ヒロガリズム 楽曲解説(フルサイズ編)

お世話になっております。
ハマダです。

さてさて、作編曲を担当させて頂いた「ヒロガリズム」を収録した、ひろがるスカイ!プリキュア主題歌シングルが無事リリースされ、先日サブスクでも配信が開始されました。めでたい!
いやぁ、改めて良い曲です。ヒロガリズムという楽曲が自分の手を離れ色んな方々に愛されていく様を見て、ポジティブな意味でもう自分の曲ではないんだなぁ〜と感じています。だってちっちゃい子がぴょんぴょん踊ってるんですよ!?そんなこと人生で起こるなんてね〜ありがたい限りです。堪能するぜこの期間を。

フルサイズのアレンジについていくつかご質問頂いたりしたので、テキストでもまとめておこうかなとおもいます。1コーラスを作るにあたっての経緯をまとめたnoteがありますので、未読の方はぜひ先にそちらをご覧ください。この記事は後編って感じですね。
また、最近始めたラジオで似たようなこと話してるので、よければそちらでもご覧下さい。ホストなのにトイレ休憩に行くようなゆるさでやっています。

閑話休題。

一番最初に1コーラスのデモを作った段階では、イントロはフルサイズと同じパートから始まっていました。前回の記事で書いた部分ですね。そこに追加で、TVサイズ用に10秒程度のプリイントロを作成することになりました。最近のプリキュアEDでは定番になっているトークパートで、今作では歴代プリキュアが登場するところですね。ここ毎週アツい。
真・イントロはブレイクが多くてリズムが細かく、スポットライトがバーーーンと当たるようなイメージだったので、そこに繋げるために長めの音符を使った華やかなファンファーレのようなイメージで制作しました。リズムってすごいね、奥が深いね。結果メリハリがついて非常に良いプリイントロになったんじゃないかと自画自賛しています。

そして、フルサイズのアレンジへ。ヒロガリズムの曲構成はざっくり以下のようになっています。

(プリイントロ→)イントロ→1A→1A'→1B→1C(サビ)
→間奏1→2A→2B→2C(サビ)
→間奏2→D→間奏3→3C(落ちサビ)→3C'(サビ)→アウトロ

間奏1とアウトロで使われているフレーズ、非常〜〜〜〜に気に入っております。ウキウキすぎるここ。あんなサビの後にこんな展開が!?フルサイズお得すぎる!!という気持ちで作っていました。
実はレコーディングでドラムのフレーズを変えた部分があります。デモ段階では間奏だけディスコビート(ドッツーって4つ打ちでハイハットがなってるやつです。ここまで書けば、あとは調べるやろ)で、サビは普通にクローズのハイハットだったのですが、ドラマーたかよしからの提案でサビもディスコビートになりました。たかよし曰く「祭りだから」とのこと。たしかにな。結果これが良い方に作用してサビの勢いそのままに間奏に突入するような印象を受け、非常にグッとくるグッドな展開となりました。

2Aはイントロのリズムを引用しつつビートに変化を加え、1番とは印象を変える自分的にはお馴染みの手法です。ビートってポップスの中でめちゃくちゃ重要な要素なのだとわかりますよね。で、2Aは変化を入れたので2Bは逆にほぼ変えない。変えない中で、ちょっとだけ遊びを入れる。奏者の皆さんのセンスが光っています。この辺りのバランスを考えるのがパズルのようで、フルサイズのアレンジを作る時の非常に大きな醍醐味だと思います。アイデア思いつかない時は地獄ですが。

楽曲の展開について指示を貰っていたので、間奏2→Dメロ→間奏3→落ちサビという流れは決まっていました。2つの間奏をどうするか考えているときに、あることを思いついたのです。それは「TVで流れるプリイントロが実は間奏で、それをきっかけにイントロのフレーズに回帰して落ちサビに入るとめちゃくちゃ嬉しいのでは…?」というもの。このアイデアが出た瞬間、完全に優勝が決まった音がしました。脳内スタンディングオーベーション。おめでとうございます。いえいえ、ありがとうございます。なんとなく全体の統一性というか、物語性を出すために同じコード進行を基にイントロとサビを作っていたことが功を奏し、このアイデアが実現しました。同じような少し違うことの繰り返しが人生だよね〜という思想の下、少しずつフレーズが違うのもまたGoodです(実際はそのままだとメロとぶつかるからと三好さんが気を利かせてブラスを手直ししてくれたのが大きな理由なのですが、それもまた人生)。
この部分、TVサイズを聴き込んでくださった方ほど、フルサイズを聴いてくださった時の驚きがあったんじゃないでしょうか。だってイントロから違うんやもん。そうか、あれはTV版だけか…と思ったら間奏でまさかの再会。幼馴染がラスボスだった時のような、死んだヒロインが実は生きていたような、この気持ちはなんだろう。オタクはみんな伏線回収が好き。王道な技かもしれないですが、臆せず堂々と仕掛けられて結果よかったです。

ということで、皆様の力を借りつつフェチズムを爆発させて無事にアレンジは完成。そこに最高の歌詞、最高の歌、最高のミックス、最高の映像がついて最高のEDが毎週流れているということですわ。ハァ〜僥倖僥倖。これはあくまで僕がどのようなプロセスで考えて曲ができたか〜という過程でしかないのですが、でも意図を知ることで曲の理解が深まる部分もあるかと思いますので、ヒロガリズムという楽曲を咀嚼する一助になれば幸いです。まだ歴史の真っ只中ですので、味わって食べていただければなと。きっとまだいろんな味がすると思うので。

曲が出来てしまえばもう僕に出来ることは何もなく、今は普通に一視聴者として毎週ひろプリ楽しんでいる訳なのですが、ストーリーの展開によってEDの印象って大きく変わるんだなということが改めて実感出来てすごく嬉しかったです。ましろんがプリズムになった回のED、ちょっと泣いちゃったもんな。アルバムの曲順やライブのセトリを考える時に味わう感覚に近いかもしれません。ドラマによって曲の聴こえ方が全く変わる。日常なのか、決意をした時なのか、悲しみを背負う時なのか…文脈が担う部分は大きいですね、Jpopは特に。これからアニメがどんな展開になるのか、しっかりヲチしていきたいと思います。きっと僕も知らない、楽曲の一面を見せてくれるのでしょう。子育てってこんな気持ち?

解説というほどでもなかったですが、今回の記事は以上となります。キャラクターソングアルバムのリリースも発表されていまして、ヒロガリズムに加えて1曲「あたたかいあたりまえ」という曲を書き下ろさせていただきました。作詞はこだまさおりさん、編曲は森いづみさんです。いい曲です。森さんこのアルバムめっちゃ仕事してて凄すぎる。こちらもお楽しみに。

書きたいこと書けたので、僕は粛々とマシーンのように曲を作り続ける生活(とても豊かなものです)に戻ります。それではまた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?