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Vol.8 請負&委任(委任編)

こんにちは。TKです。今日は前回の請負に続いて、委任契約について書いていきたいと思います。

1.委任契約とは?

委任契約とは、例えば、あなたが体調を崩してお医者さんに診察してもらうようなものが当たります。ここでは、あなたは診察という仕事を自分では分からないのでお医者さんに代わりにやってもらっています(=委任)このように、自分では出来ない仕事を専門家に任せるときに委任契約は使われているのです。他には、弁護士や行政書士などに事件や契約の処理を任せることも委任契約に当たります。

2.委任契約はタダ?

でも、これだけでは請負契約と何が違うのか分からないですよね。実は、委任契約は請負契約とは大きな違いがあるのです。それは、委任契約は「タダ」ということなのです。
委任契約は基本的には、引き受けた人のみが仕事を負う片務(片っぽしか責任を負わない)契約で、仕事に対して報酬を払わない無償契約なのです。
でも、医者・弁護士に対しても皆さんはお金を払いますよね。これは契約書で料金を支払うことを決めているからなのです。そして、契約で料金を支払う時のみ、有償・双務契約になります。

なぜ、委任契約がこのようにボランティアなのかというと、大昔のローマ法に理由があります。
弁護士や医者になるのは、ものすごく勉強が必要ですよね。なのでローマ時代にこの2つになれた人は勉強をするためのお金と時間のある貴族たちが中心でした。そして彼らの社会奉仕活動として弁護活動や医療が行われていたので委任契約は無償だったのです。

3.委任契約の権利・義務関係

有償の委任契約を結んだとき、どのような権利義務関係が生まれるのでしょうか。ここでは、受任者(依頼を受けた人の義務)と委任者(頼んだ人の義務)に分けて考えていきたいと思います。

・受任者の義務(5つ)
①:善良な管理者の注意(ちゃんと気を付けて頼まれた仕事を自分でこなす)
②:報告義務     (いつでもちゃんと仕事の進み具合を報告し、終わったら報告書を書く)
③:受け取り物引き渡し(依頼されたものを回収したらすぐに委任者に渡すこと。弁護士が債務者から受け取ったお金を債権者側に渡すなど。)
④:金銭消費責任   (引き渡すべきお金を使い込んだ場合にはきちんと返すこと
⑤:応急処分     (委任終了後の引き継ぎ、紹介など。患者が転院する時に、次の病院にカルテや診察データを送ること)

・委任者の義務(4つ)
①:費用の支払い   (仕事の経費等の支払いをすること)
②:担保の提供    (受任者が債務を負担した場合には、その分を建て替えるか担保を提供する)
③:賠償       (受任者が仕事上で自分に責任のない損害を受けた時には、その分を賠償する。例:調停中に相手から暴行されて入院した場合、委任者が医療費を払う)
④:報酬支払い    (委任事務が終わったら、契約があれば報酬を支払うこと)
但し、④の報酬支払は請負と違い、仕事完成分に応じて支払わなければならないことがルールです。(請負は完成が条件)これは、完成しなければ意味のない請負と異なり、委任は事務処理なので、ある程度仕事が進むだけで十分な利益を委任者が得られるためです。

具体的には、委任契約の権利義務はこの9つです。数が多いので、勉強するときに双方の義務の数を数えておくのが私はオススメです。

4.委任が終わるとき

委任契約が終わる時は、基本的には仕事の終了です。但し、それ以外でも委任契約が終わる時があります。この2つは委任契約以外にはない終了条件なので、押さえておきましょう。

①:任意解除
委任契約は双方の信用によって出来ているので、これ以上契約関係を続けられないとどちらかが判断した場合には、契約をいつでも無条件で解除できます。但し、それでは解除された側が困るので、相手側が不利な時期に解除する場合には、損害賠償が必要になります。

②:当事者の死亡など
こちらも①と同じ理由で契約が終了します。(引き継いだ人同士が信用できるとは限らないから)但し、死亡だけでなく破産も終了理由になります。これは請負と同じ理由で、破産者は全ての権利義務関係を破産管財人に引き渡すためです。

長くなりましたが、委任契約はこんな感じです。本日もここまで読んでいただき、ありがとうございました。























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