2024年公立高校入試の注意点

本日もよろしくお願いいたします。
本日は、一本気になることをまとめたいと思います。その気になった内容などを含めてまとめていきたいと思います。
最後までお付き合いよろしくお願いいたします。


■2024年公立高校入試の注意とは?

では、2024年公立高校入試の注意点とは何か、ですが、社会については2024年公立高校入試は完全に新課程入試となります
え、2022年入試からじゃないのか?といわれると思います。確かに2022年・2023年の入試では数学や理科については移行措置の単元が入試で出ていたこと、英語でも仮定法や原型不定詞などを出していたのは事実です。
が、社会については、地理と歴史は旧課程の教科書で学習していた関係で、その部分が反映されていなかった問題も一部散見されていました。

それが、2024年入試の社会は地理も歴史も新課程用の教科書で出題される最初の試験となります。そのため、今までの旧説が回答として誤答となる恐れが高くなります。今回は、それらで気になる語句や内容について少し考察していきたいと思います。

■誤答となる恐れの高い用語と記述

では、誤答となる恐れが高い用語・記述を解析して紐解いていきます。

➀倭寇・勘合貿易

今回の入試で一番気を付けないといけないのが倭寇・勘合貿易に関する問題です。

倭寇についての説明は、上記の記事でも挙げていますので、是非参考にしてください。

では、この問題、何が変わるか、というのですが、勘合を用いた目的・理由として「倭寇と正式な貿易船を区別する」という文言が使えなくなる可能性が高くなります。理由については上記の記事を見ていただけるとわかりますが、このような文言を使っている教科書が育鵬社と自由社です。主要教科書ではほとんど記載がありません
記事内の入試解析では、一部「倭寇と正式な貿易船を区別する」という解答例を使った問題もありますが、その問題も2021年以前の問題だと使われていますが、2022年以降ではそのような言い回しで聞いてくるのは減っています(短文記述問題ではほとんど解答例に採用されていません)。
実際、上記の記事でも解析した2021年の静岡県の問題では「倭寇と正式な貿易船を区別する」という記述を解答例としていましたが、2022年の埼玉県の問題では「正式な貿易船を証明するため」という記述を解答例としています(加えて、正答率からみると「倭寇と正式な貿易船を区別する」と記述した場合、減点された恐れがあると思います)。
ここからわかるように、2024年入試からは「倭寇と正式な貿易船を区別する」という記述をした場合、誤答となる恐れが高いと思います。そして、その境界線が2022年であることもわかります。

②元寇

元寇については、近年の入試では一問一答形式の出題は減っています。逆に、短文記述問題での出題が多くなっています。
しかも、元寇についての短文記述は内容・結果が中心となります。合わせて永仁の徳政令と関連させて覚えておくといいでしょう。
実は、近年では元寇という言葉を使っているところと、元寇を使わないでモンゴル襲来や蒙古襲来と使っているところとありますが、これについてはどちらで記述しても問題ないと思います。ただし、漢字指定(字数指定)が出た場合は気を付けてください。

③参勤交代

何かと話題に上がりますが、先日も話題が再燃した参勤交代です。
参勤交代の目的とは、将軍と大名との主従関係を確認すること、という記述にしないといけません。「大名の経済力を弱めるため」という記述は参勤交代を行った影響・結果であって、幕府が意図した目的ではありません
近年の出題では、用語説明での出題、経済的影響についての短文記述が中心となります

そして、このことを曲解して「大名の経済力を弱める」ことを目的と堂々と指導している人がいるのですが、一日でも早くデータのアップデートをしてほしいと思います。
この問題は、もしかしたら、山川の教科書にある史料を出して出題してくる可能性も否定できません。そのため、正しい知識のブラッシュアップをしてください。

