見出し画像

彼の国の選挙

1990年代の前半、仕事でアメリカの南部3州を2週間ほどかけて回ったことがある。
と言っても、それぞれの州政府で広報を務める人や、州政府から委嘱された現地のコーディネーターが運転する車に乗って、主にこちらが行きたい場所、それに加えてそれぞれが紹介したい場所に連れて行ってもらうのではあったが。

当時、確か大統領共和党予備選の候補だった、KKKの幹部と言われていたデュークという人が注目されていて、日本でも話題になっていた。
移動中も、彼の顔写真を載せた看板があちこちで目について、彼が表舞台に立つことになるのだろうかと、アテンドしてくれた人に尋ねた。
その人曰く、「もともとルイジアナの選挙はエルサルバドル(当時)のようなところがあって、極端な主張が注目されるんだ」とのことだった。
さすがにデュークはそのとき選出されることはなかったけど、彼は州の下院議員だったという。
中南米に限らず、選挙が実施されてその結果が出ても騒乱が起こる国は多い。
でもそれは、私たちが先進国としている国では起こらないもの・・・だった。

ところが、だ。

大統領選の開票を控え、街中で店の前を板で囲ったりする映像を見るにつけ、ほんとに大丈夫? と危機感のないところに住む私は心配するのである。

Aじゃだめだ、Bだろ。な、友よ。あれこれ考えなくていいから、ついてこい。

そんな物言いがこの国にもあふれている。
Aじゃだめかもしれない、と思う人は拍手をするかもしれない。
でもAじゃだめだからBだと、世の中はさほど簡単ではない。

簡単ではないところに立ち止まって考えたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?