小学校高学年に「教科担任制」導入~中教審答申~

こんなニュースが流れてきた。直感的に「これは実現しない」と思った。その理由を述べる。

まず中学・高校のように全面的に教科担任制をしないという点。中途半端感が否めない。教科担任制にすると言っておいて、実施するのは算数・理科・英語に限っている。以前から学校によっては音楽専科や図画工作専科などの教師もいるが、学校裁量になっている。

それから、「小学校教諭免許」という免許の特殊性である。小学校教諭一種及び二種免許は、すべての教科の指導法を取得し、その専門性を身に付け、どの教科も指導できる前提で免許状を授与されているはずだ。なのに算数・理科・英語に限定するというのはやはり中途半端。

さらに、教科担任制とはいっても、教員である以上学級担任は持つことになる。というよりならざるを得ない。教員採用試験の志願者数が1倍や2倍と低水準を推移している現在、人手不足である上に、講師登録も少ないと聞く。かつてのように引く手あまたの魅力ある職業ではなくなっていることを考えれば、学級担任も兼任しなければ学校が機能しなくなるのは見えている。

教科担任制を導入することよりも先にやることはないのか。「教師の多忙化解消」「働き方改革」それに次々に要求される教育的要請。明らかに教師がやらなくてもいいような仕事まで教師がやっている以上、現場は疲弊し、余裕をなくし、自己研鑽も教材研究も自由にできない。なりたくてなった仕事のはずなのに、疲弊する一方の仕事に何の魅力も未来への展望も見えなくなるのは当たり前である。

離職者が増え、志望者が増えない、文科大臣が言っている「教師を再び魅力ある仕事に」というかけ声はむなしく響くだけである。

教師という仕事から魅力を奪ったのは誰の責任だ。


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