参勤交代の記事は上記にまとめています。これを読むと、教科書にはそのような記述が全くされていないことがわかります。これを曲解する、自分が学生時代に教えてもらった通りに指導する人がいます。教科書解析をするとそれが誤りであることは明白です。
事実、近年の公立高校入試問題でも上記のことを目的で出題しているわけではありません。大名の配置などと関連させた出題はありますが、影響・結果の出題が主流となっています
これを目的といって指導している人は、今一度入試解析をし直した方がいいと思います。もし、塾用教材や辞書型参考書などを中心に授業を組み立てているなら、そのやり方は見直すべきだと思います。

④常会・臨時会・特別会

こちらは僕も知りませんでしたが、正式名称が常会・臨時会・特別会だそうです。通常国会・臨時国会・特別国会は一般的に言われてる名称です。
入試においては、どちらでも正解になると思いますが、今後、表記が統一されたら変わる可能性もあるかもしれません。ただし、上記3つと比べるとまだゆるい可能性があるかもしれません。

■曲解が起きやすい理由とは?

では、どのような理由でこのような曲解が起きやすいのか、というのですが、考えられることは以下の通りです。

【曲解が起きやすい理由】
➀自分が生徒のときに当時の先生からそのように指導されたから
②教科書解析をしないで、塾用教材・市販教材などで授業を組み立てているから
③入試解析を十分に行えていないから
④講師自身が社会科を片手間で指導しているから

以上のことが考えられると思います。
➀については、自分が教員になるきっかけとなった人からの指導を受け継いでいる場合、可能性があるかもしれません。が、問題はその知識のまま指導することです。それについては言い方が悪いかもしれませんが、研鑽けんさんが足りない、といわざるを得ません。
②については、塾講師にありがちな問題です。与えられた教材を使って授業を組み立てるのはわからないでもありません。これが複数教室を展開しているところであれば授業の均質化を図るため、仕方ない部分はあるかもしれません。が、それを理由に免罪符めんざいふをつくるのは違うと思います
同じ理由で④もありがちな問題です。加えていうと、この指導をしているのが個別指導の学生講師ならなお問題です。これについては、教材や教室責任者の力量にもよります。共通点としては、指導している教材を過信しすぎている場合、入試解析が十分でないときなどはこの問題が起きやすいです。
③についてですが、これはベテラン講師であるほどこれを行っていない人がいますが、それは論外です。入試問題も年によって変わっているところもあります。加えて、解答例も変わっています。それを踏まえて解析して授業などに還元してほしいと思います。

入試問題も単純知識問題は減ってきています。そして、その知識をどう資料やグラフなどに活用しないといけないか、を理解して学ばないといけません。

■それらに対応できる問題集が……ついに!

今まででしたら、それらに対応できる問題集はない!といっていました。それは一問一答形式の問題集でも例外ではありませんでした。

が、今年12月に発売する『高校入試 社会が一問一答でしっかりわかる本』(かんき出版・吉野功記著)では、上記の問題についても詳しく解説しています。え、今までの旺文社の一問一答でもいいのでは?といいたいのですが、こちらの特徴は、徹底して記述問題や思考型問題に対応できるように解説・説明部分を重要視しています。そのため、気軽に短時間でできる一問一答集とは一線を画すものとなっています。ですが、近年増加している記述問題や思考型問題などにも対応できる関連知識・背景知識は紙面の許す限り入れています。しっかりと学習できれば点差をつけることは可能です
そして、2023年入試を受けて最新語句や内容なども盛り込んでいるだけでなく、特典記事としてテーマ史(三分野総合問題)の問題、2024年入試に向けた最新問題を付けています。これらは、かんき出版様の公式サイトでアップされます。購読されましたら合わせてご活用ください。
そして、ある程度の売れ行きが出たら……このシリーズの第2弾(テーマ史に絞った問題)が出るとの話もあります。その時はまたよろしくお願いいたします

他にもいろいろなリクエストなどございますので、それらの中で対応できそうなところは出版会社様と相談の上、対応できる範囲で行いたいと思います(すべてが対応できるとは限りません。予めご了承ください)。
冬休み、入試直前期に拙著を使って記述対策をしっかりと行ってください。

皆様のサポート、よろしくお願いいたします。サポートいただいたものは一般社団法人CAMELの活動費として活用させていただきます。