named stories　後編

[希望]

明日を語る資格が与えられるのなら
孤独を耐えてみせるから
残していたい筆記具
耳を澄ませば聞こえてくる
今は生きる価値がないのかな
私望む未来へと　一手を投影させてみせるから
輝く世界へと

[時間]

どこからなのか分からない
どうしてか従わなければ
生きていかなければ　　軌跡を見ることが
できないのかな
夢の中だけに　存在しないはずなの
進んでいくのに
生命は後退していく

[笑顔]

いつの日か忘れてしまう
顔に似顔絵を貼ったかのように
この世界はどうしても
美しくなかった
綺麗なものになりたいのに
ねぇどうして　どうして
自分が嫌い嫌いになるのも　時間の問題

[夜明け]

世界が静かなのに
生命が息の色がつく
十二時を超えていても
消えることのない
微かな希望だけを
頼りに　階段を辿り

[詩]

想いを伝えたいのさ
けど恥ずかしいじゃないか
迷路のように迷っていた
いつになれば終わりがくるのか
永遠なお話はないはずだけど
花が咲いてくれ　声が届いてくれ
どれだけ叫んでも　動くのは　間と声帯だけなのに

[雨]

傷を支えながら
名も知らぬ人が泣いている
何処でも連れていく
声だけが聞こえてくる
音だけが響く静寂さ
まだ夢の中にいたいと
心の中でいた感情だけ

[秘密]

扉の前に辿りついても
開けられる鍵がなくて
立往生
姑息な事なのかもだけど
いつあなたとの会話が
開けてくれるのだろうか

[勇気]

足を踏み出すのに
なぜか怖いのだ
向上心があると信じていた
心が動いていても
体が動くことを忘れてしまって
届かぬ所へと続いてくれれば
まだ辿り着ける可能性を

[革新]

世論が変わるのか
変わるのではなく
都合の良いように
変わってしまうのが
操り人形のように
そこに人権はなく　声もとどかぬ
ただ生きていくことで　掴めなかった

[探求]

公式があるはずなのに
答えが手に入らない
憧れていたから息を
傷を負いたくないから愛を
ある意味これが
間違い探しだ

[変化]

ありのまま生きてなんて
一体誰が作った言葉なの
あなたの理想に
従って生きてきたじゃないか
これ以上何を求めるのよ
影で生きてきた　カメレオンのように
全てに意味があれば　泣かなくて済むのだな

[調和]

目に落ちる共同の言葉
それが苦しかった
互いを認めず　声を聞くことをせず
その場その場でできる　規則に心を蝕まれる
さよならと言える人　ごめんねと言える人
それを見ることはもうない

[信頼]

最後に笑えるような
世界だけが見えてほしい
解れてしまう手紙の文字
ただ幸せを祈らせてください
笑顔が似合うのだから
もう泣かないでください
それがあなたの　本来の美しさです