三つの知識の大切さ

今日は用語暗記について話します。後半からは三つの知識について話してます。
たくさんの方に目を通していただきたいので、無料公開です。よろしくお願いいたします。

語句の内容の大切さ

語句を覚えるのは問題を解くのには重要なことです。実際、理科や社会といった科目は語句の量が点数を分けると言われてました。
しかし、現在は語句だけ覚えていてもなかなか点数に結び付かなくなりました。それは思考型の問題が増えたことが一因です。しかし、最低限の語句を知っておかないと当然書くこともできません。

例えば、中1になってこの時期に習う英語の三人称単数現在形という言葉があります。この言葉を知っていても使えなければ意味がありません。ほとんどの指導者は「主語が三人称単数現在形の場合、動詞の語尾にs(es)をつける」と教えます。塾でも例外ではありません。しかし、この三人称単数現在形は言葉はわかりますが、意味がわからないと何のことかわかりません(数年前まで英語を教えていたときは僕も三人称単数現在形を使ってました)。三人称とは私とあなた以外全て(当事者と第三者の考え)という原理・理屈を教えてから内容が少しでもわかる、というものです。

しかし、中1英語の最初のヤマであるbe動詞と一般動詞の区別で苦労してる生徒にはこんなこといっても混同します。人によっては、be動詞と一般動詞を同時に使おうとする人もいます。そんな中で動詞にs(es)をつける三人称単数現在形のことも入ったら大変なことになります。
僕は、三人称単数現在形という言葉は「悪魔の魔法」と呼んでいます。そのため、ここ最近では、三人称単数のことを「主語がIとyou以外の単数の時にs(es)をつける」と教えるようになりました。これは英語のカリスマ講師である関正生先生が教えてるやり方ですが、混同しないでスッと受け入れられます。実際生徒もやりやすいみたいで、演習時の正答率も上がってます。

「三つの知識」は今後の学習では必須

僕が映像授業でも「三つの知識」の大切さを説いてます。その知識とは、周辺知識、関連知識、背景知識です。これが僕が説いている三つの知識です。
周辺知識とは語句の意味や内容の知識のこと関連知識とは語句や内容の関連性をもたらす知識のこと背景知識とは内容を理解するために必要な一般的知識のこと、をそれぞれ指します。

先程の三人称単数現在形の周辺知識が「主語がIとyou以外の単数」になるのです。もし、Iとyouが当事者だとわかるなら第三者の単数、と置き換えても大丈夫です。ですが、最初のうちは上記で話します。
つまり、これは周辺知識として説明してるにすぎないのです。語句で覚えさせるリスクもここにはらんでいます。

社会でも理科でも僕はこれら三つの知識を駆使して授業をしています。特に社会では周辺知識だけでなく、関連知識も必要になります。何と何を関連させればいいか、というのを歴史だけでなく、地理や公民、場合によっては理科単元から引っ張り出します。特に地理の日照時間については中3理科の天体のところで関連してきます。社会だけの枠組みではなく、他科目との関連も必要になります。

それを色濃く表しているのが、県中入試、特色などの高校公立の独自入試問題と来年度から実施される共通テストです。
例えば数学の問題であるのに、社会や理科の単元を使って問題を解くのです。つまり、数学の学習だけでなく、理科や社会の学習も疎かにしてないか、を見ています。こういう問題は関連知識の量と質がモノをいいます。
現代文や小論文では、背景知識の量がモノをいいます。この背景知識があるだけでもテーマ攻略がやり易くなり、まとめやすくなる問題も出てきます。場合によっては英語長文も使えます。
社会では高校では棄捐令という言葉が出ますが、中学では棄捐令という言葉は出ませんが、「旗本・御家人の札差からの借金を帳消しにする政策」という内容は出てきます。つまり、中学でも周辺知識は必要になってます。
そのため、三つの知識は小学生の間から少しずつ身に付けなければなりません。僕はこのことを入試を通じて痛感してること、新学習指導要領ではこれらの知識がより必要なので、数年前から提唱してます(周辺知識が必要、という話は僕だけではなく様々な方も仰ってます)。

他にも必要な知識とは…

中学社会・日本史において他に大事な知識があります。それは汎用知識です。

汎用とは、1つのものを広く色々な方面に用いること(明鏡国語辞典より)

では、この汎用知識が必要になる場面があるのか?というと、社会では「資本主義と社会主義は対立する」というのが汎用知識として使えます

どういうことなのか?資本主義が出てきたのは産業革命の時ですが、資本家が資本を提供し、その資金を元手に労働者を雇い、経営者(使用者)と労働者の上下関係を構築したのが資本主義です(意味は多少異なるがこんな感じで押さえたらいいです)。それに対して、その上下関係に疑問を抱いたマルクスとエンゲルスは使用者と労働者の関係をフラットにする社会主義を提唱しました。それらの立場にたった作品も発表されました。
ここに資本主義と社会主義の対立が起こるようになりました(歴史の内容と関連についてはここでは割愛します)。

この背景を知ることで、シベリア出兵や日本の共産社会・社会主義の否定を行う弾圧、冷戦が起こった原因なども上記の汎用知識で説明がつきます。
この説明も、僕のCAMELの授業、通常授業では繰り返し説明してます。

そのためにするべきこととは?

現在の学校現場では、アクティブ・ラーニングを用いた授業をしているところもありますが、そのために必要な知識は、まさに僕が提唱している三つの知識と汎用知識です。そして、これからの入試もこのような知識が使えるような問題が出てくることも予想されます。となると、語句の単純暗記ではなく、内容の知識、関係性を持たせるような覚え方にしないといけません。そして、それを使えるようにするためには、暗唱をすることも忘れないでください。

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