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さいはて紀行

 金原みわ著「さいはて紀行」は、著者が自身のブログで書き溜めた文章を、再編して一冊の本にまとめたものである。
 著者は、その旺盛な好奇心を武器にして、さまざまなさいはての地を渡り歩く。本書はその記録の物語だ。
 各章それぞれとても面白いのだが、俺は、淀川河川敷で暮らす人々の生活に迫った章を読んでいて、おもわずはっと息を呑む箇所があった。
 この本を読んで初めて知ったことなのだが、ホームレスになってしまう理由で意外に多いのは「財布をなくしたから」というものなのだそうだ。そんな理由で、人は、ある日突然、簡単にホームレスになってしまうのだ。

 ところで、財布をなくしてしまったという経験は、あるかな?
 俺はあるよ。しかも、東南アジアという異国の地で財布をなくしてしまったのだよ。
 それはつまり、ホームがレスになってしまう危険が、音もなく忍び寄ってきた瞬間だったんだ。
 この世の中は、どこにそういう大きな穴がぽっかりと口を開けて待っているかなんて、誰にもまったくわかりゃしないのさ。

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