記述問題と選択問題の種類

今日は教育記事を一本書きたいと思います。
高校入試が近づいてきて、記述問題ができない、という声がよく聞かれます。しかし、ここでいう記述問題とは何かが分からなければ、アドバイスなどもままなりません。大手学習塾の入試解析などでも頻繁に出てくる記述問題の言い方も区別して解析しなければ混乱を招きます(実際使い方を間違えているところもある)。
そこで、今日は記述問題と選択問題の種類を話したいと思います。無料公開で行いますので、よろしくお願いいたします。

■記述問題の種類

現在の公立高校入試の問題の出題されるパターンは、記述問題・選択問題・空欄補充問題と大まかに分けて3つのパターンがあります。しかし、その中にも細かく分類しなければなりません。

まずは、記述問題ですが、記述問題にも種類があります。

➀一問一答形式
②短文記述形式
③論述形式

大きく分けて3つあります。そのほかにも空欄補充形式もありますが、これは空欄補充問題に分類します。それらをひっくるめて記述問題と解説しているのです。ですが、僕がよく言う記述問題は➀の形式ではなく、②や③の形式のこと(ここでは文章記述といいます)を指します
「広島県の公立入試の記述問題が8割出ている」、と解説しているところがありますが、それは、➀の形式も含めて8割といっているのです。その4問を除くと、7割前後が記述問題である、というのが正確になります。そのため、僕が生徒などに話す場合は、記述問題の文章記述が7割を占めている、といい、文章記述と一問一答形式の記述問題を区別して説明します(本来はこういう説明の方がしっくりきやすい)。

まず、一問一答形式ですが、これは聞かれたことについて答える単純な形式です。これは選択形式の問題でも使われますが、記述させる問題も出てきます。それとは別に、文章記述として、短文で書かせる形式、論述形式で書かせる形式と2種類あります。ここでいう論述形式は、字数が50字以上を超えるものを指しますが、正確にいうと、100字以上で記述させる問題のことを言います。そのため、僕は記述問題といっても、このように具体的に分類して解説をします(ただし、公立入試で論述形式の問題が出るのは非常に稀で、大体は短文記述問題のことが多い)。
その理由は、生徒がよく「記述問題ができない」と質問に来るときに出してくる問題が、ほとんどの問題が文章記述型の問題だからです。そのため、生徒も記述問題といえば、文章記述問題のこと、とわかっているのです。それを一問一答形式の記述問題を記述問題というのは僕は少し違う気がします。記述問題については、そこから問題形式がさらに6つあるのです。

僕が上記の記事で説明している記述問題は、文章記述問題のことを指しています。そのため、よく入試解説でいわれる「記述問題が8割出ている」という言葉に疑問・違和感を感じていたのです。
先日の中国新聞の記事でも「社会の記述問題は8割」といってますが、これについても異を唱えます。文章記述のことなのか、一問一答形式の記述問題も含めての数値なのか、そこを明確にしなければなりません。恐らく、ひっくるめての数値ではないのか、と思っています。
ちなみに、2020年の広島県で調べました(問題数は23問)が、選択形式問題が4問(内1問は内容とセットで出ている)、一問一答形式の記述問題が4問(空欄補充問題問題の1問も含む)、文章記述問題が15問(内1問は選択形式とセットで出ている)でした。よって、正確にいうと、文章記述問題は全体の約65%となるのです。確かに、一問一答形式の記述問題を含めると約82%になりますが……。もし、文章記述のみを記述問題と説明するなら、これは誇張表現となってしまいます。

■選択問題の種類

選択問題の種類もいくつかあります。

➀語句・地図選択形式
②正誤問題形式

この2つになります。

➀ですが、これは空欄補充にも含まれますが、主には語句や地図の場所などを選ぶ問題です。前述の記述問題でもあった一問一答形式もこれに含めます。こういう形式は基本的には知識があれば解ける問題となっています。
②は僕がよく言っている正誤問題の形式で、マーク形式の問題を採用しているところでは使われることが多いです(この形式は昨日の記事でも少し触れています)。この正誤問題の種類もたくさんあるのです。そのため、正誤文の作られ方なども知っておくと、正誤判定の際に有利に働くのです
特別に一つだけいうと、高校入試レベルの正誤問題は語句でウソをあまりついていません。語句でウソをついていても、語句と内容・時期・地域の整合が取れないためウソになる、ということが多いのです。

