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『侍女の物語』と『誓願』

ディストピア小説にも、色々ありますね……
今日私がご紹介する二冊、『侍女の物語』と『誓願』は女性の尊厳が極端に失われたディストピア社会での物語です。

『侍女の物語』の語り手はオブフレッドと呼ばれる女性。
彼女の住むギレアデ国では、女性に四つの階級があります。
〈小母〉〈妻〉〈マーサ(※誓願での訳を使わせてもらいます)〉そして、〈侍女〉。
オブフレッドは、〈侍女〉と呼ばれる階級です。
〈侍女〉にはおよそ人間としての尊厳というものがありません。
出生率が下がったギレアデ国で、子供を産むためだけにいる存在。
極限状態にいるからか、オブフレッドの語る日常も、何が起こっているかあやふやな面が多く……
彼女自身にも明かされていない事実が多いこともあるのでしょうが、初読は混乱したものでした。
でも、目が離せない。
閉塞感に包まれた、半ば狂気に足を踏み入れているオブフレッドの身の上に、こちらも怯えながらもページをめくってしまう、
『侍女の物語』とは、そんな物語です。

『誓願』は『侍女の物語』の続編。
こちらの語り部は三人。
『侍女の物語』にも登場する、ギレアデ国の女性社会の最高指導者、リディア小母。
ギレアデ国の地位の高い男の娘、アグネス。
カナダで古着屋の夫婦のもとに育ったデイジー。
この三人の語りはどれも個性豊かです。
閉塞感をつよく感じた『侍女の物語』より、ひらかれた雰囲気を感じました。

『侍女の物語』後に、何をもって『誓願』を書かれたのだろう……と著者のアドウッドへと聞きたい気持ちはありますが、『誓願』、すごくよかったです。
希望が見えたような気がしました。

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