戦争体験者の語り部

 いきなりセンセーショナルなタイトルで書かれたブログだが、内容としては戦争体験者の語りを子供たちに聞かせるのはもはや意味がない、というものと解釈している。詳しくはブログを読んでいただけると幸いである。

 これを読んで私も共感した。確かに、戦争でも自然災害でも、時と共に記憶は風化していくし、生々しい体験談ではなくなっていく。まったくその出来事を知らない子供たちにとっては、遠い過去、あるいは実感を伴った経験ではない出来事を聞かされたところで、ありふれた感想しか持てないだろうし、そもそもそれほど深い関心を持てるかどうか分からない。

 戦争体験者の話を聞かせる、何の目的を持って聞かせるのかと問われると、明確にこれだという回答ができない。教える側にとっても自分ごととして捉えていないからである。まったく意味の無いことかと言えば、必ずしもそうではないが、時としてこれが一方的な感情の吐露になったり、思想の押し付けになったりする側面は否めない。

 戦争という出来事について、子供たちに伝えるためには、やはり客観的な事実を確実に捉えさせることが必要である。その教授にはDVDやドキュメンタリー番組などが有効だろうと思う。しかしそれも、極端な思考のバイアスがかかっていたら問題であるが、体験者の話よりはずっと、公平中立的に考えさせることが可能ではないかと思う。

 戦後75年を過ぎ、戦争当時を知る人が少なくなってきた。数々の証言も記録を残して行かなければますます風化していく。そうならないように、伝えていくこと、記録を残しておくことは重要ではあるが、それも時と場合、必要に応じてである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?