高校入試頻出テーマ史の攻略4 指導者の立場で

本日もよろしくお願いいたします。本日はこれから夕方から外出することとなったので、それまでの間で仕事を仕上げたいと思います。
本日は、今まで3回の頻出テーマ史の攻略をしてきましたが、今日は特別編として、指導者の立場で教えるときの注意点などを話していきたいと思います。もちろん、受験生の学習についてのアドバイスもかねて話していけたら、と思います。2022年入試でも出題頻度が高いため、知っておくと有利になります。その一つの考えをここで公開したいと思います。

最後までお付き合いよろしくお願いいたします。

■定期テストとの相違点

まずは、定期テストの問題の作り方は、主には単元別の学習が中心となります。そのため、ワーク類をしっかりと学習していれば点数が取れます。そのため、学習の中心は短期記憶となります。その弊害としては、その場限りの学習を行うため、長期的な学習ができないという欠点があります。
そのため、言い方が悪いかもしれませんが、定期テストは「ワーク類の丸暗記」でも点数が取れてしまうのです。そのことから、「社会は覚えていれば点数が取れる」という誤った観点を持ってしまうのです。
ですが、定期テストは「覚えていれば点数が取れる」のは事実です。そのことから模試や入試でも覚えていれば点数が取れるという勘違いがおきます。そこで、こういう悩みをよく聞きます。それは「定期テストで点数は取れるものの、模試などでは点数が取れない」ということです。

このからくりを紐解くとするなら、定期テストの問題の作られ方と模試の問題の作られ方が異なるからです。この事実を知らずに社会は覚えれば……という無責任な指導者がいます。その結果、定期テストと同じような直前で短期記憶をして、という誤った対応をしてしまう受験生が多いのです。

どういうことなのか、というと

定期テストは前述のとおり単元別の問題が多いので、範囲がある程度決まっていればその範囲を覚えてさえいれば点数を取ることはできます。
一方で、模試は単元別の問題もないわけではないが、ほとんどはテーマ別の問題なのです。そのため、単元別の問題対策をしても対策しきれない問題が多いのです。もちろん、単品の問題では解ける問題もあると思います。が、範囲が定期テストよりも広範なので、直前で学習をまとめようとしてもそれは物理的に無理ということがわかります。模試は1日で1科目をするわけではなく、数科目及び全科目を1日で行うのです。そのため、直前の学習だけで点数が取れるわけではありません。まずはこの事実を知っておかないといけません。これが定期テストと模試での学習の違いにもつながります。

■模試・入試対策は長期記憶が必要

僕は、この現状を知ったことで、今までの社会の指導を少し考えるようになりました。もちろん、覚えるポイントは指導しますが、どのように長期記憶の学習につなげるのか、ということを念頭に置いて指導するようにスタイルを変えました。現在行っているオンライン家庭教師でも、ただ覚えておけばいい指導ではなく、周辺知識・関連知識・背景知識の3つの知識をいかに活用して長期記憶につなげられるか、を意識しています

しかし、生徒の大半は不思議なことに、このような指導ではなく、楽して点数が取れる指導を求めているのです。短期間でテストの点数を上げる方法を使ってもいいが、それは生徒の負担が大きくなるため、あまり僕は使わないようにしています。確かに、点数が取れれば生徒のやる気にはつながります。ですが、定期テストだけでなく模試でも点数が取れなければ意味がありません。そして、このような考え方が模試や入試でも正答率や点数が取れない理由の一つになっています

模試の対策を行うときには、短期記憶の学習ではなく、長期記憶の学習にしなければなりません。そのためには、他の社会の単元、他科目の関連知識や背景知識を使える知識のレベルにしなければなりません。それをこなすためには、問題演習を数多く解かなければなりません。そして、解くときにはただ答え合わせをするだけでなく、周辺知識・関連知識・背景知識の強化を行ってほしいです。そのため、指導者サイドとしても、定期テスト対策と模試対策は異なることを指導できなければいけません。

問題は、このような指導を学生講師がしているケースです(主に個別指導)。学生講師は自分の学習経験をもとに指導することが多いのですが、その場合、丸暗記や直前だけの対策、という短絡的な指導をしているケースもあるのです(一部の講師はこのような指導をしていない人もいます)。そして、最悪なのは、学生講師の話を鵜呑みにして、「丸暗記学習」を是とする学習法を行うようになり、模試で点数が取れない事態になっています(最悪の場合は定期テストも)。

