成績が上がらない理由
本日もよろしくお願いいたします。前回の記事が思ったよりも反応がありましたので、今回は第2弾を話したいと思います。
実は成績が上がらない理由は指導者側にある以外にも別の要素があるのです。その理由を話していきたいと思います。
最後までお付き合いよろしくお願いいたします。
■前回の記事
前回は指導者の立場を中心として、成績を上げられない理由を話しました。今回は、どちらかというと、生徒側の立場で話していきたいと思います。
■授業を受ける生徒の変化
一番大きな理由として挙げられるのが、生徒の性格の変化だと思います。
先日、このようなツイート(僕のフォロワー様)を目にしたとき、僕の中で腑に落ちる内容があったので、そのことについて以下の返信しました。
僕の中で近年の生徒の質の変化を感じたものです。昔は「理屈」の説明が多かった気がしましたが、近年の生徒は、このような「理屈」や「周辺知識」などを雑談やいらない話、と決めつけている人が多いです。
そして、塾でもこのような理屈を話しても生徒はあまり食いつきません。それよりも「話が長い」という偏屈を持たれるようになりました。この一つのからくりに対して上記のツイートはそれなりの回答をされている気がします。この生徒の質の変化で講師は対応を迫られることになるのです。そのため、短く簡潔に、という授業をするようになるのです。
生徒からすると、このような授業をする先生を「わかりやすい」といって評価するのですが、実は、ここに成績の上がらない原因があるのです。
生徒からすると、わかりやすい授業だから勉強できる、と思うかもしれません。それはそれで正しいかもしれません。が、大抵の場合はこのような指導は短期記憶にしかなっていないことが多いのです。そのため、定期テストの学習であるのならそのやり方でも問題はありません。ですが、受験指導となるなら、このような短期記憶型の学習はあまり効果を発揮しません。
ただし、学習を行うきっかけとしては効果はある程度はあります。あくまでも学習するきっかけとして、ならです。
■映像授業も説明を短く簡潔に、という傾向に
そして、この問題は塾現場だけでなく、近年主流になりつつある映像授業(VOD)でも同様の流れになっています(大手予備校の授業は除く)。
僕が映像授業の担当をすることになったときに、1つの単元で20分以内で仕上げる、という縛りの中、限りなく短く簡潔に説明するようにしています。しかし、授業の性質上、どうしても周辺知識・関連知識・背景知識などの知識を盛り込んだ授業をしないといけない場合があります。それでも、長くても20分以内で収まるように僕も気をつけています。
そして、それを見る側からすると、解説の中にある周辺知識・関連知識・背景知識の部分の解説を飛ばす人が多いのです。つまり、説明が長い、と判断しているのです。
しかし、僕のこの周辺知識・関連知識・背景知識の部分は、他の学習でも活用できる話を盛り込んでいます。そのため、その内容は雑談でもいらない話でもありません。ですが、そのことを受講する生徒はあまり理解しておらず、共感もしません。
たとえば、国語でも必要なこともあるし、英語でも必要な背景知識や関連知識になるかもしれません。そして、他の問題や切り口できても対応できるような指導をしなければなりません。そして、説明の際にはイメージしやすいように身近なもので例示します。
なぜ、予備校のVODを除くといったのか、というと、予備校講師たちは生徒の集中力の持つタイミングなどを計って、リラックスできるように工夫をしているのです。しかし、ほとんどの受講生はこのような雑談を意味のない時間、と判断してさっさと授業を終わらせる行動(早い話コマ送りや早送りを行う)をとるのです。
それ、非常にもったいないことをしていると思います。僕は文面上にあることは確かに説明はできる限り行いますが、中には最新情報として付け加えることもあります。その場合は大抵近年の入試で問われること、最新時事などを盛り込んだ話になっていることが多いのです。先生によっては、それが人生の先々で役立つことを話されることもあります。それを雑談だ、とか時間の無駄、だというのはもったいないです。
つまり、今の生徒の受講姿勢の変化によりこのような周辺知識・関連知識・背景知識があまり身についていないのでは、と思います。
■僕も説明は長い方だが……
では、自分はどうか、というと、正直なことを言うと、説明はやや長いです。が、その中でも必要な情報は漏れなく流すようにしていますし、どの単元と関連させないといけないのか、という自分で学習するために必要な内容を提示しているのです。これをいらない話、と言われるなら申し訳ないのですが、その方は僕の授業には合いません。別の先生の授業を受講した方がいいです。
僕は日本史の授業を行う際に、今の学習法で必要なこととして、「周辺知識・関連知識・背景知識」の3つの知識を必ず言っています。そして、それがどの単元と関連しているのか、も含めて説明をしています。オンライン家庭教師をしているときには、生徒の反応も伺いながら進めています。そのため、説明は長くても、授業のプラン通りにはほぼ進められているのです。
