好きな仕事につけたのだから、収入が少なくても良い？

　好きな仕事につけたから、「収入が少なくても良い」という人がいます。かつての僕もその一人でした。でも収入が少ないのは、やはり苦しい。好きなはずの職人仕事が嫌いになってしまった時期もありました。自分に余裕がなくなり、自由な発想も出なくなります。だから、自分の頭で考えて、しっかりお金を稼がないといけない。

収入が少なくても良いと思ってると本当に貧乏になってしまう。

　以前の僕は、金銭欲があまり無く。仕事をして腕を上げることに重点を置いて生きてきたような感じでした。そうすると、確かに腕は上がっていきました。工芸展でも賞を取れるようにもなり、竹籠を作るのは誰にも負けない位の勢いはありました。

着実に腕は上がっていきました。でも…腕が上がるのと収入が増えるのは比例しませんでした。

当時20代半ばの僕は、籠を作るのは一人前の職人に成れていたと思います。でも商売の事には無学でした。ご注文を受けるときも卸し業者さんの言い値で引き受けてしまったり、仕事のない時は、先輩の職人さんの下請けをしたりと、自分の実力を出せないような仕事ばかりしていました。こんな働き方なので、当然収入は少なく、いつも貧乏で、お金がないと、どんな安い仕事でも引き受けていました。そうしないと食べるものも買えなくなるので、なにも考えずにただ、休日もなく籠を作る毎日、働いても働いても、貧乏。やり甲斐も何も感じられない日々でした。

竹細工が大嫌いになってしまった。

　こんな日が続くと、いつの間にか竹細工が大嫌いになってしまいました。知り合いの人が、だれかに私を紹介してくれる際に「この人、竹細工職人なんですよ」と紹介してくれても「へえー、そうなんですか、凄いですね」と大抵なるのですが、私は頭の中で「こんな時まで仕事の話なんかしたくないよ」と思ってしまう自分がいました。竹細工なんか大嫌いだと思うようになっていたのです。

そんな僕にも転機が訪れました

　それでも、根性だけはある僕でしたので、途中で挫折して故郷に帰るわけにはいかず、がむしゃらに頑張り続けました。良い籠を作り続ければ、いつか報われる日が来ると信じて腕を磨き続けました。継続は力也、頑張った甲斐はあったと思います。でも相変わらず、貧乏でしたが。

貧乏は辛いです。お金がないというのは不安です。夜寝るときも不安でよく眠れなかったりします。

28歳の時に、好きな人が出来ました。その人と結婚したいと思うようになりました。そうなるとその人を養わないといけません。今の年収では、自分一人だけでもギリギリの生活です。どう考えても無理です。

そのためには、お金が必要です。どうしたら良いか考えました。答えは一つしかありません。収入を増やす。

今までしたことの無い事にどんどん挑戦しました。

　僕は、人前に立つのが凄く苦手でした。東京で竹細工教室があっていると耳にしました。そこの講師になれば、仕事の一つになると思い、教室担当の人に、講師になりたいとお願いにいきました。今まで腕を磨いていた甲斐があり、採用してもらえることになりました。引っ込み思案の僕の事をよく知っている先輩職人の講師の人が「中岩君には、無理なんじゃないか」という反対する声もあったと聞きました。当時の僕でしたら、そう思われても仕方ない感じでした。でも人は変われるんです。

東京竹細工教室の日は来ました。僕は、生活がかかってるので、必死に頑張りました。

その後、教室担当の人が「中岩さんは、全然問題無く先生出来てましたよ」と中岩君には無理だと言っていた先輩職人さんに伝えましたとおっしゃってくださいました。

職人は貧乏であってはいけない！

　人はその気になれば変われるんです。職人は貧乏であってはいけない！そう自分に言い聞かせて努力し続けました。それまでの僕の起床時間は朝８時頃。そうです朝８時頃、頃というのが不真面目な証拠。これではいけないと毎日目覚まし時計を５分づつ早く設定して、起きるようにしていきました。そして朝５時に起きれるようになりました。朝の時間は頭がすっきりしていて仕事が捗ります。そして収入は、ずっと右肩上がりで毎年数十万円単位で増えていきました。考え方を変えると人生が変わってきますよ。職人になりたてで収入が少なく困っている人がいらっしゃいましたら、まずは目標を決めて、考え方を変えてみてください。

この他にも、いろいろな仕事の改善点を見つけて収入を増やす努力をしていきました。

今回はここまでにします。またいつか、ご紹介していきたいと思います。

今日のまとめ

人はその気になれば変われる。どんな動機でも良いので、目標を設定し、お金を稼ぐにはどうすれば良いのか考える。そして行動する。