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うめこ通信 読書感想文

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タイトル通りの読書感想文で、ネタバレを含むものがほとんどです。
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記事一覧

「谷から来た女」 桜木紫乃著 文藝春秋

アイヌの女性デザイナーが主人公で、彼女を取り巻く人たちの視点から描かれている連作短編集。…

「オパールの炎」 桐野夏生著 中央公論新社

(ネタバレあり) 1970年代、フェミニズム運動(当時は「リブ」と呼ばれていた)を牽引してい…

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「方舟を燃やす」 角田光代著 新潮社

1967年生まれの地方出身の男性と、1950年代生まれの女性の2人が主人公。彼らの人生を交互に年…

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「ひとりみの日本史」 大塚ひかり著 左右社

「ひとりみ」という視点から日本史を考察する書。 卑弥呼の時代から、ひとりみ・結婚・性・家…

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「誰も教えてくれなかった子どものいない女性の生き方」くどうみやこ著 主婦の友社

日本では女性がシングルか否かで語られがちだが、本書は子どものいない女性という切り口で、多…

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「水を縫う」寺地はるな著 集英社文庫

手芸好きな男子高校生・清澄と、その家族を描いた小説。 手芸好きであることから同級生からか…

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「もう一人、誰かを好きになったとき―ポリアモリーのリアル―」荻上チキ著 新潮社

ふたり以上の恋人やパートナーを持つ関係性をポリアモリーというのだそうだ。 ポリアモリーという言葉すら一昨年くらいまでは全く知らなくて、「なんのこと?」って感じだったのだが、この本を読んで理解が深まった気がする。 そもそも私は、恋愛も結婚も相手は一人という決まり事はなぜ?と考えることすらしていなかった。 本書は、いろいろなケースの当事者へのインタビューや、ポリアモリーに関する調査や研究論文の解説や、現在の日本におけるポリアモリーの状況についてのレポートなどで構成されている。 「

「女の子たち風船爆弾をつくる」 小林エリカ著 文藝春秋

東京の戦時下を生きた少女たちの戦争体験を詩のような短文を積み重ねて描いている。多くの記録…

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「あきらめません」垣谷美雨著 講談社

勤めていた会社を定年退職した女性が、夫と共に夫の故郷へ移住した。 夫にとっては高校までを…

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「私のおばあちゃんへ」 ユン・ソンヒほか 書肆侃侃房

韓国で活躍する6人の女性作家による短編小説集。題名のとおり、おばあちゃんを描いた短編を集…

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「ルミネッセンス」 窪美澄著 光文社

郊外の古びた団地群がある街を舞台にした連作短編集。 高台の住宅地に住むサラリーマン家庭の…

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「カモナマイハウス」 重松清著 中央公論新社

主人公は定年を控え関連会社に出向した男性。 妻は両親の介護のために仕事を辞め、看取った後…

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「一橋桐子(76)の犯罪日記」 原田ひ香著 徳間文庫

結婚せず、子供もいない主人公の女性(一橋桐子)は、両親の介護のために仕事を辞め、親を看取…

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「ハンチバック」 市川沙央著 文藝春秋

芥川賞受賞作。 著者は難病のため人工呼吸器と車椅子利用当事者で、本作の主人公も同じ難病による人工呼吸器と車椅子利用当事者。 日々の生活に社会が障害となることが多く、そのひとつひとつに、社会の障害が少ない人たち(私を含めて)がなんて無自覚だったのだろうと、思い知らされるような作品だった。 人の介助がなければ生きていけない状態や、行動(読書をはじめとして、立ったり、歩いたり、外出することなど)に制限がある生活を、無自覚に「私だった耐えられない」とか、「そんな状態になったら生きてい