それは、問題文がどう聞いているか、で答え方も変わるからです(詳細は下記の記事をご覧ください)。

僕が2019年に歴史能力検定の2級を受けたときにも、この正誤問題の判定法を実証しました。そうしたら、このやり方と日本史の知識の整合をすることで十分な点数を取ることができました(1級となると論述が入るため、多少通用しない部分もありますが)。

■空欄補充問題の種類

空欄補充問題については、一問一答形式の記述問題か、一問一答形式の選択問題か(組み合わせることもある)、のどちらかになることが多いです。
この問題は空欄の前後などに気を付けるといいでしょう。気にするポイントは、➀人名、②年号および西暦年、③政策名や事件名、④政策や事件などの内容、以上の4点を気を付けておくといいでしょう。
日本史・公民になると、史料の内容・条文が出ることがあり、判定法が少し厄介になります(初見史料の場合は特に気を付ける必要があります)。

ですが、今までの形式よりは点数は取りやすいはずなので、落ち着いて取り組んでいきましょう。

■直前期に使う一問一答集は

では、最後に、直前に使う一問一答集について注意点を話しておきます。

上記の記事は僕が公式noteを作成する最初のときに記事にしたものです。一問一答集は使う時期や使い方を間違えると大変なものになります。そのため、使うときには気を付けてください。
この時期で行うのは、知識の確認用と思ってください。その時に漢字で書けない場合、瞬時に答えを出せない場合は、ノートなどをもう一度見返して、数日後にもう一度行ってください。この時期の一問一答集は使うなら1単元を1日として、短期間で仕上げるようにしてください(例えば、24単元なら24日で仕上げる。時間のない人は18日でできるように計画を立てる)。ダラダラと同じ箇所を何回もするよりも周回を重ねる方が大事です。
そして、それに対応したチェックテストなどを行うといいでしょう。その時に、出題する順番がゴチャゴチャした方が本来はいいが、最初のうちは順番通りしてください。その時に解答のポイントをしっかりと見つけておきましょう。

その時に気を付けることは以下の通りです。
➀一問一答集を中心とした学習にならないように
→たとえば、広島県のように文章記述問題が多いところだと一問一答中心の学習だけでは通用しません。近年では選択問題の正誤問題や文章記述問題が増えています。そのため、一問一答集を使うよりはまとまったノートなどを使う方が効率がいいです(5科のまとめの要点部分の総復習がいい)。そのため、一問一答集中心の学習にならないように気を付けてください。
②答えだけを覚えない
→あくまでも、一問一答集は知識の最終確認を行う、という位置づけです。そのため、問題の答えだけ覚えても意味がありません。問題の答えにつながる内容(周辺知識)とセットで理解し、使える知識にしなければなりません。そのため、答えだけを暗記する、というのは愚の骨頂です。
そうすると、え!答えを覚えないといけないじゃん、と反論する人がいますが、そういう学習をしてもいいのは、この時期でも点数が5科目で300点取れていない人が行うことで、ある程度できる人がこのような学習をしても、公立入試では点数の頭打ちになる恐れがあります。その場合でも、内容と答えが整合できるようにしなければいけませんが。

この時期は実戦問題や過去問集などを使って、その知識の補完のために一問一答集などを使うのがいいと思います。

■文章記述問題ができるようになるには

文章記述問題ができるようになるには、まずは、書くトレーニングをしましょう。手っ取り早いのが、用語説明の記述問題ができるようになりましょう(一問一答集などでも学習しやすい)。
次に資料読解型の記述問題ができるようになりましょう。因果関係や目的定義は問題に出たときに解答のポイントを押さえるようにして書きましょう。自由記述や対比討論については、関連知識や背景知識も必要になります。覚えるときには、理解して覚えるような学習にしましょう。

そして、記述問題は現場の先生にしっかりと添削してもらいましょう。そのときに、どこが不足していたのか、書き方はよかったのか、ということなどを気にして、次につながるようにしましょう(僕が記述の添削を行うときには、何がどう不足していた、書き方の不備なども指導します)。そして、できれば、様々な形式の記述問題に触れておくといいでしょう。
現在、僕がCAMEL様に提供している一問一答集は、短文の空欄形式の問題にしています。そして、単元の終わりに文章記述問題の対策ができるように配慮しています。使われている団体様は、ぜひ最後のチェックに行わせてください。

なぜ、このように歴史でここまでするのか?これは以前から言っている、歴史の正答率が下がっていること、社会の平均点が低いことなどから、少しでも点数アップにつながるような話をしたいと思っているからです。
最後のひと踏ん張りでも、点数は大きく変わります。その一助にこの記事が役立てれば、と思っています。

皆様のサポート、よろしくお願いいたします。