もし、長い場合は短く簡潔に、を意識しますが、受講生には「周辺知識・関連知識・背景知識」が使える知識にならないと問題が解きにくい、ということも言っています(日本史のテストは一部は知識問題もあるが、近年は上記の知識が備わってないと解けない問題が多い。論述問題になるとなおさらです)。つまり、僕は必要であることの理由をしっかりと伝えています。雑談でもそんなに長くならないようにするし、リラックスしていいよ、などと声をかけるので、授業のオン・オフを意識しています。その時も、アイドルの話とかではなく、将来に役立つ話、大学に入ってから必要なことなどを話しています。
生徒の集中力は予想以上に持たないことが多いです。その切り替えなどを講師はしっかりと見極めてほしいです。
■「わかりやすい授業=成績向上」にならない理由
それでは、今回の本題になるのですが、わかりやすい授業を受けたからと言って成績が上がるのか、というのですが、これは上記の記事を見ていただけるとわかりますが、その答えはNOです。
その理由として、考えられることは以下の点です。
【わかりやすい授業が成績につながらない理由】
➀わかりやすい授業を受けて勉強した気になっている
②授業を受けた後の演習が不足する(アウトプット学習が足りない)
③その場限りの理解になるため、長期記憶につながらない
等の理由が見受けられます。
➀・②ですが、わかりやすい授業をウリにしている塾の中で気を付けないといけないことです。授業後のフィードバック学習が不足しているなら、成績は上がりません。
以前の記事でも、「わかりやすい授業で生徒を惹きつける」ところに気を遣いすぎて、本質の学習がままなっていないケースがあるのです。つまり、その後の学習が身についていないのです。
このような状況でさらに警戒しないといけないのが、その先生がイケメンであることです(別にイケメンが悪いとは思いません)。勉強するきっかけになるのはいいことですが、目的が外れてしまうと当然、成績の伸び悩みが出てしまうのです。結果、成績が思った以上に上昇していない、と思うのです。
そして、そのような授業を行う塾がよくやることが③です。言い方を変えると短期記憶のドーピングです。「○○学校対応テスト対策」というのを大手集団塾はやると思います。しかし、やっていることは学校の過去の定期テストのトレーニングなのです。つまり、過去に出た定期テストをほぼそのまま使って「これがテストに出る」といって集中的にやらせるものです。そして、これの最大悪が、その短絡的なやり方でテストの点数を取ったときです。
大抵の人は点数を取ってうれしいと思います。ここまではいいのです。しかし、このあと以下の問題点が発生します。
【問題点】
➀定期テストでは点数が取れるのに……
②その点数が取れることを他の友達に紹介する
気づいてほしいのです。ほとんどそのようなことをやっているのは作業に過ぎないことを……。つまり、定期テストでは点数が取れるのに模試や入試問題になると得点が取れない、という問題が発生するのです。大抵の方はこのような罠に陥りやすいのです。そして、そのやり方が高校でも通用する、という勘違いを生じさせているのです。
そして、この点数が取れたという最大悪が②なのです。その成果をもとに他の友人を連れてくるというキャンペーンをするのです。そして、このようなことをする大手塾はほとんどのケースで中学までで指導がほぼ終了するところです(高校部があっても影像授業であるところも含む)。
つまり、大学入試の予備校講師たちは、中学生まででこのようなやり方をしている塾の誤った方向性を修正していかないといけないのです。そのため、僕は中学の段階から「理屈」や「周辺知識・関連知識・背景知識」の大切さを授業で取り組んでいるのです。そして、高校入試もこのような傾向に徐々になっているのです。
高校入試も大学入試も出題傾向など変わっています。生徒の特徴も変わっていますが、それ以上に、指導している我々も変わっていかないといけません。ですが、その中でも、必要な知識はしっかりと身につけさせないといけません。
実際に問題を解くときには、周辺知識・関連知識・背景知識といった知識は必要ですし、それを活用できる知識にできなければなりません。短く簡潔に、という姿勢も大事ですが、それ以上に関連付けて使える知識としておかないといけないのです。このような姿勢は中学のうちから身につけておかないとその先の学習で思わぬ負担を強いられることになります。
実際、僕が今指導している受講生はこのことをしっかりと理解し、そのうえで正しい学習姿勢のアドバイスをしています。ほとんどの生徒はその成果に手ごたえを感じています。今からでも遅くありません。小手先の学習法や指導法でごまかすのではなく、本物の学力を身につけてほしいと思います。そのための正しい学習法・アプローチ法を身につけてください。
皆様のサポート、よろしくお願いいたします。