好きな漫画をめっちゃネタバレしつつ紹介する。「鋼の錬金術師」

通称ハガレン。

大人の方でも一度は名前を聞いたことがあるんじゃないでしょうか。

あらすじとしては

「錬金術によって右手と左足を失った兄エドワード、身体全てを失い魂のみ鎧に定着され生きる弟アルフォンスの兄弟が、全てを取り戻すために巨大な錬金術のエネルギーを秘めた「賢者の石」を求める物語」といったところですね。

巻数は27巻で完結済み。

以下ネタバレしつつ紹介。

・なぜ兄は右手左足、弟は身体全てがないの?

この兄弟はもともと錬金術師としての才能を持っていました。この2人が錬金術を幼いころからしていた理由は単純。「お母さんが喜んでくれるから」

小さな紙を錬金術で折り鶴にするような些細なもの。それでもお母さんが喜んでくれるのが嬉しかった。しかし、ある日、そのお母さんが流行り病で亡くなってしまいます。お父さんはというと、その亡くなる前に家を出ていってしまっています。エドはそういったこともあり、父親をひどく嫌っています。

兄弟は幼馴染のウィンリィ宅で育ちます。

そして兄弟はある日、禁忌を犯します。禁止されている「人体錬成」を行い、お母さんを蘇らせようとしました。

しかし、錬金術は失敗。お母さんは蘇らず、出来上がったのは「人ではない何か」。エドは気づくと仮想空間(真っ白い広大な空間)へ。そこには人の何十倍もの大きさの巨大な扉が1つあるのみ。そこで人の形をした「影」が話しかけてきます。

この影は自分のことを

俺はお前らが「世界」と呼ぶ存在 

あるいは「宇宙」

あるいは「神」

あるいは「真理」

あるいは「全」

あるいは「一」

 そして、 俺は「お前だ」

と称します。

そして扉が開きます。扉からは無数の触手が飛び出してエドに「この世の真理」を見せます。

なぜ「この世の真理」を見せたのか?それは人体錬成を行ったものだけがみることの出来るもの。そして見た「真理」の分、影に「通行料」として人体を取られるのです。

気づくとエドは左足を失い血だらけでした。

弟の姿がどこにも見えません。エドは自分が左足を取られたようにアルフォンスが全て「もっていかれた」と察し、自分の右腕と引き換えにアルフォンスを取り戻そうとします。

腕だろうが 足だろうが 心臓だろうが 全部くれてやる だから返せよ たった一人の弟なんだよ!

…しかし、右腕と引き換えにもってこれたのは彼の「魂」だけ。その彼の魂を近くにあった鎧に定着させアルは生き延びました。

幼馴染のウィンリィは祖母と一緒に義手・義足の作り手をしており、エドは機械で作られた義手と義足の体で、母以外の「全てを取り戻すため」に旅を始めます。

エドワードはその錬金術の才能で「有事の際は戦場で錬金術を武力として行使する」国家錬金術師となり、軍部に身を置きながら旅を続けます。

・敵

この物語においての「敵」は

ホムンクルスという「人造人間」です。その正体は古代国家クセルクセスという国で「たまたま」生まれた「フラスコの中の小人」です。

「フラスコの中の小人」はその古代国家において、王家に仕えていたある奴隷に知識を与え、その奴隷を介し王に接触。王は死期が近く無限の命を欲しがっていました。そこで「フラスコの中の小人」は王に「永遠の命を与えるため」といい、国中を通る巨大な錬成陣を作らせます。

そして錬成の日。

「フラスコの中の小人」は巨大な錬成陣を使い、王を含めた何十万、何百万という国中の人間の命を奪いました。生き残ったのは、人間の姿となった「フラスコの中の小人」と、その奴隷のみ。

「君のおかけでフラスコから出ることができた。お礼に半分の命を与えよう」といい残し、その奴隷は絶望の中を生き続けます。

つまり、「フラスコの中の小人」もその奴隷も、何十万という「命」を持っているのです。

そして幾千もの時を超え、エドとアルの時代が舞台になっているのですが、

この時代で「フラスコの中の小人」は、クセルクセスと同じことを再び行おうとします。つまり、国全土を巻き込んだ錬成です。

その手足として自らの命を分け与えた「人造人間ホムンクルス」、そしてその計画に加担する軍部の人間が主人公の敵となります。

・賢者の石の正体は?

