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短編【ドリームフォト】小説

#1

私は悪夢で目が覚めた。恐ろしい夢だった。リアル過ぎて、しばらくは放心状態だった。ここ二、三ヶ月はおさまっていたのに。生理がだいぶ遅れていたので嫌な予感はしていた。



夢の中で私は風呂場にいた。そこには何故か全裸の女性がいた。ロープで身体をきつく縛られて横たわり、口元はタオルで塞がれていた。声が出せないその女性は、恐怖で両目をカッと見開いていた。その両目が、助けてと叫んでいた。

私の足元にはバケツが置いてあった。バケツの中には包丁やノコギリや枝切りバサミなどの刃物がギッシリと詰まっていた。

そのバケツの中から包丁を一本取り出すと、夢の中の私は彼女の白く柔らかい首筋に刃を当てた。死を悟っのか彼女はきつく目を閉じた。

その瞬間、私は包丁を彼女の首筋に入れた。真っ赤な血が勢いよく吹き出し風呂場の真っ白なタイルを濃いピンクに染めた。血で汚れた首の切り口からひゅーひゅーと最後の呼吸をしている彼女を尻目に、私は次々と刃物を変え彼女をバラバラにしていった。

そして全てが終わると、私はスマートフォンを取り出して、何枚も何枚も写真を撮り始めた。風呂場にはカシャ カシャッと不気味なシャッター音だけが鳴りひびいていた。

そこで私は目がさめた。本当に嫌な夢だった。枕元に置いてあるスマートフォンを手にとって、時間をたしかめると午前3時45分。

私はふと、スマートフォンの画像記録をたしかめたくなった。データフォルダを起動させ、画像を確認する。するとそこには...。そこには...。

バラバラになった若い女性の肉の塊が散乱している風呂場の画像が何枚もあった。私は恐怖にふるえた。

悪夢じゃなかった!今度こそ私は本当に人を殺めてしまった!なんということをしてしまったの!この部屋のあの風呂場に、見知らぬ女性のバラバラ死体があるなんて!私は恐怖を振り切って風呂場に駆け寄り勢いのまま中には入った。

しかし風呂場は真っ白なままで、肉の塊は何処にも無かった。やっぱり悪夢だったんだ。だけどスマートフォンの写真フォルダにはしっかりと少女のバラバラ死体が写っていた……。

殺人現場のリアルな悪夢を観るようになって一年が過ぎていた。そして今日、夢の中の風景を写真に取り込むことまで出来るようになってしまった。

どうして、こんな事が出来るようになってしまったのだろう。


#2

どうしてこんな事をするのか?と言われても。やりたいから仕方がない。としか言えない。

三ヶ月我慢するのが限界で、それを過ぎると今日みたいに適当な女を捕まえては、風呂場でバラバラにする。本当に若手俳優のようなさわやかのイケメンに生まれてよかった。

人は人を外見で判断するから、俺のような爽やかのイケメンが若い女をバラバラにする趣味があるなんて思いもしないだろう。このアパートの住人も隣にこんな男が住んでるなんて気づきもしない。

それにして今日は少し様子が変だ。今夜も女をひとりバラバラにしているんだか、さっきからカシャカシャと写メを撮る音が聞こえる。おいおい、よしてくれよ。こんな所を写真に撮られたら洒落にならないゼ。

今日の獲物は体重は五十キロもない小柄な女だった。小柄だが腑分けすると、けっこうな量の肉塊になった。

流石に全部は食い切れない。幾つかは小分けにしてアパートの隣の住人にお裾分けをしよう。カンガルーの肉、とでも言っておけば人肉の独特な臭みも気にはならないだろう。

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