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【小説】三匹のヴァーチャル子豚

 三匹の子豚は仲良し兄弟、今日も元気にモデリング。

 一匹目の子豚は言いました。

「僕は藁の家を作るんだ」

 二匹目の子豚は言いました。

「僕は木の家を作るんだ」

 三匹目の子豚は言いました。

「僕は煉瓦の家を作るんだ」

 遠くで見ていた悪い狼。子豚たちをバカにします。

「豚野郎にモデリングなんて出来っこないさ」


 三匹の子豚は仲良し兄弟、今日も元気にモデリング。

 一匹目の子豚は言いました。

「藁の数が多すぎて、面倒になってきたよ」

 悪い狼は言いました。

「ほれみろ、しょせんお前は豚野郎。途中で飽きて止めちまえ。どうせ完成した所で、重すぎて誰も欲しがらない」


 三匹の子豚は仲良し兄弟、今日も元気にモデリング。

 二匹目の子豚は言いました。

「円柱の丸太が出来たぞ。コピペすればすぐに家が完成だ」

 悪い狼は言いました。

「馬鹿を言うな、だからお前は豚野郎。丸太だって一本一本違うんだ。リアリティのない円柱は、ちっとも丸太に見えやしない」


 三匹の子豚は仲良し兄弟、今日も元気にモデリング。

 三匹目の子豚は言いました。

「大きなオブジェクトに煉瓦のテクスチャ。レンガの家は簡単だ」

 悪い狼は言いました。

「手を抜くな、結局お前は豚野郎。煉瓦の凹凸一つ付けず。質感のない壁なんかじゃ、いつまで経っても上達しない」


 三匹の子豚は仲良し兄弟、今日はみんなで話し合い。

「あいつのコメント晒そうぜ」
「邪魔なやつだし追い出そう」
「好きに作って何が悪い」

 悪い狼、大炎上。反論、批判、特定されて、垢を消しての退職騒ぎ。

 三匹の子豚は仲良し兄弟、今日も元気にモデリング。



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