僕は短期記憶の学習をするにしても、やり方などの指示も出します。一問一答形式の問題でも「解答→問題」の逆一問一答を行うことなど形式が変わっても対応できる学習を指示します。
社会は普段の学習は大まかな動きをつかんで、インプットとアウトプットの基本をできるようにして、直前期には知識の定着と確認の比重を重くするようにしています。
英語・数学は積み重ねができていなければ点数につながらないので、単元によっては振り返りを行うことを意識します。社会や理科などでも同様のことをしないといけないと思うのです。

それを長期的にできるように、夏期講習や冬期講習などで復習をしていくのです。しかし、そのときでも解答を丸写しして作業学習を行う生徒が多いのです。そのため、定着しきれていないのです。なぜこの時期に復習をするのか、という目的も理解しながら進めてください。この積み重ねで長期記憶の学習につながっているのです。

■問題演習は最低でも2周はしておく

問題演習は最低でも2周はしてください。1周目は普通に解きますが、2周目はできていないところを中心に仕上げる、という風に工夫をしてください。
そのうえで、テーマ史の学習もしておかないといけません。しかし、残念なことに、普段の学習からテーマ史の学習を行うことはほとんどしません。その理由としては、テーマ史の問題をまとめた市販の問題集がないのが理由です。でも、これを中1・2の段階で気にする必要はありません。中3になってから気にしていけばいいです。

なお、中1・2、中3の序盤の模試は基本的には単元別の模試になることが多いですが、中3の夏期からの模試(早いところは中3最初の模試からのケースもあり)はテーマ史の出題が多くなり、途端に点数が取れなくなってきます。単元別の問題集だけでは対応できないため、それ専用の問題を解かなければならないのです。そして、公立高校入試の問題は大半はテーマ史です。そのため、関連知識や背景知識の学習も合わせて行わなければなりません。

学校などで購入している「3年間の総復習」は単元別問題集の土台問題集として行うようにしてください。そのうえで実戦問題集は別で用意しておく方がいいです。土台問題集と実戦問題集は使用用途が全く異なります(日本史でも土台問題集と実戦問題集の区別について話していますので、参考にしてください)。
では、テーマ史はどうしたらいいか、というのですが、現在僕が限定公開しているテーマ史予想問題を活用してください。CAMELを使われている方は僕が完全監修をしているテーマ史問題集を行ってください。これは実戦問題としても効果が高いだけでなく、出題頻度の高いテーマ・問題を中心に取り上げています。僕が作成・監修したオリジナル問題も収録しています。これをやるだけでもテーマ史学習は効果が高いです。今後、要望が強ければ限定公開で提供したいと思います。来年あたりをめどに新作問題も作っていきたいと思っています。

■指導者はそのようなことを念頭に置いたうえで

本題です。指導者はこのようなことを念頭に置いたうえで、以下のことに気を付けなければなりません。

➀定期テストと模試の問題構成は異なる
②テーマ史の学習と単元別の学習のバランスを図る
③覚えておけばいい、という無責任な指導を行わない

など気を付けないといけないことは多いです。そのうえで、ひと昔前の指導法では通用しないことも知っておかないといけません。それは出題形式などの変更が大きく影響しているからです。となると、今までは確かに覚えておけばいいという指導が通用していたのは事実ですが、今の入試形態だとそのような指導は生徒の負担が増大するだけです。

上記の記事は、社会の用語を全教科書調べたうえでその所感などを話しています。歴史の語句だけでも英単語の数に匹敵するくらいの量を覚えないといけません。これに地理や公民を加える(約1600語くらい)と、とてつもない量の暗記をしないといけないのです。
これが歴史の正答率が下がっている原因です。地理や公民はそこまで正答率が下がっていないのです。ですが、歴史だけ下がっているならその原因があると思いますが、その一つが歴史語句の多さ、になるのです。その現状を知ったうえで、「何を、どのような形で、どこまで覚える必要があるのか」を念頭に置いた指導をしないといけません。そのうえで、しっかりと問題演習を解かせるのです。解説をする場合でも、関連知識の確認も忘れないようにしてください。生徒がそんなの分かっている、といってもやらないといけません。

これらのことを前提として、正しい指導をしないと生徒の負担が増大します。それに加え、社会だけではなく、英語・数学・国語・理科の学習もあります。そのため、効率よい学習を指導しなければいけません。もし、上記の誤ったやり方で生徒を合格させたとしても、その先の学習で限界が来ます。それを踏まえたうえで、しっかりと先につながる学習を行えるように指導してほしいと思います。

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