは、家族。特に子供。次におじいちゃんおばあちゃんで、ついで親戚かしら。

要は実在するけどその問題に明確に反対する意思を持たない人も反対署名に組み込まれちゃうのよね。特に子供たち。そりゃ親に書けと言われたら書くよ。親が反対だと言ったら反対しないといけないものだと思うよ。そこまで判断する材料も考える力もないから。

子供の思考力をばかにしてるんじゃない。与えられるものが少なすぎる状況では、思考はどうしても偏るもの。そして子供の世界は大人が考えるよりはずっと狭いのよね。

そして、大人は勝手に決めつける。
子供だって嫌に決まってる、と。

…むしろ、自筆署名できない人の方が、勝手に書かれる気はしてる。まだ字が書けない幼児とか、遠方の親戚とか。一言連絡してあるならマシで、ひどいのになると勝手に名前を借用される。

そういう署名運動の信用性を考えると、怖い。

2.署名しないと近所付き合いができない問題

さらに、この手の署名がご近所から回ってきた場合。署名を拒否できるかどうか。

独身・転勤族で近所付き合いがもともと希薄なら断ることに躊躇いはないかもしれない。知らない相手ならねえ。特に断ることにデメリット無さそうだし。

けれど、顔馴染みのご近所さんだとどうだろう。断れる?難しくね??
ママ友から「名前だけでも」と言われて断れる?

断れる人もいるとは思う。けれど、こういうのってしつこいから、面倒になって書くことも多い。しつこいから書くならマシか。どっちかというと、近所から陰口叩かれたり厄介者扱いされたり子供が親経由で仲間外れにされたりとかを考えると、署名程度で和が保てるならと考えがちである。

女って、わりとそういうとこがある。そして、女だからこそこういうとこで気を使わないといけないというのはある。

この程度?と思うかもしれないけど、この程度でハブせは始まるんだ。それが、助け合いのご近所付き合い。そういうのがない地域は、ご近所経由では署名は回ってこないと思うんだ。街頭とかはあるでしょうけど。

3.署名リストが作れちゃう問題

昔は、別にこんなものからリストを作らなくても、住所録的なリスト化されてるものがいっぱいあったのですが。今は個人情報保護の観点で町会ですら住所録がなかったりする場所もあったり。一応、町会の役員とかはわかる人もいますが(じゃないと自治会ができない)、普通の人はわからない。隣に誰が住んでるか、家族構成含めてわからないケースもあったりなかったり。

って立場の人が署名活動始めると、そういう個人情報がさくっと集まるんですよね。

もちろん、署名活動中心者が悪用しようとして署名活動するわけじゃない。むしろ怖いのは、言い出しっぺより手伝い者的立場の方々。
悪意を隠して入り込まれると、この手の個人情報をどう使われるか分かったもんじゃないのよね。

いや、悪意ならマシか。
善意で個人情報を使っちゃう人もいる。
「●●さん、こういうイベントあるけどー」
って連絡が、面識のない人からかかってくるわけで。

私の場合は仕事柄一部オープンにしてるので署名云々関係なくよくある話なのだが、そうじゃない奥様から時々相談を受けるのはなんなのか。

もう一つ、署名活動提出先でリスト化されることもある。こういうのを元にDMを送る場合もないわけじゃない。それどころか、そのリストが売られて見知らぬ企業がなんかに使うこともないわけじゃない。

4.そもそも署名活動しても無駄なんですよ

あんまり知られてないんだけど、何かの建設反対の場合、お気持ちだけの署名で建設中止を強制できる法律はない。一応住人に説明もなく建設は…ってのはあるんですが、これも「住人説明会」を開催すれば問題なしになる。

住人から反対と言われたとしても。

中止に追い込めるのは、手続き上の不備や建築物の耐震性などの問題が発覚した場合のみ。あとは、単純に建設業者や不動産屋の都合で撤退を決める場合。

署名活動というのは建設業者不動産屋が嫌気をさして撤退させるために行う…ってものだが、そもそも署名程度でやめるような業者はいない。署名をもらっても経営は傾かないしねえ。

家族経営自宅店舗の嫌がらせと訳が違う。

さらにいうと、署名活動で反対者が誰か分かっているということは、嫌な言い方をすると「個別で説得に行けばいい」。住所も名前もわかってるしね。賛成に転向させる必要もない。反対ではないという形になればいい。
…中心人物は折れないだろうけど、つきあいで署名させられた人を懐柔するのはそこまで難しくなかったりする。なお、だからと言って法に触れることはNGだが、方法は色々あるので臨機応報にできるところは強い。

で、出来上がるでしょ?
反対運動は、あっさり収まるんですよ。

これもまた「つきあい程度の人はあっさり慣れる」から。そして、最終的には最後まで反対運動をやってた人がご近所付き合いから孤立していく。

だから反対するな、ではない

本当に反対をするなら、署名活動は自己満足にしかならないよって話。反対した!って自己満足を得たいだけなら止めない。巻き込まないで欲しいとは思うけど、止めないです、はい。

本当に辞めさせる気があるのなら、もっとクリティカルな方法を使うべきである。何がいいかはケースによるでしょうけど。

少なくとも、反対がたくさんいることを見せても、止まらない。もし止まるものがあったとしても、それは数ではないんだよね。

と、いろいろな事例を見て思うのです。
いや、反対署名があったから中止と言う名目で、本当の(わりとヤバい)中止理由隠せちゃうしね……。

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