大学入試共通テストサンプル問題解析 歴史総合・日本史探究1

本日もよろしくお願いいたします。11/9(水)に大学入試センターより共通テストサンプル問題が公開されました。僕は専門の日本史探究と歴史総合を中心に解析させていただきました。なお、歴史総合の世界史問題については、追って解析させていただきます。
最後までお付き合いよろしくお願いいたします。なお、問題解説の分量が多いため、解説・対策パート、大問パート(2回に分ける)の3回に分けて行いたいと思います。大問パートにつきましては、大学入試センター様より問題等の使用許諾をいただいたのちに掲載をさせていただきます(すでに大学入試センター様より使用許諾はいただいています)。今回は解説パートです。

※注意:本来は2022年11月には公開したかったのですが、その後の仕事の関係でこの時期になりました。後悔が遅くなったことについてはお詫び申し上げます。

■サンプル問題の大問構成

では、早速公開されましたサンプル問題の大問構成を見ていきたいと思います。

☆歴史総合・日本史探究

【歴史総合・日本史探究問題構成】
大問6題、小問34題
大問1:歴史総合(地理総合・歴史総合・公共の歴史総合大問1と同じ問題)、配点=25点(2問は2点だが、他は各3点)
大問2:テーマ史(今回は教育史)、配点=15点(各3点)
大問3:古代(共通テスト日本史でもみられる形式)、配点=15点(各3点)
大問4:中世(史料+会話文形式)、配点=15点(各3点)
大問5:近世(表や図版などを用いる問題)、配点=15点(各3点)
大問6:近現代(表や写真を用いる問題)、配点=15点(各3点)

大問1に歴史総合が入った関係で、大問形式及び配点も大きく変わりました。それは、今まで近代、近現代と分かれていたものが、近現代に統合されました。総合問題(テーマ史)が2題に増えたことで、より近現代の配分が重くなった感じです。実際の配分はほぼ1:1の割合ではないのか、と思います。
なお、歴史総合の大問1と同じですが、歴史総合の大問2については世界史探究の大問1と同じ問題になります
歴史総合の配点が25点であることも考えると、歴史総合の学習も怠ることはできません。加えて、日本史だけでなく、近現代の世界史の関連知識も必要となります。つまり、今までのように短期間での学習だけでは対応が難しくなると思います。
その論拠として、2025年の私立入試でも影響が出ます。すでに慶応義塾大学が大学受験の日本史及び世界史で歴史総合を範囲に入れることを公表しています。そこから、今までの日本史・世界史の学習に加え、歴史総合の関連性も入れていかないといけないため、これまでの日本史・世界史の学習は3か月でも間に合う、ということは今後の学習では通用しなくなると思います。といっても、問題については日本史探究の場合は日本史中心の問題になっているため、世界史内容がそこまで入っているわけではありませんでした。

■難易度は?

難易度ですが、今回はサンプル問題なので、難易度は度外視していましたが、共通テスト日本史(世界史)と考え方・解き方は大きくは変わらない気がしました。詳しい解析は代々木ゼミナールの公式サイトにも載っていましたので、そちらを参照ください。
それが歴史総合が入ったとしても、大きくは変わらない気がしました。問題点としては、日本史中心でも世界史内容が入ってくるため、近現代は日本史と世界史の相関性を見ておかないといけない気がします。そこの学習ができているかどうかで点差が分かれる可能性が高いと思います。

ある予備校講師のツイートを見させていただきましたが、歴史総合は日本史・世界史の担当講師が交互で担当したら、ということがありましたが、これについてはある意味間違っていないと思います。ただ、一つだけ懸念があるとしたら、日本史と世界史の相関性をどうつなげて授業をするのか、ということが課題になるかもしれません。つまり、演習講座のときにどのように対応するのか、が大きなポイントになります。
僕は相関性を重視したいため、歴史総合については対応できるように近現代の世界史についても学習しています。そして、2024年からの指導に対応できるようにしたいと思います。

■実は日本史単元だけでも十分?

既にいろいろな先生が今回のサンプル問題について総評などされていますが、総評すると、日本史探究については日本史単元だけでも十分に対応できる、という結論が出ています(世界史探究についても同様の結論になっているそうです)。もちろん、世界史内容も必要ではあるが、消去法という手段を使えば問題なく対応できるとは思います。
問題点は、世界史内容が年代並び替え問題で出てきた場合です。それでも日本史単元との関連性が分かれば問題はありません。

ここで重要になるのが、中学社会の近現代史だと思います。この橋渡し的科目が歴史総合となり、そこから日本史探究や世界史探究に繋がってるのです。そして、日本史については今年の共通テストで影響がいくつか出始めてます。日本史に関わる世界の動きを問う問題が1・2問出ています。これは追試験でも例外ではありません。
ということは、最低でも日本の歴史に影響を及ぼした世界史についても近現代については気をつけないといけない、ということになります。そして、最低でも中学社会の近現代史知識はある程度入れておいたほうが有利になるのでは、と思います。

■かつての共通テスト日本史と異なる?

おそらく、一番気になるところはここではないでしょうか。
問題を見た限りでは、資料読解・史料読解の問題が中心になると思います。もし、トレーニングするには、対策問題集などで練習しておくといいでしょう。
大きくは変わらないと思いますが、世界史分野の知識も加わることを加味すると、先ほど言ったように、日本史と世界史の関連性を特に意識して覚えないといけません。そして、私立大学のような知識一辺倒の問題形式ではないので、内容の関連性を特に意識すること、史料と日本史の知識の整合性をはかるなど、普段から意識をもって学習してください。

では、次回より解説パートに移りたいと思います。


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