ホビージャパンへ感謝を
さて2021年後半からアナウンスされていましたが、今月でWizards of the Coast社とのD&D5e日本語版についてホビージャパンの間で交わされていた契約が終了します。
先日、ホビージャパンのD&D日本語版公式アカウントから、販売終了する旨のアナウンスがTwitterより流されました。今はまだ流通在庫、店舗在庫が定価で買えますが、7月以降は増刷されることはありません。もし欲しいと思っていた本がある人は、財布とご相談の上で確実に購入しておくことをお勧めします。
何故それがオススメされるかと言えば、過去の版の本を見て頂けると想像つくと思いますが、確実に絶版プレミアム価格になります。
そうなる前に確実性を求めるなら今のうちに、ということでした。
まぁそんな事情もありつつ、今回はホビージャパン社への感謝を綴ってみようかと思います。
思い返すと随分前ですが、クラシックD&Dの発売が新和、そしてメディアワークスへと流れていきましたが出版元TSRの倒産と、権利がWotC社に移行されたのを踏まえ、これまでのクラシックD&Dに絡む全ての契約がここで一端リセットされます。
そんな中、英語版ですがD&D3eが2000年に出版されます。日本語版は期待できる状況ではなかったので、英語版を手に取って読んでました。これまでのAD&Dらしさをある意味逆手に取るようなゲームシステムの整理は、私のつたない英語力でも「こう来たか!」と思えるほど素晴らしいゲームデザインに整理されていました。
当時所属していたオンラインセッションサークル内で何度かプレイしていましたが、好感触を得ましたが何分英語版。積極的に「これいいよ!」と言いづらい感はありました。
ところがホビージャパンがD&D3e日本語版が発売されるというニュースが舞い込んできたのです。
あの頃というとホビージャパンはMagic: the Gatheringの扱いが大きく、RPGマガジンもどんどんM:tGに浸食され、さらには雑誌をよりM:tGに特化するべく「RPGマガジン」から「ゲームぎゃざ」へと誌名変更がなされました。
しかし2002年にD&D3e日本語版が始まると少しずつゲームぎゃざ誌にサポート記事が載るようになります。
その後、ホビージャパンによるD&D日本語版はどんどん拡大し、安定して3.5e、4eへと続きました。4eの頃は元々のWotCの発行ペースに準拠していたため「月刊D&D」と言われた時期もありました。
そして満を持してD&D5eか?と思われた矢先、公式サポートサイトで「5eの翻訳権を取得できなかった」というアナウンスが流れました。これはホビージャパンがどうのこうのというのではなく、WotCが「英語版以外の言語版はつくらない」という方針を打ち立てたためでした。
まぁ実際はその方針はその後一転して、Gale Force Nine社への多言語版販売の契約が締結され、日本語版の翻訳・出版は再びホビージャパンへとお鉢が回ってきました。
D&D5eは私の中ではD&D史上最も洗礼されている版だと思っていました。それが日本語版で返ってくる。うれしみしかありません。
さすがにD&D5eの全ての本を翻訳してくれたわけではありませんでしたが、日本語でプレイするには十分な供給体制が形成されていきました。
こうしてD&D3eから振り返ってみると「ホビージャパンはすごい日本におけるD&Dプレイ環境の提供」に随分と貢献してくれたよな、と今になって思います。
そんなホビージャパンとの契約も2022年6月末を持って終了します。
D&Dの今後はまだ英語版で2024年頃?に次の大型アップデートがあるという情報しか知りません。D&D5eと互換性があるとかの話もありますが、何はともあれ「次の版のD&D日本語版を出すところは現時点では未定」というのが現状です。
私の楽観的な見方ではWotC自身が日本語版を提供してくれるのではないかと思っていたりします。先日公式D&Dについてのアンケートが行われました。日本語で、です。たぶん多くの日本語版ユーザーからのフィードバックがあったかと思います。そういうところに「日本語版出版の可能性はまだ残っている」と楽観視しています。
ホビージャパンはこれでD&D日本語版の提供からは一線を引くわけですが、2002年からの約20年に渡るD&D環境への貢献(もちろんビジネスとして成立したから続いたのもあるでしょうが)に非常に感謝しております。同様にD&D翻訳チームへの感謝も併せて述べておきたいと思います。
ありがとうホビージャパン。もし何かあったらまたよろしく!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?