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コンビの「関係性」って難しい

いろいろな芸人さんを見てきてるのですが、いっつも思うのです。

漫才・コントのコンビ(トリオ)芸人の、すごく微妙な関係性を表すのって、難しいなあと。もちろん、コンビによって仲の良さとか先輩後輩同期恋人夫婦とかな違いは多々あるんですけど。

単純な「ビジネスパートナー」では語れないコンビが多すぎるのよね。

一言では表現しにくい「コンビ」という関係性

結論から言ってしまうと、ビジネスパートナーにしては濃密な関係で、かと言って夫婦的な関係よりはあっさりしてるんですよね。

「友達以上恋人未満」みたいなところも感じます。

要は、仕事的な「オン」だけではなく「オフ」に当たりそうなところでも何らかの関わりを持っていて、でもオフの時間ずっとベッタリでもないというところと。

相方のことが好きか嫌いかと言われると、単純な好き嫌いでは表現できない関係なんだというところだと思うのです。Likeより濃い、でもLoveは違うやろと。

私が思うコンビの関係性に一番近いのは「treasure」かなあ。宝物って訳すことが多いんですけど「またとない人」という意味を持っています。

芸人として生きるために重要な相手。その一つの形が「コンビ」なんだろうなあ……とは思うんですけど。

当人たちは気づいてない、かも?

で、相方が大事!っていうコンビって、仲良く見えるんですよ。実際、お仕事の画面越しでも仲ええなあとか思いますし、エピソード聞いても「なにそれ友人とか仕事仲間以上に濃密な仲良しさじゃん」と思うことは多々あるのです。

しかし、当の本人たちに聞いてみると「そうか?普通だと思うよ?特別仲いいわけじゃないと思う」と言われがちです。

もっと仲いい芸人さんいるよ?相方は嫌いじゃないけど、普通でしょ?

……そうか。そうなのか。ソーシャルディスタンス叫ばれる前にゼロ距離で仕事してるのはなんなんだ。今の場面は別に適度な距離を空けても問題ないシーンでしょ?っていうか、MCに対し完全横向きになり、膝頭が相方ぴったり状態で「普通」いわれても、それが普通なわけ無いやろが!

みたいなシーンを多々見るたびに思うのです。

第三者から見て「相方と仲いいね!」って言われるポイント、本人たちが気づいてないのかしら。っていうか、そういう細かい仕草で感じる仲良し感、無意識にやってるんじゃね?

多分、酸素と一緒なんだよね

「酸素」って人間が生きるためには絶対必要じゃないですか。そして、空気に混ざって当たり前のように存在している。でも、酸素濃度が濃いところに居続けるとやっぱり人間にとって害をなすわけで。

コンビにとっての相方の存在は「酸素」のようなものかなあと。

相方がなくてはコンビ芸人としては生きていけない。離れては芸人として生きられないけど、普段はそんな意識をすることはない。なぜなら、酸素があるのが当たり前のように、相方がいるのもまた当たり前だから。

ただ、公私ともにベッタリしすぎると、相手のことが嫌になる。だから、普段は意識しないし、変に意識しすぎたりこいつうっざいわ…と思ったら、コンビ芸人として続けるのは難しくなる。ネタにできるレベルのウザさや許せる内容だったらいいけど、許せなくなったら、解散するしかない。

……相方=酸素って定義したら「解散するってことは酸素のない世界に行くことにならない?」ってもう一人の自分が言い出したので、そこはまあ。ほら、コンビ芸人が解散した場合、一般人に戻ったり、新しい人とコンビ組んだり、ピン芸人になったりといろいろじゃないですか。ピン芸人になるは「酸素ボンベを担いだ」とか一般人に戻るのは「別世界の住人になる」とか、そのへんは臨機応変に考えてくださいよ。

0か100では表現できない感情

実際問題、何から何まで嫌いな相手とはコンビ組めないですしねえ。シンプルに好き嫌いの話でお仕事などできません。特に漫才やコントといった「お互いの呼吸が合わないと笑いにつながらない仕事」というものは。

呼吸があってないと思う芸も、あれは「呼吸があっていないように見えるように呼吸を合わせる芸」ですからね。ものすごく簡単に言うと。

ただ、100好きでも笑いにはつながらない。そんな相手と仕事以外を抜きにしても出会える気がしない。もちろん0好き(=100嫌い)なわけもない。

もっというと、例えば尊敬とか称賛とか嫉妬とか色々混ざってると思うんですよ。どの感情も100にはならない。そんな複雑な感情を全部ひっくるめて「コンビ間の相方に対する思い」ってやつがあると思うのです。

あとさ。割と、男の人って「好きだと言ったら負け」みたいなとこ、ありません?(偏見)そういうの口で言ったら負けだけど、態度にはちょいちょい出てしまうがゆえに、余計「ああ、このコンビめっちゃ仲いいやん」になると思うんですけど、どうですかみなさん(聞くな)。

ホモソーシャル仕草が濃密なコンビは仲良し感が強い

最後に。ホモソーシャル(同性間の絆)が強いコンビは、普通に仲良し感が強くなると思ってます。ホモソーシャルって男性社会における男性同士の絆的意味合いで使われてることが多いんですが(本当は同性間の話なので、女性同士の絆もホモソーシャルなんですよね)。

で、ホモソーシャルってどうしてもミソジニー(女性軽視)とかホモフォビア(同性愛嫌悪)とセットで語られがちなのですが。

もっとシンプルな話、男同士で肩組みあってるとか、二人だけで面白そうに笑ってるとか、相方の服の裾掴んでるとか、相方を激写しまくってSNSに上げまくるとか。

そういう仕草的なところに、仲良しさって見え隠れするんですよ。本人たちが無自覚なのは重々承知しておりますが。

そういう「仲良し仕草」の数が多ければ多いほど、そして隠そうとしなければしないほど(本人たちは気づいてないのですから、隠そうという発想もないんですけど)、このコンビ仲良すぎだろ!って気持ちになるのです、第三者は。

うん。本当に思うんですよ。

実況するのにイヤホンが1つしかなかったからって、1つのイヤホンをお互いの片耳ずつつけてやるってのをOKしといて「仲良くないよ?普通でしょ」はないって。イヤホンならすぐに買ってこれるでしょそもそも。

どこのコンビとは言わないけども。(いや、タグ)

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