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良い写真を撮るために必要なこと。とは?

質問です。『感動』しなかった日が、この1年間で1日でもありましたか?

こう聞かれて、Yesと答える方はどれだけいるでしょうか。

感動。

例えば、『映画』は感動しますね。喜びも、悲しみも、沢山の感動が詰まっています。

『結婚式』も、感動と隣り合わせですよね。

しかし、映画のようなワンシーンでなくたって、

人々が喜び涙している光景だけでなく、

日常にも、感動は潜んでいるはずです。

そんな身近にある『感動』を切り取り、表現するフォトグラファーさんを招いて

『スマホを使った写真ワークショップ』を開催しました。

・楽しく

・気軽に

・写真世界の入り口に連れてってくれる

そんなワークショップを思い描いていたら、自然と電話をかけていました。

電話の相手は、フリーランスフォトグラファーの伊東昌信さん。(以下、のぶさん)

のぶさんは、二つ返事で快く引き受けてくれました。

ここで少しばかり、のぶさんをご紹介。

のぶさんは、2009年に伊東写真事務所を設立し、写真集2冊をリリース。

企画から編集まで、自身がすべてを手がける雑誌『EYE magazine』も次で11号目。

独自的に発達したカルチャーの紹介や、街に住む人々との物語、家族愛をはじめとしたのぶさんが感じる『生きる歓び』がEYE magazineに綴られています。

のぶさんというフィルターを介し、その画面の向こう側のストーリーを感じさせる、そんな写真家さんです。



良い写真とは


今回のワークショップでは、「こういう風に撮ってみよう」とか「こんな撮り方はNGだよね」とか

そんな言葉はひとつも出てきませんでした。

それは、写真に正解が無いからです。

ワークショップ中に

「写真はメモや手紙のようなものです」

のぶさんは、そう伝えました。

紙とペンを使うこと以外、手紙にはルールがありません。

恋人へ宛てるならば、愛情たっぷりに。

サンタさんへ宛てるならば、ボクの好きなものをたっぷり綴って。

つまり相手次第で、言葉も書き方も変わりますよね。

写真だって同じ。

撮ったあなたが、伝えたかった誰かに、うまく伝えられたのならば、良い写真と言えるということです。



心を動かす


今回は写真を撮るにあたって、テーマ撮影を行いました。

ランダムにカードを引き、書いてある言葉をテーマとします。

特に何の説明もないまま、「さぁテーマに沿って撮ってみよう!」

そう言ったもんですから

「ぇえ〜…」とか「むっずかしぃ…」とか声が上がっていました(笑)

テーマとは、その写真の核となる要素で

一番重要なポイントと言えます。

ドキドキとか、ワクワクとか、キュンキュンとか。のぶさんから提示されたテーマはこんな感じ。

それらのテーマを探しに、みんなと街へ飛び出しました。

普段、写真を撮る中でテーマを持ったことはありますか?

大切なんだけれど、実はやっていないこと。

それは、テーマづくりでした。

では、どのようなテーマにするべきか?

それは前述したように

写真に答えが無ければ、テーマにだって答えはありません。

強いて言うならば、『心が動いた瞬間』

「のぶさんが、写真を撮りたくなる時って、どのように心が動くんですか?」

こんな質問をしてみました。すると

「キュンとした。おもしろい。綺麗だ。ワクワクする。新鮮だ。真剣だ。かな〜。」

こう答えてくれました。

確かに、のぶさんの写真を見るとそんな気持ちになります。

何を見て、キュンとしたり、ワクワクしたのか。

それが何故だったのか。

心が動いた理由を、言葉にしてみることがテーマ作りのヒントとなります。

参加者さんも、撮影していくうちに緊張がほぐれ

素敵な写真が沢山生まれました。

「楽しかったよ」という声を聞き、良かったと嬉しくなりました。



経年変化する写真カルチャー


いまから約200年も昔、写真撮影技術が誕生しました。

今回参加された方が20代なかばから30代中盤だとすると

その世代の方々が写真と出会ったのは、

お父さんが持っていたファミリー向けフィルムカメラやインスタントカメラだったのではないでしょうか。

町の写真屋さんにネガを持って行っては焼いてもらい、アルバムに綴じる。

これは当時の風習であり、誰かが作り上げた文化でした。

昔のアルバムを覗いてみると、家族旅行に行った時のものや、家で兄妹そろってピースするもの。

酔っ払った父親がおちゃらけているものなど。

写真は当時から、家族にとって記録でありかけがえのない記憶でもありました。

そして現在、『1億総カメラマン時代』と揶揄される新写真時代が到来。

つまり1人に一台、携帯電話というカメラを持つ時代になったのです。

電話機で写真を撮ろうなんて、当時の人々がタイムスリップしてやってきたらさぞ驚かれることでしょう。

写真で繋がり、写真で言葉を交わす。

SNSが広まり、写真はグラフィックから、コミュニケーションツールへと進化をしているように感じます。



WONDERを求めて


心が動く写真について、ひとつの映画を思い出しました。

2003年公開の堤幸彦監督作品『恋愛寫眞』

松田龍平演じる誠人と、広末涼子演じる静流が、写真をキッカケに出会いストーリーが繰り広げられる。

静流の写真は、目の前の物へ素直にレンズを向け、シャッターを切る。色気はないけれど、純粋無垢な写真。

静流は、心が動いた時に好んで「WONDER」という言葉を使いました。

「WONDER」

なんでもない世界がとっておきの世界に変わる。

なんでもないように見えたものが、とっておきの風景に見える。

何とも思わなかった人が、特別な人になる。

写真にはそんな力がある。

そして、1億通りの写真の分だけ、1億通りのWONDERがあり、それを見つける才能が人々にはあるのだと。

ある友人のクリエイターは言います。

『才能とは関心を持つことだ』

何気ない日常の中、興味深く目を凝らし

小さくても、あなたが見つけた感動に

そっとカメラを向ければOKだと。

今回のワークショップを通じ、そう感じました。

次はいつになるかわかりません。

けれど、誰かに期待されるのならば、この学びある時間づくりを続けていきたいと思います。

最後に、ある好きな言葉をここに。

おもしろき こともなき世を おもしろく

すみなすものは 心なりけり

長文失礼しました。

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