主人公兄弟はもとの体に戻るために、空想上のものとされている「賢者の石」を探す旅に出ます。旅の過程で、賢者の石をつくっていた、という男と出会います。

その男の研究書を解読した結果、

「賢者の石の材料は生きた人間」

と判明します。人間のエネルギーが石に凝縮され、巨大な錬金術のエネルギーとなっているわけです。

主人公たちは激昂し、元の体にもどるために賢者の石は使わないと決意します。

ここまで話してピンときたかもしれませんが

「フラスコの中の小人」はクセルクセスで何十万という人々を「賢者の石の材料にした」わけですね。

さらに言うと、「フラスコの中の小人」と、命を分け与えられた奴隷は二人とも

「生きた賢者の石」

というわけです。

そして、

この奴隷こそが、兄弟の父、ホーエンハイムです。

ホーエンハイムは古代から、いつかまたこの惨劇が起きようとしたときそれを防ぐために生き続けました。

その中で兄弟の母と出会い、兄弟を産んだわけです。

家を出て行ったのは、この世界を救うためでした。

・結末

主人公とその仲間は、錬金術の力、人間の知恵、意地で全てのホムンクルスを倒します。

最終決戦はただ一人残った敵、「フラスコの中の小人」のみ。

フラスコの中の小人はその巨大なエネルギーを使い「扉」を開きます。

エドが人体錬成の時に開いた扉と同様です。

そして、「神」をその体に取り入れ「完全な存在」となります。

膨大なエネルギーを放ち、人を攻撃し続けます。

しかし人間も反撃します。

エドが旅の最中に出会った人々全員が、人間の未来のため、攻撃をし続けます。

フラスコの中の小人は、身に秘めた賢者の石(=命)を使いつづけ瀕死の状態に。その中で、負傷して動けないエドワードに近づき、命を吸い取ろうとします。

その瞬間、アルフォンスが錬成。

かつてエドワードが自分に行ったことの逆に、自分の魂と引き換えに、エドの右手を錬成します。

アルフォンスは、エドが必ず助けてくれると信じ、最後に残った魂を犠牲にしエドの窮地を救います。

そしていよいよ「フラスコの中の小人」の中の賢者の石が空になります。

「フラスコの中の小人」は扉に吸収され、人類の勝利となりました。


が、アルフォンスが「あちら」にいったまま帰ってきません。

賢者の石を使えばいいと仲間に言われますが、人の命から作られています。

「賢者の石は使わないとアルフォンスと誓った」と言い、石は使いません。

悩み続けるエドワード。

そこに戦いで傷ついたホーエンハイムがエドの前に現れます。

「俺を使え。ちょうど「1人分だけ」残ってる」

「バカ野郎…そんな事できる訳ないだろ!! 

オレ達兄弟が身体を無くしたのはオレ達のせいだ!! 

アルを取り戻すのに人の命は使わねえってさんざん言ってるだろうが!!

 だいたいなんでてめぇが命を懸ける必要がある!!」 


「父親だからだよ  必要とか理屈とかじゃないんだ 

おまえ達が何より大事なんだ   幸せになってほしいんだ

 二人ぼっちになって寂しくてトリシャを甦らさせようとした。

 おまえ達の身体がそうなってしまったのは放ったらかしにしてた俺のせいでもある。

すまなかった。俺はもう十分生きた 最期くらい父親らしい事をさせてくれ」 


「バカ言ってんじゃねぇよ クソ親父 二度とそんな事言うな!! はったおすぞ!!」 


 「はは… やっと親父と呼んでもらえた」

エドは周囲を見渡します。周囲には自分の旅を見守ってくれた大勢の仲間たちが。

そうだ…誰も俺達兄弟に『あきらめろ』って言わなかったじゃないか!!!

そしてエドは「最後の錬成」を行います。行ったのは 人体錬成。

あの広大な空間へ再び。

目の前にはあの影と、巨大な扉。

影が「次は何を代価とするつもりだ?」と問いかけてきます。

「代価ならここにあるだろ でけぇのがよ

真理の扉は全ての人間の内に在る それは全ての人間に錬金術を使う力があるという事だ 」

「錬金術の使えないただの人間に成り下がるか?」

 「成り下がるも何も 最初っからただの人間だよ キメラにされた女の子ひとり助けられない小さな人間だ真理とかいう物を見ちまってから それに頼って過信して失敗してのくり返し………踊らされたよなぁ」

 「……もうこれが無くても大丈夫か?」

 「錬金術が無くてもみんながいるさ」

 「正解だ 錬金術師 おまえは俺に勝った!持って行け 全てを」

こうしてエドは自身の錬金術を犠牲にアルを取り戻し、

兄弟の旅が終わりを迎えたのです。

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というのがこのハガレンの「一本道」の紹介です。

ここに出ていない登場人物がたくさんおり、むしろそちらの背景と人間関係にこそ面白さが詰まっているのかもしれませんが、それは読んでこそわかるものかもしれません。

キャラ一人一人がストーリーに絡んできており、いわゆる「捨てキャラ」がいないのも魅力だと思います。

20数巻で終わるとは思えないほどのボリュームと密度。

あのマツコ・デラックスさんも「鋼の錬金術師は読んだ。あれは哲学よ」

と評価しています。

大人が読んでも面白い、むしろ大人だからこそそのストーリーに引き込まれると思います。

ぜひ機会がありましたら、読んでいただきたいと思います。




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